ナポレオンのレビュー・感想・評価
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壮大な歴史絵巻
ナポレオンというエピソードに溢れ返った人物の伝記を3時間弱で描くには無理がある。上手く編集をしてあるものの、やはり多少の雑さは否めない。ナポレオンの人間性を描こうとしたものの、中途半端な出来になってしまった。それでも、戦闘シーンは見ものである。黒澤作品を思わせるほどの撮影技術を持って、圧巻の殺人絵巻が繰り広げられる。そう、いつの時代も戦争は所詮、国家の面子のためだけに、ゴリ押しされる個人の殺害でしかないのだ。ジョセフィーヌを演じたヴァネッサ・カーヴィーの演技力と美しさは比類ないものがある。ヒーローに対するヒロインの役から、そろそろ主役を演じても良いのではと感じる。衣装の出来はこの作品に於ける一番の出色だと思う。全体的に多少の脚色はあるものの、史実映画のであり、それ以上でもなく、それ以下でもない。
おもしろかったと思います。
だけどあんなに長い必要あったかなあ。
昭和の頃の日本では「ナポレオン」といえばそれなりにネームバリューがあったと思う。
だけど今どうなんだろう。
『吾輩の辞書に不可能はない』なんて聞くことなくなったしね。
早野凡平さんももういないし。
映画館で見てほしいわー
ジョゼフィーヌはナポレオンにとって母のような存在だった!
最初のギロチンのシーンには驚かされました。フランス革命の中で、国のお金を貪った貴族たちが処刑されるのですが、リアルな映像展開にあっという間に物語に引き込まれていきました。この時代にナポレオンは頭角を表し、出世街道をぐんぐんと歩んでいく姿は、まさに宇宙の采配としか思えないです。この出世街道を歩み、戦い続けてついにセントヘレナで没するまでに、実に61回の戦闘をこなし、その間に兵士300万人を失います。無謀なロシアとの戦いでは数十万人が雪の中で非業な死を遂げています。果たして彼の采配は正しかったのかと思うと苦しむところです。どんなに考えても戦争は国同士の単なる縄張り争いとしか思えません。これがこの映画の縦の線としたら、横の線はジョゼフィーヌとの愛と言えるかもしれません。少なくともこの映画はこの2本の線で成り立っています。ナポレオンが政治的に様々な施策を施したことにほとんど触れられていないので、不足感は否めないのですが(彼の金言もあまり出てこない)、これはこれで十分に人間ナポレオンの真実の姿に近いのかもしれません。ナポレオンにとってジョゼフィーヌは如何なる存在であったのか?これについては私見ですが「母親」であったのかもしれません。離婚してからも精神的に強く求めていたことからそう思わざるをえないでしょう。
追記 ジョゼフィーヌに子供が生まれなかったために離婚しますが、それが逆にナポレオンが終生愛し続けた理由なのかもしれません。
迫力とか質関係なく、面白くありません
伝令兵は馬2頭使う
痛そう
そうそう、昔の街って埃っぽいのよね、とか、ナポレオンのジャケットにうっすら泥がついてるのがいい!とか思いながら映像を楽しんだが、最後、ワーテルローの戦いで、直前まで雨が降っていたのに乾いた地面での戦いになっていて、あれは何だったんだろう。/ジョセフィーヌにとっては痛そうなセックスシーンが最も印象的で、リドリー・スコットにとってはナポレオンはそういう男なんだなと思った。
ベートーヴェンに共感し、大奥を想う
個々の出来事は聞き齧っていても、基本世界史に疎いので、時系列が整理されて良かった。ただ描かれた心情は、ジョセフィーヌへの想いばかりで、戦禍を広げ続けた動機はよく分からなかった。気になった2点を別記する。
💣
1. ベートーヴェンの落胆を追体験
ナポレオンが出世したのは、1797年に王党派を大砲で鎮圧した事。ベートーヴェンは主権を市民に奪還したナポレオンを称え、1805年に交響曲第3番「英雄」を完成させる。しかし1805年、ナポレオンは世襲が約束された「皇帝」、つまり実質的なフランス国王を名乗る。この知らせに対するベートーヴェンの落胆と怒りは計り知れない。結局、独裁を武力で倒しても、新たな独裁が生まれるだけ。市民の力で革命を起こしたフランスでさえ、皇帝の誕生は防げなかった。
●~*
2. 離婚せずに済む後宮(大奥)の利便性
