「jマーベルの快傑ライオン丸、降臨❣」クレイヴン・ザ・ハンター bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
jマーベルの快傑ライオン丸、降臨❣
マーベルは、『アベンジャーズ エンドゲーム』で、大風呂敷を広げてしまい、あの作品を超えるのはなかなか難しい状況。その後の作品も今ひとつ波に乗り切れず、『ヴェノム』や『モービウス』等、正統派ヒーローからダーク・ヒーローへと路線の転換も図っている。
その中で、本作もマーベルコミックで、『スパイダーマン』の宿敵役として登場する『クレイヴン』の誕生秘話を描いた作品ということで、「またか…?」と、あまり期待はしていなかった。しかし、良い意味で期待を裏切てくれた。本作は、宇宙人や怪物との戦闘中心のSFではなく、マフィアのボスの父親との確執、弟の誘拐拉致からの奪還、そして自分が何者であるかの問いかけ等、ヒューマンティックなドラマの中に、ミステリー・サスペンスの面白さも加味された作品と言える。
そして、ニュー・ダーク・ヒーローの『クレイヴン』が、驚異のパワーと身体能力を得て、どの様にハンターとなっていったのか、という誕生秘話が描かれている。つまり、本作では事件が収まった後のエンドロールまでのラスト5分こそが、『クレイヴン』が、最強のハンターとなった本当の物語のスタートと言えるのだろう。また、最近流行りのメタバースの様な、右往左往してしまう様な世界観ではないため、分りやすい展開となっていた。
マフィアのボスとして君臨してきた父親への嫌悪を抱いてきたクレイヴン。ある日、父と弟とハンティングに出かけたクリイヴンは、獰猛なライオンに襲われ、その際にライオンの血液と結合し、猛獣の様な俊敏さと強大な力を得る。それを機に父親の元を離れ、裏の悪党どもを次々と狩っていくハンターへと成長していく。それから十数年後、クレイヴンの弟が誘拐拉致される。弟の奪還に燃えるクレイヴンの前に、サイと融合した改造人間ライノが現れ、激しい戦闘を繰り広げる。そして、この誘拐拉致の顛末の裏には、思わぬどんでん返しが待っていた。
主役のクレイヴン役をアーロン・テイラー=ジョンソンが演じ、バッキバキに鍛えられた筋肉美を披露し、激しいアクションを魅せていた。傲慢な父親には、ラッセル・クロウが貫録の演技と巨体でマフィアのボスを演じている。唯一のヒロイン・カリプソの役として、『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズが、また、弟役には個人的にはお初のフレッド・ヘッキンジャーが務めている。
正直、あまり期待はしていなかったが、本作に限っては、次作への期待も高まる。