「斜めの世界で生きるベルク」ヒンターラント つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
斜めの世界で生きるベルク
連続猟奇殺人事件を追う、元刑事の帰還兵を主人公としたミステリーサスペンスで、戦争の傷あとを、街の破壊などの物理ではなく精神面を描いた作品だったかと思う。
戦争が終われば万事解決とはいくわけもなく、戦時中の出来事は尾を引く。
この手のテーマはよくあるといえるが、ストレートなドラマにせずミステリーサスペンスに仕上げエンターテイメント性を作り出そうとしたのは良かった。
物語が特に面白いということはないけれど、淡々としたものよりも非常に見やすい。
ブルーバックを使った、いわゆる人物以外はCGという作品で、ゴシックホラーのような雰囲気は作品の内容と合っていた。
見所といえるか分からないが、興味をひかれた部分としてカメラアングルを上げたい。
実際はカメラアングルというより背景の嵌め方ということになるだろうが。
主に主人公ベルクが登場するシーンでは、その多くが斜めになっていた。ベルクの背景が平行ではないのだ。
歩くシーンでは、坂ではなくとも坂道を歩いているようになる。
これはベルクの置かれている状況、心境の変化に関わっていたかと推測する。ベルクが昇るのか降るのか。背景が歪まなくなる時はくるのか。そんなところが面白さの一つかと思った。
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