ナポレオンのレビュー・感想・評価
全290件中、221~240件目を表示
誰に対しての映画??
フランス史をある程度知っている前提なのか、尺は長いが、キチンと描くには足りないという微妙な作品でした。他の方が書いているように戦闘シーンはある程度リアルでしたがそれもちょっと雑な感じに私には感じました。あれじゃあ、まあ被弾するよな。
それと色々やらかしてる割に意外とまともな人物に描かれていたように思いました。やらかしてはいるけど、功績もハンパないのでこんなもんなのですかね。権力を我が物にしたのでもっとゲスな性格かと思いましたが、、、ノイズになるので描写カットしただけなのかも。
ちょっと誰、どう言う人に対して、今何を言いたいのかがよくわからないけど、見応えはある映画でした。
安定のリドリー歴史大作シリーズ
ナポレオンについての知識はその名前と、かの有名な絵画くらいしかなく、どんな人物で何をした人たのか知らずに鑑賞しました。2時間半くらいの大作でしたが、さすがはリドリー・スコット監督。86歳の御大にしてなお、途中、眠くなったり、集中力が途切れることなく、最後までナポレオンという男の人生を切れのある、素晴らしい演出で飽きることなく見せてくれました。幾度なく出てくる戦闘シーンのスケールの大きさは兎に角、圧巻で、一体いくらお金をかければこんなシーンが撮影できるんだ?と思ってしまうらくらいリアルで凄いものでした。大スクリーンでこの戦闘シーンを観るだけでも映画館に行く価値があると思います。主演のホアキン・フェニックスとバネッサ・カービーの演技は魅力的で素晴らしく、この2人の運命の行く末に目が離せませんでした。ホアキンだからこそ表現できた、どこか得体の知れないナポレオンという男のカリスマ性が見事に映像に出ていたと思います。ドラマパートがブツ切りで散漫だと言う感想もチラホラ目にしますが、個人的には全く気になりませんでした。むしろ、よくこの時間で上手くまとめたものだと感心してしまうくらいでした。ナポレオンに詳しい方は色々とツッコミ処はあるのかもしれませんが、予備知識ゼロの私はとても楽しめました。久々に重厚な大作映画を観れた気分です。
とにかく、リドリースコット監督の手腕に拍手しかありません。まだまだ作品を撮り続けて欲しいです!
なんかあっという間に
将軍になった。
共和国の政治って、ロベスピエールの専横が始まってから無茶苦茶になったのかな?
歴史に疎いからよくわからない。
でもロシアの冬将軍には勝てないんだね。
秀吉みたいな展開もあり、奥さんに翻弄される場面もあるが、その部分が長く感じた。
エルベ島から戻ってきてはいけなかったんだな。
戴冠式の場面は絵画のようで素敵だったな。
主人公は、『ジョーカー』の時の方が好きですが。
新たなナポレオン
前提として、当時の世界史、世界情勢(特に欧州)について予習しておいた方が二倍楽しめると思う。うっすらフランス革命の記憶だけだと混乱するかも。
それはさておき、観る前の想像と違って今回のナポレオンはあまりカッコ良くないぞ。カリスマ性あるんか?というくらいに、人間くさい。妻にゾッコン、なんかグラグラしてる。それをホアキン・フェニックスがまさに適役で好演。戦争も強いというか、砲術がうまかっただけな気がしてきた。
ジョゼフィーヌ
ストーリーのスケールの大きさに映像のスケールの大きさが負けてなくて迫力ありました。
ナポレオンは英雄か、悪魔か。どちらにしろジョゼフィーヌへの愛の深さは本物で美しいですね。
バネッサ・カービーはもともと好きですが、この映画でもっと好きになりました。美しいだけでなく、このような小悪魔な役柄はよく似合う。
偉人にも弱さがある
ナポレオンの内面の人間味を感じることができる作品。
偉人も1人の人間であり、人間らしい弱さを映し出してくれる作品。
映像の美しさと展開の良さにより上映時間の長さを感じない作品であった。
先週、鑑賞した首にも繋がるが歴史上の偉人もひとりの人間であることを強く感じる機会となった。
偉人も人であり、人生がある
18〜19世紀にかけての美しくも残酷なフランス。物量ある戦争に迫力もありながら、そこだけに見どころを置かない歴史のドラマがある。力は更なる力を求め、やがてより更なる力によって滅ぼされる人類の歴史を再認識した。
