「何の信憑性も説得力もない設定が失笑を誘う」変な家 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
何の信憑性も説得力もない設定が失笑を誘う
序盤のいかにもオカルト風の雰囲気から、家に取り憑いた悪霊とか呪いとかの話なのかと思っていたら、あれよあれよと「八つ墓村」のような田舎ホラーになっていく展開に驚かされる。
ただし、田舎の因習や排他性などが浮き彫りになるようなテーマ性はこれっぽっちもなく、ここで語られるのは「左手供養」という訳の分からない儀式ばかり。
しかも、この儀式が、いみじくも、主人公が「そんな馬鹿げたことを信じるのか?」と叫ぶとおり、何の信憑性も説得力も感じられないシロモノなので、まったくと言っていいほど物語の中に入り込むことができなかった。
そもそも、左手のない子供が生まれることが「祟り」であるはずなのに、どういう理屈で、男の子に10年間も日光を当てず、しかもその子に3回も人を殺させて、その左手を切り落とすということが、祟りを鎮める儀式になるのだろうか?それ以前に、健常な男の子が生まれてきた時点で、祟りはなかったと判断できるのではないだろうか?
薬を使って集団催眠をかけているといった説明もあったが、それにしても、こんな筋の通らない話が何代にも渡って信じられ、殺人が繰り返されてきたという一族の歴史も、高校生の時から親戚に拉致監禁されていたという瀧本美織演じる姉夫婦のエピソードも、とてもすんなりとは受け入れることができない。
クライマックスの儀式のシーンのお粗末さや、主人公に銃口を向けた男がなかなか引き金を引かないまま殺されてしまう間抜けぶりは、まさに失笑ものだが、通路だと思っていた空間が子供のためのシェルターだったことや、儀式のために母親がホームレスを殺していたことが判明するくだりに、何の感動も驚きも感じられないのは、やはり、現実離れした突拍子もない設定のせいだろう。
何よりも、いかにも面白くなりそうな「家の間取りの違和感」という着眼をまったく活かすことができなかったのは、残念としか言いようがない。
コメント、ありがとうございます。
物語の核となるだけに、いくらでも「もっともらしい」儀式にすることができたと思うのですが、どうしてこうなってしまったのかが不思議ですね。
≫健常な男の子が生まれてきた時点で、祟りはなかったと判断できるのではないだろうか?
ほんとコレなんですよね…
「洗脳」のひと言で何でもありにされるのも辟易としてます。