ヒッチコックの映画術のレビュー・感想・評価
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モキュメンタリ―
映画ファンならスリラー、サスペンス映画の巨匠ヒッチコックを知らない人はいないでしょう、81歳の生涯でサイレント時代から53本の映画(日本公開は32本)を作り多くの賞にも輝いています。
著名人ですからヒチコック自身を扱った映画も本作を含め7本もありますが本作はヒチコック自身が50本の作品を引用しながら、1:逃避、2:欲望、3:孤独、4:時間、5:充実、6:高さの6章にテーマ分けして語る形式で作られています。
全ての人に逃避願望があるとか、嫉妬は欲望の裏返し、殺人さえ欲望のひとつ、時間については自身が74歳の時に心臓に時計(ペースメーカー)を埋められたとか自身無類の高所好き、高所撮影は演劇や絵画では表現できない映画の強み、充実では仕事より私生活の充実が第一とか興味深く鑑賞しました。
ただ、多少は実際の生前のインタビューなどを参考にしているでしょうが脚本は映画史にも精通したマーク・カズンズ監督のヒチコック映画の分析によるモキュメンタリ―です。全編のナレーションは物まね芸人でコメディアンのアリステア・マクゴーワンさんが務めています。
ヒチコックさんといえばユーモアにも溢れ自身のカメオ出演が多いことでも知られていますが何故かは本作では触れられていません、確かにヒチコック研究の考察としては優れた視点の数々だと思いますが信憑性に多少疑問があるので驚きの演出秘話という程でもありませんでした。
ちょっと思ってたのと違った
200人の部屋にぼく1人しか居なかったもんで、非常にぜいたくに鑑賞できた。
予告編には映画を観ている人が映画の世界に入り込むための視覚的効果として、人物の後ろにカメラがついていき、ドアは閉めずにドアの影と閉まった音だけを効果として入れる、という工夫が紹介されており、てっきりこういう話をたくさん知ることができるのかな、と思って期待して観たのだが、ちょっと違った。
逃避、欲望、孤独、時間、充実、高さ、という章立てのもつ意味もよく分からなかった。
全体的な内容としては、ヒッチコックが映画で表現しようと思うことがあり、それを表現するためにストーリーや構図を工夫している、ということだけど、冒頭のドアの話以上に面白いことはあまりなくて、まあそりゃそうだよね、と思うような話が多かった…。
ヒッチコックの映画のシーンをたくさん観ることができたけど、それらのシーンの意図みたいなものの情報はそれほど多くない。ヒッチコックファンが映画をなつかしむための映画って気がする。
ときどき挿入される現代のカメラで撮影されたシーンにははっとさせられる美しさがあり、逆に今の映画の画面は昔と比べ非常に美しくなっている、ということを再確認させられた。
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