ジョセフィーヌと離婚せねばならない葛藤が描かれるが、「大奥」や「薬屋のひとりごと」を観すぎて若干キョトン。愛人でええやん、妾作りゃええやんって、後宮(大奥)ドラマに毒されて、嘗てのモルモン教徒っぽくなってる自分に愕然。
当時の空気感、再現力は必見です。
これはもうまごう事なき恋愛映画でしたね。
歴史を語るとき、権力闘争や戦争など歴史的な事象が目立ちがちですが、その歴史を積み上げていったのは人間です。
人間のすべての行動の要因はリビドーであるという言葉がありますが、権力志向や戦争行為にも男女の愛憎があるとも言えるかも知れませんね。
そう考えるとナポレオンという人物をジョセフィーヌとのことを中心にすえて観るという企みは悪くはないのかもと思います。だだし、成功したかどうかはまた別でございます。
リドリー・スコット監督らしい、こだわり抜いた映像はいつもながら酔わせてくれますしホアキン・フェニックスは言わずもがな、大好きなバネッサ・カービーの妖艶な魅力はたまりません。
だがしかし、肝心な二人の愛憎の深さがいまひとつ伝わりません。もちろん、わたしの感性が鈍っているのやも知れませんが、少しあっさりしすぎのように感じました。
だにしても、三時間を費やす価値は十分でございます。
是非ご鑑賞くださいませ。
1人の男としての英雄ナポレオン
リアリティ高い戦闘シーンと強い執着心
まず、グリーンスクリーンではないと見える戦闘シーンは圧巻。あっぱれです。
が、馬を倒すシーンは心が傷みました。
そこだけはCGでありますよう…
映画が始まって最初の奇襲攻撃ではナポレオンの内にある恐怖心を感じさせる息遣いと震え、闘いが成功に近付くにつれ高揚感伴う不敵な笑みにナポレオンの内面がよく表されていたと感じました
美しいジョゼフィーヌに一目惚れしたシーンは笑いました(^^)ナポレオンも恋すると可愛いじゃない
女性目線としてジョゼフィーヌはボナパルトを愛していたのか、居場所を確保するための行動だったのか、最初はそうだったとしても後半は彼を求めていたのか…
その点に着目させられました
音楽がほぼ絶え間なくかかっていたので、もう少しメリハリをつけても良いんじゃない?と感じました
170分といえど長さは感じない作品でした
もはや芸術
映画における映像表現の究極でないでしょうか。質の高い絵画のような美しさです。
カメラアングル、カメラワーク、セット、光の使い方、俳優、衣装、構図、群衆、空間表現、環境表現(雪、雨、風、煙、霧、曇り空、テーブルの紅茶の湯気まで)、美術、音響など全てのクオリティーが高い!
リドリースコット 素晴らしすぎます。
もはや芸術ですね。
黒澤明の映画を見ているようです。
ラストのワーテルローの広大な空間表現、臨場感、迫力は必見です。
ナポレオン最期の言葉がジョゼフィーヌであった事を納得させられる二人の関係性も、ヴァネッサ・カービーの巧みな演技もあいまって、見応えありました。
ナポレオンが流刑になってからの、ジョゼフィーヌの遺言ともとれるラストメッセージ。"こちら(あの世)で、とっておきのものを用意して待ってるわ……"
余韻が残り、深く考えさせられました。
そろそろアカデミー監督賞あげて。
もう、85歳です。
メールが無い時代だからこそ
アンチ・ナポレオン?
ホアキン・フェニックスといえば、「ジョーカー」の怪演で知名度大幅アップしましたが、リドリー・スコット監督作品なら、「グラディエーター」の憎たらしい悪役でとっくにお馴染みでしたね。
それにしても、英雄ナポレオンまで怪演になるとは、予想外でした。
フランス人と仲が悪い(?)イギリス人監督だからなのか、従来のイメージの時代精神的ナポレオン像ではなく、不器用で田舎者っぽい、おっさんくさい姿に描かれています。
ナポレオンに何か恨みでもあるんですか? と問いたくなる内容。
込められたメッセージは、どうやら、野心から戦争を重ねて多数の人を犠牲にしたという糾弾のようですが、フランス革命後期のカリスマ的指導者の実像が、あんな凡庸な人物だったのなら、多くの人々の支持を得ることなどありえなかったでしょう。
私にナポレオンの肩を持つ義理はありませんが、実在の人物を描く作品にしては、公平さに欠けるように感じました。
フランス革命とナポレオン戦争の予備知識がないと「なんで戦争ばかりし...
