「【”地球から逃亡して来た男女が惑星エデンに築いた安住の地。だが女は老齢になり、望郷の念を募らせる。”手塚治虫氏の、人間の愚かさや、最期は故郷に帰りたいのだというメッセージが伝わって来る作品である。】」火の鳥 エデンの花 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”地球から逃亡して来た男女が惑星エデンに築いた安住の地。だが女は老齢になり、望郷の念を募らせる。”手塚治虫氏の、人間の愚かさや、最期は故郷に帰りたいのだというメッセージが伝わって来る作品である。】
■人類が宇宙に進出した未來、地球人のロミと恋人ジョージは、荒涼とした惑星エデンに移住する。ロミはジョージの子(後にカインと命名)を身籠るが、彼を事故で亡くす。
更に、冷凍スリープで誤って1300年の眠りに入ったロミは目覚めた時、眼前に広がる都市を見る。
彼女の前には目が見えないが触覚で全てを察知する民族が多数おり、彼女は女王となる。
だが、命が少ないと分かったロミは、コムと共に”岩船”で故郷、地球を目指す。
◆感想
・年代的に、手塚治虫氏の漫画を読んだ記憶が無い。だが、何故か「火の鳥」の存在は知っていたので鑑賞。
・スケールの大きいSFアニメ映画であり、独特の世界観に魅入られた作品である。
・ロミは、地球に戻る際に牧村という男の乗る調査船と衝突し、牧村はロミたちと同行するのだが、牧村曰く且つての地球は大きく変わり、戻るべきところではないという。
・そして、実際に地球に着いた際、そこはマスク無しでは暮らせない、一部の支配者たちが牛耳る星になっていた。
だが、唯一ロミが優れた種として生きていた島は、且つての地球の原風景を保っていた。そこで再開したかつての友人。
・だが、結局ロミは地球を脱出してエデンに戻るのである。
<随所で、説明不足の感を得たが、そこは脳内補完して鑑賞。ズダーバンのような何でも屋の悪役キャラによりエデンの民が様々な欲望に憑りつかれるシーンや、再び20歳になったロミが死んだ筈のジョージと出会うラストシーンも、手塚治虫氏の人間の欲望に翻弄される、愚かさや、どんな人間でも最後は、故郷に帰りたいのだというメッセージを勝手に考えてしまった作品である。
そして、何より、宇宙空間を悠々と飛ぶ火の鳥の姿が印象的だった作品でもある。>