劇場公開日 2023年9月8日

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「リヴ・リサ・フリースの知性美よ!」ヒンターラント flushingmainstさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5リヴ・リサ・フリースの知性美よ!

2023年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「そして船は行く」で青い布をパタパタさせて海を表現したフェリーニには、決して“陳腐な手法を使って!”などとは誰も言わないであろう。
主人公が戦場の地獄から帰ってきたこの街の背景がブルーバックに投射したものでも、そこには歪で暗澹とした風景が緻密に描かれ、それは戦争で歪められた自分なのか、社会なのか…見るものに色んな事を考えさせる。陰鬱な殺人事件が重なってどんよりする中、医学博士役のリヴ・リサ・フリースのあり得ないほどの美しさに観客は心のよりどころを見つけることが出来る。そう、主人公ではなく観客のみが救われる。この構図ってなかなかできそうでできない気がするのである。

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