ナポレオンと言ったら
かっこいいイメージがあったが、全然違った。
ずっと歴史を追ってるような映像なのに、戦争シーンの迫力はなかった。そもそも歴史や戦争に関する映画ではなく、「愛」に関する映画だった。だから、(かっこよくなんかなくても)この映画のナポレオンは嫌いではない。
ホアキン・フェニックスさんは、(私のイメージの)ナポレオンではなかったが、次はぜひ、ベートーベンを演じて欲しい。きっと似合うと思うのですが・・・。
ナポレオンとジョゼフィーヌのレジェバタ
エイリアン、ブレードランナー、グラディエイター、オデッセイ・・・巨匠リドリー・スコット(85歳)の描く「ナポレオン」さすがの大傑作でした!
(ちなみに「翔んで埼玉2」のポスターで白馬に乗ったGACTの元ネタがナポレオンの肖像画です)
この映画は「我が輩の辞書に不可能という文字はない」のナポレオンではなく、妻ジョゼフィーヌとの愛の葛藤に悩むナポレオンを描いています。
マリー・アントワネットのギロチンから始まるこの映画。「首」を見た後だったので、うわっまた首かよと思いましたが💦
「英雄か悪魔か」ナポレオンが率いた戦争での死者は300万人。まさに死神と言ってもいいでしょう。戦闘シーンのスケールと迫力はまさにケタ違い!そして徹底的に無慈悲で冷徹。
特にエグいのが「アウステルリッツの戦い」敵を誘い出すように兵を動かして湖の真ん中に出てきたところで砲弾を打ち込み敵をまとめて凍った湖の中に叩き落とす。なんてヒドいことを!
草原の真ん中に巨大な穴を掘って湖を作り出して撮影したそうなんだがそこまでする?そんなことが許される監督もそうそういないでしょうね。
「本能寺の変」とか「関ヶ原」とか日本人ならあぁアレねとわかるけど外国人にはさっぱりなのと同じように「・・・の戦い」と言われても良く知らないんだけどきっと向こうでは誰でも知ってることなんでしょう。
同じようにナポレオンとジョゼフィーヌの逸話もフランス人なら誰でも知ってる話なのかもしれませんが、僕が知ってるのはなんか悪妻で有名らしいというくらいです。
6歳年上で2児の子持ちだったジョゼフィーヌに一目惚れして結婚したナポレオン。
いや、どんだけジョゼフィーヌのこと好きだったんですか?遠征先のエジプトの戦場から毎日手紙を書いていたそうで、きっと今だったら10分おきにLINEしてたことでしょう。
対するジョゼフィーヌはナポレオンがいないのをいいことに若い将校と不倫。浪費癖もすごい典型的な悪妻。そして妻の浮気を知ったナポレオンは戦争をほっぽらかしてエジプトから帰ってくる始末。
ちなみにエジプトでピラミッドに砲撃するシーンがありますがアレは都市伝説です。ナポレオンはピラミッド撃ってません。
あと、マリーアントワネットの処刑時の髪は短かったとか、ナポレオンはその時他の戦場にいて処刑は見てないとか色々あるみたいですが、当然ナポレオン研究の第一人者や歴史学者の監修を受けているわけで、史実と違うとのイチャモンはわかってる上での映画上の創作なのでしょう。監督曰く「お前その場にいて見てたわけでもないのに黙ってろ」です。
「私がいなければ自分には何もないと言え!」「私がいなければあなたは何者でもないと言いなさい!」とお互いに言い合う歪んだ愛は続き、ナポレオンはかなり嫉妬深い偏執的な男だったようですがまぁ愛の形は人それぞれ。「正欲」のように人から見て普通ではなくてもそれはそれでアリですからね。
とにもかくにもジョゼフィーヌの存在がナポレオンの原動力になっていたのは間違いない。彼女がいなかったらナポレオンは普通の将校で終わったかもしれませんね。
皇帝になった後のナポレオン。
ジョゼフィーヌも心を入れ替えて良き妻、皇后としてナポレオンに尽くすのですが、不妊を理由に離婚することになってしまいます。跡継ぎができないというのは国家にとっても一大事だったのでしょう。
そう考えると日本の大奥というのは良くできたシステムで(跡継ぎは本妻の子でなくても構わないのでとりあえず作っとく)これがあったらナポレオンも大好きなジョゼフィーヌと別れなくてもよかったのにね。とは言え離婚後もジョゼフィーヌがちゃんと何一つ不自由なく暮らせるようにして時々訪ねていったりしていてほんと好きだったんですね。
