劇場公開日 2023年9月22日

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「事実を誇張する必要はないが、カタルシスが得られないのは物足りない」ロスト・キング 500年越しの運命 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0事実を誇張する必要はないが、カタルシスが得られないのは物足りない

2023年9月25日
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サリー・ホーキンスが、ストレスに押し潰されそうにながらも信念を貫き通す、「脆さ」と「強さ」を併せ持ったキャラクターを巧みに演じている。
そんな彼女の心の支えになるリチャード3世の幻覚?も、物語に面白いアクセントを加えている。
ただ、500年もの間、謎だった場所が、古い地図と新しい地図を重ねただけで分かってしまうという展開には、少々拍子抜けしてしまった。何も、インディ・ジョーンズのような宝探しを期待していた訳ではないが、それでも、もう少し「知的な冒険」があってもよかったような気がする。
まあ、あの駐車場にしても、「R」印の場所にしても、最終的には、彼女の直感が正しかった訳で、世紀の大発見には、そうした理屈を超えた感覚が必要なのかもしれないが・・・
それから、遺骨が発掘された後に、彼女の功績が大学に横取りされてしまうという展開にも、釈然としないものが残る。
彼女は、正当に評価されていないリチャード3世に自分自身を重ね合わせ、それを覆すために頑張ってきたはずなのに、それが達成されないのは、作品のテーマそのものに関わる大問題なのではないか?
ラストで、ようやく、彼女が功績を認められ、勲章を授与されたことが字幕で説明されるのだが、ここは、彼女の手柄を我が物とし、リチャード3世を王族として埋葬することを拒否した大学の関係者が、その報いを受けてギャフンとなる様子こそを、しっかりと描いてもらいたかったと思う。
遺骨発見の経緯にしても、その功績に対する「正当な評価」にしても、期待していたようなカタルシスが感じられなかったのは、物足りないとしか言いようがない。

tomato