劇場公開日 2023年9月22日

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「フィリッパのインスピレーション」ロスト・キング 500年越しの運命 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フィリッパのインスピレーション

2024年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

彼女のひらめきがなければ、きっと見つからなかった‼️
そんな気がします。
普通の主婦で2人の息子の母親にして、歴史マニアの
フィリッパ・ラングレー(サリー・ホーキンスに)。
彼女が1988年に読んだリチャード3世の研究書はシェイクスピアの描く
冷酷非情なリチャード3世とは真逆で国を思う愛に溢れた
リチャード3世像が書かれていた。
そして息子と「リチャード3世」の舞台を見てすっかり
リチャード3世にハマりの虜(ファン)になる。
更にフィリッパにはリチャード3世の幻(おすがた)が見えて、
会話をするようになる。
(これは多分、映画として脚色です)
フィリッパは考える。
1、冷酷非情に伝えられてる間違ったリチャード3世の真実の姿。
2、遺骨を発掘する。
3、国王として立派に埋葬する。
4、名誉回復

フィリッパの霊感のことは書きましたが、15世紀に教会に埋葬されてきた
リチャード3世の遺骨は、教会立て直しの際に行方不明になる。
川に投げ捨てられたとの説が有力だった。
しかしフィリッパは遺骨は必ずあると信じていた。
コツコツと調査をはじめる。
川に捨てられたと言う教会の跡地は駐車場に変わっていた。
しかしその跡地の場所に立つと、
なんとも言えない波長のようなものを感じて打たれる。

ひとりの平凡な主婦が歴史的な真実を掘り起こした真実の物語。
途中からトレース大学がフィリッパの手柄を横取りしたり、
過酷な立場に立たされるものの、功績を認められて受勲する。

運と勘と粘り、そしてリチャード3世への愛。
研究者よりも1人のファン的なアプローチが親しみある
素敵な映画でした。
それにしても英国王室の葬儀は映画のように美しい。
エリザベス女王の葬儀が行われたWestminster教会。
リチャード3世の葬儀はレスター大聖堂。
映画でも言及していたが、葬儀ではベネディクト・カンバーバッチの
詩の朗読があったそうだ。
他に映画で美しいと感じた葬儀は
「ブラックパンサー/ワガンダ・フォーエバー」。
この葬儀は実質的にはチャドウイック・ボウズマンの葬儀だから、
特別だった。

織田信長の遺骨を見つけて壮大な葬儀をしてみたいなどと
想像したくなるファンタスティックな実話映画だった。

琥珀糖