ナポレオンと世界史の学が足りない自分を悔いる。
グラディエーター2への布石
悪くはなかったです。
史実に忠実であることを目的にした類の作品ではないです。
不正確さを指摘した歴史家へのリドリー・スコットの反応からも分かります(リドリー・スコットはそもそも今の人間が史実と考えているものも歴史の中で大きく脚色されてきたものである、といった反応を示しています)。
またグラディエーターの方向性でもありません。
どうしたってスペクタクルで英雄譚な娯楽大作を期待してしまいますが、その方向性ではないです。
ナポレオン(とその妻)に焦点を当てたヒューマンドラマです。
ナポレオンは人生の中で幾度も戦いを経てきたのでしょうからそれも映画の中でもちろん描かれていますがグラディエーターのように戦闘シーンが高揚する音楽で彩られているわけではないし戦闘そのものの中で感情移入しやすいドラマが描かれているということもありません。
あくまでナポレオンを描くための一つのパーツとして戦闘パートは淡々と描かれている印象を受けました。
国を愛する一人の軍人、妻を愛する一人の男。
この両側面を持つナポレオンという人間を等身大に描こうとした映画であると捉えました。
伴侶であるかに関わらず、女性男性に関わらず、愛する人間がいるならば多くの人が通常であればその愛する人との人生を選ぶのでしょう。
しかしナポレオンは自分の意思であったのか時代とその背景と立場がそうさせたのか運命であったのか国を愛する軍人の道を歩むことになります。
当然そこには悲劇や不条理が生じます。
本作、惜しいなぁ・・・と感じたのはこの部分の描き方がかなり最小限に留まったように感じられたところでした。
世継ぎ問題への対処方法など大きく響いたシーンもあったのですが、全体として歴史上の人物を主役にした創作・フィクションとして更に割り切って良かったように感じました。
しかし一本の映画として見ごたえは十分にあります。
淡々と描かれていると同時にリアルに描かれている戦闘シーン。
素晴らしかったです。
この時代の戦争は本当にこのように行われていたのだろうな・・・と感じさせられます。
陣形の変化、段階的に投入される歩兵騎兵大砲、これらが視覚的にとてもリアルに描かれています。
そして華やかな衣装や装飾。
これも素晴らしかったです。
戴冠のシーンは圧巻でした。
これらは2時間半という長丁場をあっと言う間のものにしてくれました。
上でも少し触れたリドリー・スコット監督、2000年公開のグラディエーター。
こちらは歴史の中で実在した時代を舞台に架空の人物(モデルは存在しているとのこと)を主人公にしたスーパーエンタメ作品。
歴史に脚色を取り入れた映画、この観点では今作ナポレオンと同じアプローチであったかと。
同アプローチによって齢六十ではグラディエーターという娯楽へ、齢八十ではナポレオンというヒューマンドラマへとフォーカスの変化を見せるリドリー・スコット。
今作ナポレオンは2024年公開を控えているやはり歴史+脚色で描かれる事になるグラディエーター2への布石になる作品かと。
果たしてグラディエーター2ではどちらの方向を示してくれるのか。はたまた全く異なる方向を見せてくれるのか。
個人的には1作目同様に徹底して娯楽作品として仕上げてくれたら嬉しいが、何にしても今作ナポレオンを見る限り衰え知らずのリドリー・スコット監督の作品として期待せずにはいられない。
ウイスキー
ナポレオンとえば
歴史の教科書で馬に乗ったかっこいい戦士か
ウイスキーかブランデーかお酒だったような、
そんな認知度で鑑賞しましたww
島国の平和な国で育った日本人は
陸つなぎの戦いがどんなものかピンときません。
いつの時代でも革命家やリーダーは、
命を落としても人々を魅了する何かがあるんでしょうね。
ジョーカーを演じたホアキンフォニックスは
流石だなと思いましたが、少し退屈な作品でした。
そんな歴史上の英雄?ナポレオンは、
1人の男であり、いい時ばかりではないんだなと
知れた映画でした。
戦闘シーンの映像は圧巻です!!!
