劇場公開日 2023年9月29日

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「不思議な陶酔的語り口を持ったドキュメンタリー」ヒッチコックの映画術 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5不思議な陶酔的語り口を持ったドキュメンタリー

2023年9月28日
PCから投稿

ヒッチコックとは尽きることのない壮麗なワールドであり、一度ハマると抜けられなくなる沼でもある。本作はその魅力を紐解くドキュメンタリーながら、ヒッチコック自身のナレーション(という体)で観客を導く不思議な語り口を持った作品だ。その作品群を探求する上での視点も切れ味が鋭く、まずは「逃避」や「欲望」という不可欠なテーマ性について贅沢に映像をモンタージュさせて一つの特色を浮き彫りにし、「時間」の項ではいかに映像をタイムマシンの如く駆使して時を自在に操ったのかを提示。「高さ」の項では主人公や物語を見下ろすカメラの位置の高さについても触れてみせる。そのほか扉の開閉に関する言及にも「なるほど」と頷くことしきり。とはいえ、ヒッチコックならではのゆっくり口調が陶酔的な時間を紡ぎ、なおかつ各作に関する細かな解説はなくどんどんモンタージュが展開されていくので、入門編というよりは、中・上級者のほうが楽しめるかも。

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牛津厚信