「無垢ゆえに、残酷な世界」イノセンツ ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
無垢ゆえに、残酷な世界
クリックして本文を読む
子供視点に一切の妥協がないのが心を打った。
●疲れ切った大人は無力で、保護化にある子供は頼り甘えてはいても大人の世界を一切信じていない。子供社会だけで世界を完結させている。
●大人たちに悪人はいない。どちらかといえば良識ある善人だ。しかし、不条理を止められないばかりか気づきさえしない。その描き方や捉え方がいい。
●登場する子供たちの描き方がリアルだ。弱者に対する冷徹とずるさ。最小限の言葉のやりとり。爪の先の汚れ。障害。リアルな現実はそのまま不幸を内包していることを感じる。
●超能力の描き方にセンスを感じる。派手に見せるのではなく、じりじりとした緊張感があり、さらに丁寧な見せ方だ。
●ラストの対決も素晴らしい。ここでも視点は徹底している。
平和で静かな日常で子供同士の殺し合いが行われ、大人は最後まで気づかない。
素晴らしい。
自分の子供時代を思い返せば、何不自由なく過ごしていても、たしかに世界の残酷は感じていた。世界は人の意志を超えてそもそも残酷なのだ。
コメントする