コーポ・ア・コーポのレビュー・感想・評価
全4件を表示
関西版めぞん一刻な感じの良質な作品です♪
出張先でたまたま空いた時間に鑑賞しました。
なので前段階での期待も予備知識も全く無し。大阪は西成近くの下町のお話と言うところでなんとなく意欲をそそられたぐらいw
で、感想はと言うと…面白い♪
ちょっと緩い感じのドラマがなんとなく心地好くて、個人的には好きな感じで結構当たりな作品ではないかと。
住人のいきなりの首吊り自殺から始まるスタートはパンチが効いていて先制点としてはバッチリ。
でもそこから何か大きな事件が起こるでもなく、淡々と各々の日常が進んでいく。それがなんか心地好いんですよね。
住人それぞれも一癖も二癖もありそうだけど、別に悪人では無い。何処かいろんな過去に少し振り回されてここにきてはいるがそれに特に悲観も達観もしていない。
なんとなく「それはそれ。コレはコレ」的に日常を受け入れている。
その緩さとなんとなくの温かさに小ネタとテンポの良いセリフが効いている。良いっすね♪
登場人物の住人も良い感じ。
善人ではないけど、悪人ではない。何処か不器用なだけ。でも時折何処か脱線しそうであるけどとりあえず真っ直ぐに生きているw
馬場ふみかさん演じる辰巳ユリと笹野高史さん演じるお爺ちゃんの宮地が個人的に好き。
馬場ふみかさんの辰巳ユリがホントに大阪に居そうなちょっとヤンキー気質の姉ちゃんで会話のテンポが良いんですよね。
マイセンとかショートホープとかにこだわりがありそうでそれでいて行きつけの喫茶店ではオムライスとミックスジュースが好きそうw
不器用だけど真っ直ぐ日雇い労働の倉悠貴さん演じる石田鉄平はホント良い奴♪しんみりと部屋で貧乏酒を飲んだら楽しそうw
ただ、東出昌大さん演じる中条と藤原しおりさん演じるタバコを交換したがるおばちゃんはちょっと脱線感があって、作品の伝えたいことが若干濁るようにも感じなくはない。またこの辺りが何処か「めぞん一刻」感があるんですよね。言うならば大阪西成版めぞん一刻w
また、大阪の西成を舞台にしていても作品的には何処か西成感が薄い。
近年は西成も以前ほどのダーティなイメージは無いけどw、それでもまだまだ治安はそんなによろしくはない。至るところに「覚醒剤売るな!」の看板や「トイレに注射器を流すな」と言った貼り紙が張られていて、初めて行くとかなり面食らうし、正直「ここは日本か?」と思ってしまうくらいにアンダーグラウンド感が強いw
もちろんそんなイメージばかりではなく、一歩抜けると普通の下町の住宅街が広がるし、激安でも抜群に美味くて新鮮なホルモン焼きなどのお店も多数ある。
呑兵衛には愛すべき街ではあるけど、西成を舞台にするのであればもっと外部から感じる西成感を作中に出しても良かったのではないかと。
小ネタも効いていて、セリフ回しのテンポも良い。ユリの何処かスカした様で結局は面倒を見る良い奴感も好きだし、宮地の善人ではない小悪党感も好き♪
上映時間の97分も観やすくて良い。
群像劇ではあるけど固くはないし、最初の首吊り自殺から始まっても死生観を問うような固さもない。
テーマが有るようで無い感じなのが心地好い。
ただ、そこに好みが分かれそうかなと思いますが個人的には好きですね。
終始心地好いほんわさが良くて、なんとなく「晩年は西成に住んでも良いなぁ…」と思ってしまう。
でも、風呂無しトイレ共同(多分)のコーポは…個人的にちょっと嫌かもw
大阪の下町に親近感があって、めぞん一刻が好きな人ならハマるかもw
機会があればちょっと観てほしい作品です♪
いくつかの序章
群像劇ということで、各登場人物のエピソードが章立てで展開される。
しかしこれらが、ことごとく映画の冒頭20分ぐらいの話でブッタ切られてしまいます。
なので、事情とか抱えてるものが何も分からない。
上記はメイン4人だけではない。
ユリの弟や高橋さん、友三のもとで働く女性とその息子など、匂わせながら提示されずに終わる。
このせいで非常にモヤモヤしました。
ユリの髪は(内側は黒かったが)もっとプリン気味であるべきだし、事後ティシューを投げた際に下着フル装備も不自然。
風呂なしなのに清潔感はあるなど、細部の作り込みが甘い印象。
舞台は基本大阪なのだろうが、中条のパートで明らかに横浜の地元が映ってたのは何なんだろう。
ただ、全体を貫くフラットでコミカルな雰囲気は好み。
そして猫がかわいい。とてもかわいい。
役者の演技も申し分なく、特に母親が心配してくれてると知ったユリの、ムズ痒くも嬉しそうな表情は抜群。
くっきりとしつつも枯れた感じのある画面や、奥行きのある画角も好きだった。
終盤の、下着に値札がついていたシーンがも笑えた。
良い所はあっただけに、最初に述べた掘り下げの部分が勿体ないし、煙草の女性は不要。
エンディングテーマは素晴らしかったです。
恵み愛。
訳あり癖ありの住人達が住む安アパート「コーポ」の話。
家庭の事情で家を出たユリ、女に貢がせる中条、女性の扱い不器用で服はニッカポッカな石田、タバコを交換したがるおばちゃん、アパートの奥の部屋を使い怪しい商売してるジィさん宮地、ある日の朝もう1人の住人山口が部屋で自殺してたのを発見したことから始まるストーリー。
鑑賞前に全体評価観たら低っ!
