Chimeのレビュー・感想・評価
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タイトルなし
菊川ストレンジャーに見に行きました。見られるものは極力ここで見てます。映画館を応援するのも楽しみの一つ。 昔の黒沢清が戻ってきたようだった。北野武がまたバイオレンス撮り始めたみたいな感じ。 内容はさっぱりわからなかったけど、黒沢清のいいところって劇中最低1回は笑わせてくれる所。面白いとかじゃなくて、不気味すぎて笑える、不穏すぎて笑える、みたいな。鶏肉のくだりが冴えてたなあ。笑ってしまった。 電車通過の反射光やら基本能力の高さは当たり前として(最近の邦画では見られないけど)、演出力がずば抜けてる。当たり前か。俳優の台詞を抑揚なくすることで芝居の臭みを隠すやり口、最近は濱口竜介の専売特許みたくなってるけど、よく考えたらこの人が元祖かも。バブル崩壊後から今も続く現実観に合ってるんだろうな。
“恐怖”を体現
黒沢清映画をあまり観たことがないからだろうか、表現のみで押し切る映画に感じてしまった。 確かに、多角的な恐怖を1本に収めた作品ではあるが、細部の説明が全くなく、ただ過ぎ去っていく。それが故に、恐怖以前に疑問が先行してしまい、“謎”として脳内処理されてしまう。そんな処理を行う自分がまだ未熟なのか、そう思わせる雰囲気は感じた。
だいたいまともだけどちょっと異常
ずっと《散歩する侵略者》を観てる感じだったの。登場人物は宇宙人にやられてたのかもね。 みんな大体まともなんだけど、ちょっとおかしいんだよね。その「ちょっと」を見つけてきて描くのスゴイなと思いました。 物語を通して主張は感じられなかったけど、なにかあったのかな。 おもしろかったから何もなくても良かったです。
メンヘラ大集合か侵蝕か
頭の中で叫び声の様なチャイムが鳴っているという生徒に出会い、不穏な状況に陥っていく料理教室講師の話。 チャイムの音に苛まれ気を紛らわせる為に料理教室に入ったという生徒に、先生にはチャイムが聞こえないのかと聞かれ、その時は聞こえなかったけれど…。 脳の半分が機械の発言からの唐突な流れはホラーというかスリラーというか、と思っていたら、次の展開はもっと唐突でこれは不条理系の話しということですかね…奥さんのヤツもその量は収拾してこなきゃ絶対賄えないですよねw 尻切れ感はあったけれど、ストーリーという程の流れも無いし中編だし、これはこの終わり方で良いのかなという感じだった。
久しぶりにCUREでも観るか
狂気と恐怖の「表現」だけを高純度で追求すると物語は消失しても構わないってこと?私の感性ではそれ以上のものは読み取れなかった。Jホラーの見慣れた日常が侵食されていくパターンも個人的には食傷気味だし、言うほど実生活と至近にも感じないのでもういいかな。
チャイムの音を想像してみる
黒沢清監督の作品を観たのは「CURE」以来…。 場内はほぼ満席で関心の高さがうかがえました。 出てくる人が全員おかしくて、何でおかしいのか明確に言えないあたりが余計に気味が悪い。 不気味さの余韻が纏わりつくような作品でした。 でも不思議とまた観たくなってしまう… 電車が通った時の田代くんと、その影が映ったシーンがとても好きでした。
恐怖はどこからやってくるのだろう。
2024年。黒沢清監督。料理教室で講師をする男は「頭のなかでチャイムが鳴る」「誰かに半分脳を乗っ取られた」というちょっとおかしな参加者を疎んじつつ目を離せないでいるうちに、目の前でその男が死んでしまう。同じころ、有名レストランからの誘いを受けて意欲的に面談を受けるが、その直後、今度は自分が教室参加者の一人をめった刺しにして殺してしまう。家では妻とも息子とも会話らしい会話がなく、最初の事件の刑事が次の事件では行方不明者の捜査として現れる。レストランの話は簡単に立ち消えになってしまう。男の周囲を不穏な世界が取り囲む。 幽霊の恐怖、自分が殺してしまう恐怖、捕まってしまう恐怖をすべて詰め込もうとしたと黒沢監督はインタビューに答えている。なるほど、殺してしまった女性は幽霊として、画面には現れないまま存在感を出しているし、おかしな参加者を突き放しきれなかったり、息子やレストランの経営者らしき男に蔑まれたりした後の様子を見ると、自分が殺人者になってしまうかもしれない恐怖(いわゆる殺意)と戦っているようにみえる。また、女性を殺してしまった後では刑事の存在におびえている。 これらの恐怖はこうも言える。想像することの恐怖①、自分には計りしれない自分自身のなかにあるものへの恐怖②、現実世界への恐怖③。①はイメージの世界であり、②は無意識や抑圧の世界であり、③は法や社会の世界である。これらすべてに恐怖を感じる男は、扉をしめて、安全とはいいがたい家の中に閉じこもるばかりだろう。「安全とはいいがたい」のは、家の中では想像を禁じることも、現実から逃避することもできるが、抑圧されているもの(妻がため込んだゴミ)や他者としての家族は禁じるとこも避けることもできないからだ。われわれはみな「ここ」に生きている、と黒沢監督はいう。