その後の戦いでロシアの裏切りにあい多くの戦死者を出した責任を取らされて島流しの刑にされるのですが、なんとこの間に裏切った張本人のロシアの将校がジョゼフィーヌを口説きにジョゼフィーヌの家へ。て、なんなんコイツ!それを知って激怒したナポレオンは島流し先で強引に船を手配して勝手にフランスへ戻ってくるという…。
戻ってきた後のナポレオンは再び権力者として戦いに身を投ずるのですがその間にジョゼフィーヌが病死。
ジョゼフィーヌ亡き後のナポレオンは何かが抜け落ちてしまったのかのように、敵に「彼はまともに戦えていない」とまで言われ、ワーテルローの戦いで大敗を喫し再び島流しに。そして流刑の地で生涯を終えます。最後の言葉は「ジョゼフィーヌ・・・」だったそうです。(そこは映画にはないけど)
まさに「私がいなければあなたは何者でもない」になってしまったわけです。
二つの孤独な精神の交流
2023年。リドリー・スコット監督。マリー・アントワネットが断頭台に送られたときに一人の将校に過ぎなかった男が、大胆な軍事作戦を成功させることによって成り上がっていき、やがてフランス皇帝となった後、急速に没落していく様を描く。冷静沈着で目的遂行のためには手段を択ばない冷酷無比な人間離れした男としてのナポレオンが、唯一人間らしい交流を持つのがジョゼフィーヌ、という設定。常に満たされない憂い顔のフェニックスと目玉の大きなびっくり顔のカービーが、人間味をまったく感じさせない、かといって愛がないわけではない夫婦を演じている(こういうのを怪演というのではないか)。全体に重苦しくシニカルな人間観が漂っている。
この二人以外はほぼエキストラといってもいいほどの密度でそれぞれの孤独と二人の関係が描かれていく。ほんの一瞬の心の交流があればそれで人生はめっけもので、そのほかの大部分は労苦に過ぎないという暗鬱なメッセージを突きつけられている気がする。しかもその一瞬さえ偽りかもしれない不安がつきまっているのだ。
映画の最後にナポレオンが率いた戦争の死者数が現れる。つくづく、革命の熱狂の余韻がなければこれだけの死者を生み出す戦争は成し遂げられなかっただろうと感じられる。ナポレオンが世界精神の体現者として表れて歴史は終わる、とヘーゲルは考えたらしいが、人々を死に追いやる世界精神とは何だろうか。
英国人が描くフランス
英国人のリドリー・スコットがフランスの英雄ナポレオンを描く。なぜ?
ナポレオンを演じるホアキン・フェニックスは様々な民族の血が混ざっているので、ナポレオンの出自からすると最適なのですが・・・。
結論から言うと面白くなかったです。ただ飽きる事はなかった。
戦争シーンは迫力あるし、何より怪優ホアキン・フェニックスがここでも見せてくれるので、彼が出てるだけで異様な雰囲気がスクリーンから発せられるます。
でもそれだけ。
フランス革命からワーテルローの戦いはヨーロッパ史では常識なせいか、描写があっさり過ぎ。何よりもナポレオンとジョセフィーヌの関係が全く面白くないのにやたら時間を費やしている。
そもそもリドリー・スコット監督に(下手だから)男女のドラマなんて求めてはいないのに、監督自身がそれが下手なのを自認していないからだと思う。
でも一番ガッカリしたのは普通のワイドスクリーンの映画だったこと。
ナポレオンにまつわる映画は意外と少なくて、すぐに思い浮かべたのは1927年のサイレント映画。それをフランシス・フォード・コッポラが復元し、日本では黒沢明監督が協力して公開された、オーケストラ伴奏の3面マルチスクリーン上映のもの。
それがあるからフランス史なのに、映像派リドリー・スコットがナポレオンを撮って、最高の絵と音に拘った絢爛豪華な映画になると期待したのになあー、至って普通の歴史劇である。
これなら2部作にして、砲長から皇帝に登りつめる栄華を描いた前編と、ロシア進行からワーテルローの戦いの敗北を描いた後編でじっくり観たかった。
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