人類史で最も華麗かつ苛烈な男の驚くべき一代記!...ではない事に注意。
最も注意すべきは、この映画は伝記映画ではない、という事。成立してないです。
ナポレオンという信じ難い存在の人生なんて、金掛けた重厚な映像でただなぞるだけで不朽の名作になりそうなもんですけど、今作ではハイライトつまみ食い。場面場面の繋がりほぼ無く、説明もせず。でも最初の妻ジョセフィーヌとの関係性はめっちゃ丁寧にやる、という感じ。
そのジョセフィーヌのくだりも飛び飛びで挿入されるもんだから、とにかく一つのお話として連続性が感じられず、再現VTRの数珠繋ぎ感がハンパ無いんですよねぇ...。
欧米ではナポレオンがどういう時期に何をして、どんな戦いでどうなったか、とか常識過ぎて説明不要だからちゃんと描かないでOKって事なんですかね。ナポレオンの事ボンヤリとしか知らない人は、かなり予習してかないと置いてかれますよ。
まぁ今回は良い悪いというよりは、合わなかったという感じですかね。勝手に別なものを期待してしまったという事かなと。
いやでも、リドリーが監督してタイトルが「ナポレオン」なんだからさぁ....。
これだったらタイトルは「ナポレオンとジョセフィーヌ 〜愛と戦いの日々〜」とかにしてよ。観ないから。
予告編のホアキンの「この国は誰のものだ?」の表情にゾクゾクきて超期待してたんですけどね〜..。
もっと素直に、
故郷の小さな島を追われるように出てきた少年という出発点、
その頭脳と度胸を武器に混沌とした時代を上り詰め、やがて世界を動かすようにまでなる絶頂期(ナポレオンの何が凄いのかをしっかり描く!)、
全能感から慢心してやりたい放題やっている内に、転がるように落ちて行く落日
とメリハリと連続性をもって描く構成であって欲しかったなぁ...と。
私と同じように「物凄い男の物凄い人生が物凄い映像で物凄く描かれる」事を期待してた人は、長谷川哲也先生の「ナポレオン -獅子の時代-」「ナポレオン -覇道進撃-」を読みましょう。
もちろん面白く脚色しまくって破茶滅茶ですが、映画ではほぼ触れられなかった超個性的な部下の軍人たち(なんとノルウェー・スウェーデン連合王国の王様になって、現代スウェーデン王室にもその血が続いている人までいるという!)も大暴れ!
メッチャ楽しめますよ。
ていうか軍人皇帝ナポレオンを描くのに、その覇道を支えた元帥達が全然出て来ないなんて、アーサー王を描くのに円卓の騎士が出て来ないみたいなモンだよなぁ...狂ってますよ。
タイトルなし
愛しき祖国の混乱に利用された?
1800年代なので主たる武器は大砲、銃とシンプルなので戦略家だった、エジプトまで遠征しているのは意外であった。最初のロシアの闘いやイングランドの戦略は面白かった 壮大な絵図は素晴らしかったけど、闘い方は単調に感じてしまいました。そして戦死者の数が酷すぎる、勝利すれば英雄、敗北すれば唯の悪党 女性陣も何故かジェゼフィーヌさんメインで確か他にも有名な女性がいらしたような気がするのですが...陸上戦、夫婦間のストーリーが殆どでやや駆け足な印象。
しかしホアキン・フェニックス無くしてはここまでの作品には仕上がってないだろうと思いました。帽子やら刺繍やら何気にお洒落!