役所広司、ダンカン、長谷川博己、そして吉岡睦雄。
私的年テン上位当確。 久々折角の直球高純度な黒沢清節には長編で耽溺したかったが。 役所広司、ダンカン、長谷川博己から吉岡睦雄という黒沢清の不穏能面俳優起用の進化深化を愛でよう。 省略冴えるも何箇所か微量の撮り過ぎと緩みが惜しい。 その緩みこそが巨匠の味わいか。 劇場で。
黒沢ホラーの集大成
黒沢清がこれまで作ってきた怖い映画の技術が、45分にギュッと詰め込まれている。なので、どのショットを切り取っても黒沢清のハンコが押してある。つまり、45分途切れることなく、ずっと楽しいということでもある。 中編なので、外連味的なショットは排除されているし、まとまりすぎて教科書的すぎるきらいはある。 おそらく、今後は「黒沢清入門」的な存在となって、黒沢清を観たことない人はまずはこの作品からということになるのでは。
壊れた心の音
この女、ムカつく、もう我慢できない。と思っていると、そんな気持ちがどこかへ行ってしまうとんでもない出来事が、スクリーンの中で起こっている。 度肝を抜かれて、ひたすら画面を追うだけ。 心が壊れた人にしか、聞こえない音。精神がすり減った人が発する音。 音がこの作品の肝なので、劇場で見てください。
怖いよ〜怖いよ〜
「スパイの妻」の黒沢清も好きだけど、「CURE」の黒沢清も好きだなあ…ということを再認識させる1本。 決定的に何かが起こるのは包丁を使った2回くらいで、それ以外は確実に『何かが起こっているんだけど、何かを映さない』『音や構図や演者の顔だけで何か起こったことを示す』という恐ろしさ。心霊なの?宇宙人なの?いやもうただの不条理なの?っていうジャンルを横断してるとも言えるし、横断してるかも分からないけど、分からないから怖さが増す。知らん間に無機質の狂気が他の登場人物に連鎖してる感じも恐ろしい。決してベロベロバーに頼らない。 ラストカット、「いやそこに立ってると下手したら死ぬよ?」という絶妙な位置に立ってるシーンを何回か見せてからの家。この後何するの…怖いよ…。そこで切ることで見る側の生活と地続きになってる感じになる。事実帰り道に歩いていたところ、閉店したガソリンスタンドに電話がかかってきてて、もうその電話音が怖くて怖くて。関係ないんですけど。 料理教室って実は恐ろしいよねという気づき。見知らぬ人たちが正気を保っていることを前提に包丁使いまくったり、火を使いまくったり…。 淡々と講師が説明するのに、過剰に玉ねぎを切り裂き炒め物を焦がす登場人物。掴みから完璧。 「私理屈で説明してくれないと納得できないんです」的なセリフがあるんだけど、この映画のことを言い表してると思うので、もう一度見てみたい。 血しぶきの後に、自分の手から流れた少なめの血に対して絆創膏貼るシーンが一番印象的でした。
不穏感がこれでもかと
レンタル配信で観た後、劇場公開も観に行きました。 やはり劇場は音が体感できて、映像と音響で不穏さがこれでもかと伝わり良かったです。 冷静に会話をしているのに全く理解しあえない感覚も、日常的なやり取りから突然異様な行動に出る境目の無さも、淡々と追うカメラワークも薄暗い建物も、全てが不穏で嫌な感じで恐ろしいです。 意味不明なまま狂ってゆくようなストーリーも、この中編の長さの時間で丁度良かったと思います。 ついでに、自宅のPCで配信を見ていた時、クライマックスあたりでリアルに自宅のチャイムが鳴ってビビりました。
Chime❲ra❳
評価が高いようだが、自分には理解不能だった。
松岡は他者への無関心さが際立っており、演技も相俟って不気味。
それを上回る田代の分かり易いおかしさで、最初は違和感を感じづらい仕組みは上手かった。
電車の通過により、壁に田代の影が明滅するように映る演出も素晴らしい。
その田代の事件までは興味を惹かれ面白く観られたが、それ以降は意味不明。
松岡の妻が行う行動は確かに異様だが、まずその大量の空き缶はどこから集めてきたのか。
菱田も変だが、あの中だとまだ現実的に感じる不思議。
松岡の殺人は衝動的かと思いきや、処理の準備がしてあったり、常習的なのか含めて謎。
面接も、営業中の店内で、しかも奥でなく手前の席でやってること自体が不自然すぎる。
更にそこでも事件が起こって…
チャイムが何なのかや、その他の異常さについては一切説明ナシ。
タイヤ痕や最後の木なども意味深なだけ。
それどころか、起こることに関連性があるようにも思えず、単にあの世界がおかしいようにしか見えなかった。
予告で「それは、この世に確実に存在するであろう 摩訶不思議な恐怖――」とあるが、どこが??
