「ここは別世界」ヒンターラント MARさんの映画レビュー(感想・評価)
ここは別世界
第一次世界大戦後、ロシアでの捕虜生活を終え帰国したペーターと戦友たち。しかし祖国で彼らを待ち受けていたのは歓迎の声ではなく…。次々と変死していく戦友達の真相を追い求める物語。
ブルーバック撮影(?)という手法で独特な世界観を醸し出すミステリー作品。
物語としても、戦争と捕虜生活を終えてなお、英雄扱いされるでもなく苦しい生活が始まっていく厳しさや、謎のキーワードや誰が犯人なのか…といった、ミステリーとしても良質な印象。
その他、最初はいがみ合う2人が徐々にバディに…という展開も好きだし、尺も丁度良い。ホント、ワタクシの好きが詰まったような作品。
奥さんはねぇ…。惚れない自信があったんだと思う、なんて言われてもねぇ。本筋じゃないがここらへんの気持ちは理解できませんな。
そしてペーター達や犯人の物語も。
過ちを犯したが…正しい方法なんてなかった。。う~ん、深い。
犯人の気持ちもわかるし、委員会の気持ちも。じゃあ本当に悪いのはロシア?いやでも、それを言ったら戦争が始まったきっかけは?…責任を追及していけばキリがない。
キャラクターとしては、相棒となるセヴェリンがお気に入り。
でも、ペーターがそれだってこと…教会で狙わてたのに、そこでやっと気づくの(笑)?
ちょっと抜けたところが良い味だった。
全体を通して、とても面白かったけど、ミステリー作品はどれだけ観ても素直に騙されるワタクシが、本作はその話が出た時から、実はコレコレこうで…ってな具合に犯人を当てちゃってある意味拍子抜け(笑)勿論マグレですが。
後は、ブルーバックの世界観も美しく濃い味付けにはなっているものの、切張りしたかのように安っぽく見えてしまう所もあったし、こういうのはファンタジー作品とかならハマりそうだけど。
シンプルにストーリーが良かったし、そもそもオーストリアの街並みってただでさえ美しいですからね。
そんなこんなで、色んな印象を受けましたが、ミステリー作品は好きだし、要所要所で深く考えさせられるセリフやシーン出てきてとても面白い作品だった。