正直よくわからない
トゥーロン攻撃からワーテルローまでの主要なナポレオン戦争と、ナポレオンとジョセフィーヌの愛の形というか複雑な関係の二つが話の軸。二時間半を超える映画だがさすがはリドリー・スコット。見せ場は要所要所にあり、映像、音楽ともに質感しっかりで飽きるところはない。
ただ最後までナポレオンという人がつかめないというかあんまり感情移入できないんですね。
ジョセフィーヌと結婚するまではかなり粗暴な人物に描かれていてこれはこれで理解できるんだけど、クーデターから皇帝になりそしてヨーロッパ各地で侵略戦争を引き起こすこの人物がどちらかというと運命に受け身で従っていくような感じで、彼自身の野心や世界観というものがみえてこない。歴史的には意外と古い人で(日本で言えば江戸時代寛政の改革の頃の人)フランスでも感覚的には今更映画で取り上げるかな、というところなのかもしれない。でもヨーロッパに今も続くナショナリズム国家の枠組みを定着させたという意味では重要な位置づけの人なんだけどね。
リドリー・スコットがどういった考えでいまナポレオンを取り上げたのか今一つピンと来ないのです。何時もながら全編英語で作成しているのも気になる部分。フランス人からみたら英語をしゃべるナポレオンってかなり変じゃないかと思うけど。
権力者の現実
ナポレオンという人間性にとことんスポットを当てた作風
どんな人にも人並みの悩みがあり、最後はあっさり最後を迎える
個人的には軍人としてのナポレオンにもう少しスポットをあててほしかったし、嫁との痴話喧嘩が長い。
この時代の大陸はとにかく混乱を極めていただろうに、日本史と比較しながら楽しめた部分も多かった!
もっとカリスマ性を映し出すのかと期待していたが、イギリス人が描くフ...
もっとカリスマ性を映し出すのかと期待していたが、イギリス人が描くフランス人像だと思うと納得。
品や才能はあっても、女にボケている。
男らしさの欠片もない。
寂しい男だったんやなと。
子供が産まれた時の喜びだけは共感した。
時代が求め、時代に追われた英雄
のし上がり期、調子乗り期、落ち目期、そして終焉期と全てを網羅しながら、ナポレオンという英雄を1人の人間として描き上げる。リドスコ監督は、まだまだ衰えていないというか、全盛期なんじゃないの。
稀代の悪女と言われたジョセフィーヌは、ナポレオンにとってどういう女性だったのか。この点が自分にとっては興味深々。浮気したことを責めるナポレオンをうっちゃって、言い負かせてしまうシーンがめちゃくちゃ面白い。
バネッサ・カービーの目力と妖艶さにすっかりのまれて、ナポレオンは腰砕け。自分が必要だとナポレオンに言わせてしまう。
ナポレオンが起こした戦争で、フランス国民が300万人戦死したと言われているが、この作品を見てよくわかった。歩兵、騎兵を問わず、最前線は弾除け扱いで完全な消耗品だから、ほぼ死ぬ。
ワーテルローの戦いでは、方陣を組むイギリス歩兵と取り囲んで責めるフランス騎馬隊が、命を削りながら残った人数を競うような究極の消耗線。
歴史好きな自分には、とんでもなく満足の一品でございました。
配信用があるなら…
ホアキン・フェニックスがナポレオンを演じ、リドリー・スコットがそれを撮るんだからそりゃ面白いですよ。
しかも本作が特徴的なのは、ナポレオンとジョセフィーヌの関係性にかなりフォーカスしてて、ジョセフィーヌを演じるのがヴァネッサ・カービー!ってこと。面白くないわけがない。
アップルTVの資金のお陰か会戦シーンは大迫力だし、衣装なども申し分なし。(英語を喋るけどね…ww)
ただ、政治的にもジョセフィーヌとの関係も何故か上手くいかなくなってからの方に時間を割いてる印象だったのは不思議。配信用のエクステンデッドバージョンがあるならばバランスがどう変わるのか観てみたい…
残念過ぎます。
結局、ナポレオンの生涯を描くには短すぎて、消化不良を起こした、と言う。上映時間は2時間半以上と長いのですが、戦闘シーンの連続と退屈な宮殿シーンの繰り返し。どこかに山場を決めて、もっとドラマを期待してました。
最近また発見された、ジョセフィーヌ宛の書簡からヒントを受けて、特異な夫婦関係に重きを置いた作品を意図したのは分かるが、人間ナポレオンを描くにしても、フランス大衆にあれ程愛される彼の魅力が(大衆性、革新性あるいは残虐性も)全然伝わりません。ジョセフィーヌが魅力的だったのが僅かな救い?
いくつか勉強になったのは、2人の間に実子がいなかった事、野心家のナポレオンの弟の存在、ワーテルローでのウェリントンの兵法など、を知ったくらいか?
某国営放送の歴史探偵やプロファイラーの方がもっと丁寧に人物や歴史的エピソードの裏側や違う角度の見方などを上手く取り上げてますよー!
