「パリで生まれた猫だけど」ルー、パリで生まれた猫 あっさり醤油ラーメンが好きさんの映画レビュー(感想・評価)
パリで生まれた猫だけど
「パリで生まれた猫」という副題を付けた理由はフランスが舞台であることを暗示するためかと思いきや「パリで生まれたけど、野生化して森で生きることを選んだ猫」ってことだったんですね。
ルーの飼い主の少女・クレムの両親の森の別荘の近所に住む老婆・マドレーヌは、クレムと暮らすか森で生きるかはルーが決めることだとし、ペット以外の猫の生き方に肯定的な印象を受けたので、フランスの猫事情を調べてみたところ下記の点で日本とは違いがあったものの、フランス全体で猫の野生化が一般的という訳ではなさそうでした。
・2024年1月以降は、ペットショップでの犬と猫の販売が禁止される。
・保健所に収容された動物は一般的には殺処分されることはあまりない。収容から8日の間に治療や駆虫薬投与、ワクチン接種などが施され、写真を撮って飼い主募集のサイトに載せ、8日後からは保護団体に連絡をし、空きがある限りは動物をすべて引き取ってもらう。
・パリの街中で野良猫を見ることはほとんどない。
野良猫の去勢が必要だとする人達といやいや自然に任せればいいんだという人達の論争において、後者は「猫がかわいそうな死に方をするのを見たくないというあなた方のエゴのために猫の去勢をしているのであって、猫に頼まれた訳でもないし本質的には猫のためではないのだから、それは単なるお節介なんじゃないんですか、猫は本当は迷惑してるんじゃないですか」という言い分で、それに対して前者は、「猫に頼まれた訳じゃないって何で言えるんですか、私達には猫が助けを求めていることが分かるからやっているんです」という言い分なのかなと推測していますが、もしそうであればどちらの言うことも分かります。
ドキュメンタリーではないドラマ仕立てなので、大山猫や大猪の登場は特に不自然に感じません。ちなみに子猫物語はドキュメンタリーっぽく撮っていながらヤラセのオンパレード(「木の根元の大きな落とし穴にチャトランが落っこちちゃった」って、それ何の穴なんですか?とか)だったし、ヒグマがいる場面がある一方で別の場面では日本アルプスが映っていたりと、さすがに観客を馬鹿にしてるんですかといったような内容でしたが、現代で撮ればちゃんとした映画にはなる、つまり昔は色々クオリティが低かったのだと思います。