劇場公開日 2023年8月19日

「個々気になる点もあるものの、初監督の方としては何とか…。」野球どアホウ未亡人 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0個々気になる点もあるものの、初監督の方としては何とか…。

2023年9月30日
PCから投稿

今年331本目(合計981本目/今月(2023年9月度)41本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))

 まず、この映画自体、野球(アマチュア野球)を扱っているように見えますが、それは表面的なもので、たとえば練習試合か何か(コロナ事情ということも考えて5回の裏で終わるといった短縮版?等)は一切出てこず、野球を介したコメディものという要素が強いです(よって、サッカーでもプロレスでも実はあまり関係がなかったりする)。

 初監督という事情であまり予算がなかったのであろうと思われる事情、また他の方も触れられている通り、そもそも「野球のパートの描写も雑らしい」(この点、大阪市の今日のトークショーでもそこそこ突っ込まれていた模様。やはり大阪市なので野球ファンは多いですよね)というのはあるらしいのですが、私は野球のルールは多くは知らないので、明確に変だなと思える点は見当たりません。

 ただ、やはり行政書士の資格持ちという立場からしますと下記に述べる点がかなり謎であり、上記に触れたとおり「予算がきわめて限られた中で作られた作品であろう」ことから、法律的な意味での監修(大きな映画館の作品だと「法務担当」とか「リーガルチェック」とか出ますよね)がされていないのか、明確に変な描写もあり、一方で野球映画として見るのもやはり無理があり(野球というタイトルは一応のものでしかなく、サッカーでもプロレスでも作りうる。そもそも野球らしいシーン自体、投手がどうとか何とか投法がどうだのといった話以外にそもそも出ない)、どうするんだろう…というところです。

 ただ初めての監督の方なので、詳しく以下解説することとして採点は調整しています。

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 (減点0.3/なぜ借金を背負わさなければならないのかという理由が謎すぎる)

 ・ 夫が多額の借金を残して亡くなったとしても、妻がその借金を背負わなければならないということにはなりませんので(相続放棄をすればよいだけの話)、かなりこの点雑です。元夫が妻を巻き込むような勝手な契約を結んでいた可能性もありますが、妻に無関係である以上それを主張できます(一種の無権代理と趣旨が同じような構成になる)。

 ※ この点、詐害行為取消権(424)が問題になりますが、「相続放棄は積極的に財産を減少させる行為ではなく、相続放棄を対象に詐害行為取消請求はできない」のが判例であるので、詐害行為取消権関係の可能性もなく、何がどうなっているのか謎です。

 (減点0.3/瑕疵ある意思表示とその取消し)

 ・ 民法96条(ネタバレになるので条文のみで記載)による意思表示は取消が可能です。下手に行動すると法定追認(125)にあたると解される可能性があるので注意が必要で、ここもかなり変です(展開を優先させたかったものと思います)。

 (減点0.3/事務管理と無権代理)

 ・ 事務管理の管理者にはあらゆる代理権が与えられているのではなく、対外的に第三者を巻き込む構成にすると(表見代理が成立しないなら)無権代理にしかなりません(判例)。

 (減点0.1/時代がいつなのかが妙にわからない)

 ・ この映画、予告編や公式サイトの予告編動画を見ると、あたかも昭和30年か40年かのレトロな印象を受けるため、その時代を想定して作った(その場合、民法的な見方でやや微妙なところはありますが、上記3点が変わることはない)可能性もあるかと思いきや、突如2頭身か3頭身かのいわゆる「萌えキャラ」のようなところが出るシーンもあり、時代がいつなのかすらよくわからなかったりします(平成末~令和5くらいという解釈なのか、昭和30年代くらいなののかすらはっきりしない。ちなみに、インターネット等時代をある程度特定できるものは一切出てこないのも謎)。

yukispica