いやぁ、映画の日だったのに。残念。
名前負け
別映画で予告を見て、リドリー•スコット監督なのでアカンと思いつつも…ナポレオンってやっぱ
心揺さぶるんですよ。
昔は好きだったんです。リドリー•スコット
でも、やっぱりという感じ
うーん、ナポレオンをそれとなしに知ってる人なら映画館で観ないでいいし、
ナポレオンや歴史が好きな人には何か違う…という違和感だったり物足りなさ。
脚色するなら脚色する、史実に忠実にするなら徹底するとか、やっぱ素材が有名なだけにバランスは難しいとは思うが
中途半端オブ中途半端。
他の方のレビュー見て、あー英語!
そりゃ違うよなフランス語で日本語字幕とか吹き替えだよな、と。今気づいた。
まぁ、よくあるアレです。
表題の人物(など)とかの史実に近いものでなく、
表題の人物(など)をモチーフに恋愛ドラマとか別要素を乗っけてくるやつあるじゃないですか
タイタニックとか 笑
有名監督が有名素材つかえばソコソコには話題になるだろう的な浅はかな興行映画
あーゆうやつですね。
見応えある歴史劇。みる価値あります
スタンリーキューブリックが映画化を試みたが実現しなかったナポレオンを大御所リドリースコットが見事に映像化してくれました。
それも戦略家で野心家だけの偉人伝ではなく妻に苦しめられ苦悩する夫と権力闘争に執念を燃やす人間味がある将軍ナポレオンをホアキン・フェニックスが魅力的に演じています。
18世紀末のフランスの宮殿や街の再現度も戦争のスケール感もあり超大作の歴史劇になってます。
特に絵画で有名な戴冠式のシーンは重厚で素晴らしかったです。
お金を払って見る十分価値のある作品です。IMAXの大画面でぜひご覧ください
もちろん重厚な歴史大作だが、ナポレオンとジョジェフィーヌの関係を掘り下げたドラマでもある一作
ここまでナポレオン(ホアキン・フェニックス)とジョゼフィーヌ(バネッサ・カービー)に焦点を当てたドラマだとは、ちょっと予想外な作品でした。
もちろんリドリー・スコット監督なので、空撮も駆使した戦場の描写は迫力の一言。しかしある程度の長さのある上映時間の割には、戦闘はハイライトを抜き出したかのようで、意外にあっさりと場面転換を繰り返します。フランス皇帝にまで登り詰めるまでの過程すらも、少し拍子抜けするほどです。
スペクタクルシーンや史実描写のあっさり感には、もちろん、スコット監督の疾走感溢れる演出と編集が大きく貢献していることも間違いないですが、作品の主軸をナポレオンとその妻、ジョゼフィーヌの関係描写に置いていることがむしろ主因でしょう。天才的な戦術眼と卓越した政治的影響力を持っているにも関わらず、精神的にどこか破綻していて、ジョゼフィーヌに精神的に依存しているというナポレオン像は、ホアキン・フェニックスだからこそ強い説得力を持っています。
本作ではナポレオンの精神状態についての描写と、彼の軍歴をかなり密接に結びつけるという、スコット流の歴史描写も楽しめます。ナポレオンがジョゼフィーヌを溺愛していて、戦場からも毎日のように手紙を送っていた逸話は有名ですが、エジプト遠征もエルバ島からの帰還も、全部ジョゼフィーヌのため、という大胆さ。
もちろんスコット監督なので映像面でも隙はないのですが、本作は特に、窓から差し込む光やろうそくの灯りだけで描く室内描写が、『バリー・リンドン』(1975)を彷彿とさせる美しさです。
主人公二人に焦点を当てたドラマ構成になっているため、歴史上有名なフランス軍の将軍も本作ではほぼ書き割り扱い!本作が大胆に省略した、将軍たちの人となりと奮戦ぶりについては、『ワーテルロー』(1970)で詳細に描写しています。また絶対当時の兵士にはなりたくない!と思わせてくれる、小銃の隊列に自殺的に突撃していく兵士の戦い方もまた、『バリー・リンドン』が容赦なく描いています。本作を起点として、ナポレオンやヨーロッパ近代に関する、様々な過去作を観返すのも面白そうです。
全290件中、221~240件目を表示