「同じような役柄で他の映画にも出ちゃっているので、それを観た人は瞬間的に犯人がわかってしまうよね」変な家 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
同じような役柄で他の映画にも出ちゃっているので、それを観た人は瞬間的に犯人がわかってしまうよね
2024. 3.16 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画
原作は雨穴著作の同名小説
ある見取り図に興味を持った動画配信者がその間取りの謎に翻弄される様子を描いたホラー映画
監督は石川淳一
脚本は丑尾健太郎
物語の舞台は都心のどこか
雨男と言うハンドルネームで動画投稿をしている雨宮(間宮祥太朗)は、ある日、マネージャーの柳岡(DJ松永)から「引越し予定の部屋の間取り図」を見せられた
柳岡は「なんか変なんだ」と言いつつも、その違和感に気づいておらず、そこで雨宮は知り合いの建築家・栗原(佐藤二朗)にアドバイスをもらうことになった
栗原は二階にある子ども部屋の奇妙さに言及し、二枚扉で窓がなく、備え付けのトイレの存在から、この部屋は子どもを外部から隔離するためのものではないかと推測する
その後、再び見取り図をつぶさに観た雨宮は、一階と二階を重ねることで、台所の横にある奇妙なスペースが、二階の子ども部屋の棚の部分を一致することに気づく
さらに一階の台所のスペースは二階の浴室の下まで伸びていて、このスペースを使って「子ども部屋から外に出ることなく浴室に行けるのでは?」と言う仮説を立てることになったのである
映画は、それをネタにして投稿したところ、柚希(川栄李奈)と言う女性から反応があるところから動き出す
彼女は「夫が死んだ時に住んでいた部屋に似ている」と言い、その奇妙な一致からある想像を駆け巡らせていく
そこで雨宮は柚希とともにその変な家を訪ねることになったのである
映画は前半ミステリー、後半ホラーと言う感じになっていて、そのジャンルチェンジを許容できるか、と言う感じになっていた
前半は現代的な住居の不思議な空間からその家の過去を紐解いていく流れになっているが、後半では同じような不思議な空間がある古風な邸宅が登場する
そして、明治時代からその家だけで行われてきた「左手供養」と言うものの影響で、あの家が生まれたことが仄めかされるのである
映画は、古い慣習系ホラーで、前半は「事故物件」を調べるミステリーのようなテイストになっていて、いくらなんでも話が変わりすぎだろうと思ってしまう
個人的には「片淵家を観た瞬間」に「これ、あかんやつや」と思って、「ひたすら過去を語るだけの映画」に辟易していた
ホラーとしても、FPS的なスタンスで「視界の悪さ」と「突然出てくる遺影」みたいなもので驚かせて、左手っぽいオブジェで怖がらせると言う手法になっていた
確かに怖いとは思うものの、総じて「怖いのは洗脳された人間」と言うスタンスなので、黒幕以外のキャラに怖さを感じない
低年齢向けのデートムービーのような感じになっているので、妄想女子と客層が被らないので保っていると言う感じになっているように思えた
いずれにせよ、基本的に回想録で出来事を延々と喋る映画なので、ほとんどオーディオブックのノリに近い印象があった
怖い映像がダメで目を開けていられない人向けの親切設計で、ほぼ全てのカラクリを知っている人が説明していくと言う流れなので、ミステリーっぽさもほとんどない
現代の建築で、あの建物を建てた人が何を思って建てたのかはわからないが、おそらくは片淵家の中に設計士とか専門の人がいて、それを施工したのも関係者と言うことにでもしないとおかしなことになってくる
さらに近隣住民(しゅはまはるみ)が「見知らぬ子どもがいた」と言うだけで盗撮して、しかも姉妹の関係性を知っていたりするので、その辺りも全部グルと言うことなのだろう
そのあたりの未解決を残したまま、なんとなく雨宮と柚希が良い感じになる邦画ホラーあるあるがぶっ込まれるので、そのあたりを楽しめる人向けと言うことなのだと感じた