「存在(?)感が凄すぎるリチャード3世」ロスト・キング 500年越しの運命 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
存在(?)感が凄すぎるリチャード3世
今週締めの4本目。いやぁ、こちらもいい映画でした。今週は良作揃い。
結論は知っているのに、とてもミステリーでスリルも感じる演出は流石の名匠スティーブン・フリアーズですね。
そしてフィリッパ役のサラ・ホーキンスを筆頭に役者陣が素晴らしい。フィリッパの理解者である元夫のスティーブ・クーガン、作品上、大事な敵役である英国レスター大学のリチャード・テイラー(リチャードだらけ)役のリー・イングルビー、そして存在(?)感が凄すぎるリチャード3世役ハリー・ロイドなどが作品を盛り立てます。
それにしても、これぞ「信念の人」と言えるフィリッパ・ラングレーには頭が下がります。ME(筋痛性脳脊髄炎)という正しく理解されにくい病気に悩まされ、そして端々に感じざるを得ないアンフェアな扱われように納得がいかない彼女。「歴史の改竄(かいざん)」はいつの時代でも、どこの国でもある話ですが、シェイクスピアによる戯曲にみるリチャード3世に対するアンフェアな扱いに納得ができず、それをきっかけに火が付くところは、まさに「オタク感情」と言っても語弊がないような気がします。さらにそこから、リチャードオタクによる「リチャード三世協会」に傾倒していき、仕舞には偉大で「歴史的な結果」を残すところは夢があって素晴らしい。そしてまた、彼女に対するレスター大学の「やり口」のいけ好かなさが、否応なく観ている私たちにフィリッパを推させてくれます。
結局のところ、誰しもが羨ましと思える「そこまで打ち込めること」を、普通、いや更なるビハインドがあるフィリッパ「その人」を魅力いっぱいに演じられる俳優、サラ・ホーキンスだからこそ納得、そして満足感いっぱいで観終わって多幸感です。良作。