統合失調症や、理解不能な事件の数々をひとまとめに扱ってるのかな。
劇中にほとんどリアリティを感じなかった。
理由が明かされない恐怖、緊張感と迫力のあるシーン、不穏な音、放置された謎。
理由が明かされない恐怖、緊張感と迫力のあるシーン、不穏な音、放置された謎。
この45分の内容で十分凄いかもしれませんが、これにある程度の説明がされて、ある程度物語が理解されてこそ、映画としての快感が得られると思います。
ここまでなら作れるのかもしれません。
最後まで完成させるのが大変なのだと思います。
と、きっとこの映画の観客層として想定された、黒沢映画通の人とは異なる普通の観客の私は思います。
この場で「もう少し話がわかる方が面白い」なんて言ったら、「君は、わかってないなぁ」なんて言われそうでとても怖い。
激しく鳴るチャイム
フランス料理教室の講師を勤める一方で憧れのレストランのシェフとして働くことを夢見てレストランとの面接を受けたりしていた主人公の松岡。
ある日、フランス料理教室の講習中に田代という生徒が異常な行動に出るようになる。
玉ねぎの粗切りするシーンで田代は玉ねぎを小刻みに切り刻むことをやめないで続けると、さすがの松岡もこれ以上切ると玉ねぎの水分が失われてしまうと指摘した際に忠告した。
先生、チャイムの音が聞こえてこないか?
チャイムからうめき声が聞こえてくる。
田代の話に松岡は何かの間違いだろうと聞き流し料理を続けるように促したあとも田代の不可解な行為は続く。今度は玉ねぎを焦がしてまで焼き続ける姿に松岡は田代に呆れながらも対処する。
後日、パイを作る講座を行った際に田代は松岡に対し抵抗を示すと自ら包丁を首に刺し亡くなってしまう。
田代が亡くなり、受講していた生徒がたった一人だけになってしまうと、鶏を捌くことを教えるシーンで生徒がなぜ捌かねばならない?理由を教えて!気持ち悪い!と咎められると、自らの考えを否定され逆上した結果殺してしまう。
ついに殺人を犯した松岡には、夢のためにも遺体を遺棄し隠蔽するしか道がなかった。しかし、料理教室が開けないほど生徒が来ないために家にいる毎日。そんな中、レストランの面接で必死になるがあまりに、レストランの良さすら答えられないほど自我をアピールし過ぎたがために面接は破談で終わってしまった。
もう後が無い松岡に待っているのは自滅するしかなかったのだろう。ラストの家に帰り、最初に目についた扉があいているのを見て松岡の最期だと思った瞬間だった。
リトルブラックホールみたいだ
45分はアイデアでいったら短編コミックのようで、つまりディティールだけで走り切ってしまえるので、つげ義春やいがらしみきおの怪しげな漫画のような、答えのつかない描写芸術みたいなところはある。 こんな脚本があったとして、これが黒沢清であるだけで得体の知れないものに変容してしまう。どれだけ脚本に描き込まれてるのかわからないけど、「線路沿いのビルの2〜3階の料理教室」なのかただの「料理教室」なのかしらないけど、もう通過する電車の音と光、奥に見える東京の空、人気のない、けど、ゴミは転がる裏路地、普通のようでいて缶だけやたら消費してる主人公の家、チャイムを聴いたというそもそも料理教室にいるのが変なんじゃねぇ?という男性、肉に刃をむけるのができない、と言い放つ乱暴で凶暴な女、そしてそれを上回る凶暴な主人公、リアリティ満載の死体遺棄の後の疾走(完璧な暮れ時での横移動)、そして処分したはずのそのけったいなものはどうも殺せるような代物でなく、その辺をうろうろしているようである。。あんなことまでやっている主人公が心底恐るものなんてなんだろう。 とにもかくにもここに吉岡睦雄主演含めてブラックホールみたいな短編が誕生した。よかった。
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