観に行くの無駄かな?!何て思ってたけど楽しめた!
女に貢がせる中条演じた東出昌大さん、リアル家族裏切ってから、何か女にだらしない男役多くないっすか!(笑)
何か当てつけかの様なキャスティングと東出さんを見る度に思ってしまう。
終盤の忘れた頃にまさかの自殺した山口の息子の遺品整理から笑えた!
その息子からお礼で貰った1万で寿司のくだり、味噌汁ネタも。
アパートに住む者達の日常ってだけで、そんな大きな事が起こるわけではないけど面白かったです!
【今作は自らの真人生から逃げた諦観を持ちながらも、個性豊かな心優しき人々がボロッチイ「コーポ」で悲喜こもごもに生きる姿を、優しき視点で軽妙且つ人情味豊かに描いた、昭和感漂う作品である。】
ー 彼らが住む「コーポ」と消えそうな文字で書かれた看板が付くボロッチイ「コーポ」の昭和感が凄い。そして、そこに住む住人達も個性的である。
冒頭、山口というオジサンが縊死しているシーンから物語は始まり、その後個性的な住人で
・水商売の母親(片岡礼子)と上手く行かず、家を出たユリ(馬場ふみか)
・複数の女性から金を貰いながらいつもビシッとスーツ姿の中条(東出昌大)
・女にもてるが、上手く行かない人生を送る強面だが心優しき建築現場作業者の石田(倉悠貴)
・飄々とながら、アパートの一室でストリップショーをしている管理人の宮地(笹野高史)達、夫々の物語が綴られていく。-
<感想>
・ユリは母親と上手く行かないが、夜の街で母親が勤めるスナックの前で出会い、母親から喫茶店で待つように言われるが、喫茶店は定休日で・・。
ー ユリの名を呼びながら、夜の街で娘を探す母親の声を背中で聞きながら、嬉しそうに微笑むユリ。-
・中条は、いつもの通り女性から金を貰った後、「コーポ」に戻り廊下の隅っこに居たユリに”耳を塞いで”と言って、嘘話をし、もういいよと言って、自分は裕福な家で育ったが、父の後妻と駆け落ちをしようとしたが、未遂に終わり翌日の後妻が水死体で見つかった話をするシーン。
ー 中条が、自ら”虚に”生きるきっかけとなった哀しき”実事件”を淡々と語る姿。-
・石田が、建築現場に来た大学4年の高橋という女性にぶっきら棒ながら、色々と優しく接し、「コーポ」に来た彼女の手を一回握りながらも、慌てて話すシーン。
ー 此奴、絶対良い奴だよな、と思ったな。-
■一番好きなのは、管理人の宮地が気まぐれに中学生に声を掛け、普通の主婦だった女性が家を出て、ストリッパーになり、ストリップショーを見せるシーンである。
蝋燭の炎が消えるまで、ストリップショーを見ていた中学生が”お母さん!”と叫び、女性が慌てて部屋を去るシーンから、最後に宮地に対して、マッチ一本の時間宮地に”お礼”をするシーンである。
宮地の”寿命が少し伸びた。”と飄々という姿も良い。
<今作は、派手さはないがジワリと響く作品である。
訳ありな「コーポ」の住人たちの人情豊かな姿が良かったなと思った作品でもある。>
<2023年11月18日 刈谷日劇にて鑑賞>
全4件を表示