「雰囲気は出ているが、ミステリーは割と雑」ヒンターラント かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
雰囲気は出ているが、ミステリーは割と雑
曲がって歪んだ背景、建物。
淀んで暗い画面が多く、悪夢感は伝わってくる。
戦争は多くの人にとって悪夢だが、さっさと夢から覚めてしまう人もいれば捕まったまま逃れられない人もいる。お人形のようにカワイイ監察医の先生のように、良い方に転換あった人もいる。
ペーターをはじめ、帰還兵たちは、ずっと悪夢の中にいる。
国のために命をかけて戦って、せっかく生き伸びたのにソ連に抑留され、ようやく帰還してみれば家族は離散、家も仕事も金もなく、その上、アカだとか元国王派だとか周囲に謗られる。彼らの心象風景がこの曲がった世界かも。
「セブン」的なお仕置き殺人なのはすぐわかるが、では何を暗示しているのか。
いきなりセリフで判明する。
真犯人が分かっても「誰?」状態。
言葉の上でちらっとだけ出てきた人なんて分かるわけない。
そして、奥さんの小包はどうなったんだろう??
雰囲気は出ているが、ミステリーとしては割と雑。
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かばこさんのコメント
2023年11月3日
こんにちは
私も天皇制の「良し悪し」を語るのは手に余りますが、感覚として、戦後天皇を「悪しき制度」として天皇制が廃止されていたら、日本でも帰還兵の受け入れ感覚は一変していたかもと思いました。一般大衆は「錦の御旗」のあるほうに流れるものな気がします。
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2023年11月3日
コメントありがとうございました。
天皇制の良し悪しについて論ずるのは私の能力を超えますが,天皇のもとに一体感が残っていたから日本では復員軍人受け入れに抵抗がなく,ベトナム帰還兵については,当時米国社会が対立や分断に相当悩まされていたことの反映だったのでは?と思いました。
こうして色々考えさせてくれるのが私にとって良い作品です。