「子供たちの根源的な疑念」イノセンツ ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
子供たちの根源的な疑念
シャラマン作品や、同じ北欧の「ミッドサマー」はまだ理解できるが、本作の幼い子供が織り成す超常現象は、ちょっと理解の域を超える。
大人は蚊帳の外で、子供たち同士が超能力の出し合いを行うと、分別がついていない残酷なものになるからだ。
大友克洋の『童夢』に影響を受けた作品らしいが、舞台が同じ団地というだけで、『童夢』を読んだ時に感じた衝撃は全然感じられなかった。
社会福祉が充実していて、子供たちに手厚いはずの北欧社会において、閉鎖的で移民が多い団地がぽつんと存在する。
団地の子供たちの家庭は、それぞれに問題を抱えている。怖ろしいと感じたのは、ふがいない大人たちを超能力を持った子供たちが、逆に虐げていく構図になっているということだ。
それは単なる呪いというより、親なり大人の世界に対して抱く子供たちの根源的な疑念のようにも思える。
そこが、なんとも後味の悪い作品になっている所以のような気がした。
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