「子供たちの共鳴力」イノセンツ くまぷうさんの映画レビュー(感想・評価)
子供たちの共鳴力
この映画の重要な登場人物である四人の子供たちは、特に心が純粋というわけではなく、他の子供たちと同じように善悪の両面を持っている。ただ世界を純粋に見ているような気はする。人間の嫌なところや暗黒面も。
障害のある子供や皮膚に疾患のある子供、母親に乱暴に扱われている子供や親に公平に扱われていないと感じている子供たちのほうが、大人より偏見や思い込みがないぶん純粋に人間を理解しているということなのかもしれない。
この映画の大人は頼りなく影が薄い。
映画の紹介記事では子供たちの遊びが狂気に変わっていく物語と書かれているが、違う気がする。
子供たちの不思議な力は、他人への共感力の強さから生まれている、この四人の子供たちは団地という小さな世界に押し込められているように見えて、他人の想いとか心の痛みを感じとることで、精神世界を広げている。
子供の泣き声をただうるさいとしか感じない人もいるけど、今でも子供の泣き声にある種の特別なエネルギーのようなものを感じている人はたくさんいる。
少年の痛みを純粋に受け止めてしまう他の子供たちは、ああいう形でしか少年の心の問題を解決できなかった、その強い哀しみが残る。
大人たちは純粋ではなくなったから、少年の痛みに気が付かないし、ただ狂気とか心の病と断じて理解した気になっている。
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