「大人が得るものはほとんどないが、折角なら4DXでアトラクションした方が良いかも」FLY! フライ! Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
大人が得るものはほとんどないが、折角なら4DXでアトラクションした方が良いかも
2024.3.20 吹替 TOHOシネマズ二条
2023年のアメリカのアニメーション映画(83分、G)
マガモ一家の初めての冒険を描いたアドベンチャー映画
監督はバンジャマン・レネール
脚本はマイク・ホワイト
原題は『Migration』で、直訳すると「移住」という意味
物語の舞台はアメリカ・コネチカット州ニューイングランドのムースヘッド池
そこに住むマガモのマック(声:クメイル・ナンジアニ&堺雅人)は、その池から一歩も出ようとしない臆病な男だった
妻パム(エリザベスバンクス&麻生久美子)はそんな夫に呆れていて、息子ダックス(キャスパー・ジェニング&黒川想矢)と娘グウェン(トレシ・カザル&池村碧彩)は、そんなことを気にすることもなく、池の中で自由に遊んでいた
ある日、その池に渡り鳥一家が訪れ、その中の娘キム(イザベラ・メルセード&芹澤優)は、「ダックスに一緒に旅をしないか」と声をかける
ダックスはキムに一目惚れし、行きたいと思っていたが、マックは同行することには否定的で、そうこうしているうちにキムたちはジャマイカに向けて旅を続けてしまう
映画は、マックを説得する家族が描かれるものの、その決め手となったのは叔父のダン(ダニー・ディヴィト&羽佐間道夫)の言葉で、「この池にいたら楽しいが一人になる」というものだった
マックは、その言葉を重く受け止めて旅に出る決意をするのだが、ぶっちゃけ「唐突すぎて」家族も観客もついて来れない
とりあえず旅に出さないといけないから動かした感がすごくて、それならば「マックを置いて3人が行ってしまう」という絵を描いて、「孤独になること」を見せつけた方が理解が早いように思える
その後、道中で色んなトラブルに見舞われるのだが、野生パートはほどほどで、ほとんどの危険はニューヨークに集中している
都会に来てからは、絵面が汚れてしまうシーンが多くて、その尺が思った以上に長いので、見ていて疲れてくる
最終的に飛び立つシーンで高揚感を取り戻せるが、物語自体が予定調和でそこまでメッセージ性も無いので、大人は睡魔に襲われてしまうのでは無いだろうか
この手の親子ムービーは、鉄則として「親が教訓を得て、子どもは共感を得る」というものだが、果たしてマックから学ぶものがあるのかは何とも言えない
子どもは空を自由に飛び回る爽快感とか、次々に起こるハプニングにハラハラできると思うが、基本的に「絵が怖い」ので、それだけで子どもは泣き出してしまうのでは無いだろうか
このあたりのバランスが何ともダークよりだったので、あまりウケないように思えた
いずれにせよ、字幕版がほとんどなく、吹替で鑑賞することになったが、そこまで違和感を感じることはなかった
個人的にはもっと自然のシーンとか、自然の脅威などを描いて欲しかったので、あっさりと都会に行ってしまったのは残念に思う
そこでのアクションはスリリングなのだが、基本的に「狭いところを飛んで逃げるだけ」なので、途中から飽きが来てしまう
動物目線なので、コックが無言で「彼が自分のすることをしている」というのが効果的になっているが、そういった無言の人間との絡みをもう少し増やしても良かったのでは無いだろうか