「関西版めぞん一刻な感じの良質な作品です♪」コーポ・ア・コーポ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
関西版めぞん一刻な感じの良質な作品です♪
出張先でたまたま空いた時間に鑑賞しました。
なので前段階での期待も予備知識も全く無し。大阪は西成近くの下町のお話と言うところでなんとなく意欲をそそられたぐらいw
で、感想はと言うと…面白い♪
ちょっと緩い感じのドラマがなんとなく心地好くて、個人的には好きな感じで結構当たりな作品ではないかと。
住人のいきなりの首吊り自殺から始まるスタートはパンチが効いていて先制点としてはバッチリ。
でもそこから何か大きな事件が起こるでもなく、淡々と各々の日常が進んでいく。それがなんか心地好いんですよね。
住人それぞれも一癖も二癖もありそうだけど、別に悪人では無い。何処かいろんな過去に少し振り回されてここにきてはいるがそれに特に悲観も達観もしていない。
なんとなく「それはそれ。コレはコレ」的に日常を受け入れている。
その緩さとなんとなくの温かさに小ネタとテンポの良いセリフが効いている。良いっすね♪
登場人物の住人も良い感じ。
善人ではないけど、悪人ではない。何処か不器用なだけ。でも時折何処か脱線しそうであるけどとりあえず真っ直ぐに生きているw
馬場ふみかさん演じる辰巳ユリと笹野高史さん演じるお爺ちゃんの宮地が個人的に好き。
馬場ふみかさんの辰巳ユリがホントに大阪に居そうなちょっとヤンキー気質の姉ちゃんで会話のテンポが良いんですよね。
マイセンとかショートホープとかにこだわりがありそうでそれでいて行きつけの喫茶店ではオムライスとミックスジュースが好きそうw
不器用だけど真っ直ぐ日雇い労働の倉悠貴さん演じる石田鉄平はホント良い奴♪しんみりと部屋で貧乏酒を飲んだら楽しそうw
ただ、東出昌大さん演じる中条と藤原しおりさん演じるタバコを交換したがるおばちゃんはちょっと脱線感があって、作品の伝えたいことが若干濁るようにも感じなくはない。またこの辺りが何処か「めぞん一刻」感があるんですよね。言うならば大阪西成版めぞん一刻w
また、大阪の西成を舞台にしていても作品的には何処か西成感が薄い。
近年は西成も以前ほどのダーティなイメージは無いけどw、それでもまだまだ治安はそんなによろしくはない。至るところに「覚醒剤売るな!」の看板や「トイレに注射器を流すな」と言った貼り紙が張られていて、初めて行くとかなり面食らうし、正直「ここは日本か?」と思ってしまうくらいにアンダーグラウンド感が強いw
もちろんそんなイメージばかりではなく、一歩抜けると普通の下町の住宅街が広がるし、激安でも抜群に美味くて新鮮なホルモン焼きなどのお店も多数ある。
呑兵衛には愛すべき街ではあるけど、西成を舞台にするのであればもっと外部から感じる西成感を作中に出しても良かったのではないかと。
小ネタも効いていて、セリフ回しのテンポも良い。ユリの何処かスカした様で結局は面倒を見る良い奴感も好きだし、宮地の善人ではない小悪党感も好き♪
上映時間の97分も観やすくて良い。
群像劇ではあるけど固くはないし、最初の首吊り自殺から始まっても死生観を問うような固さもない。
テーマが有るようで無い感じなのが心地好い。
ただ、そこに好みが分かれそうかなと思いますが個人的には好きですね。
終始心地好いほんわさが良くて、なんとなく「晩年は西成に住んでも良いなぁ…」と思ってしまう。
でも、風呂無しトイレ共同(多分)のコーポは…個人的にちょっと嫌かもw
大阪の下町に親近感があって、めぞん一刻が好きな人ならハマるかもw
機会があればちょっと観てほしい作品です♪