「新潟県小出町」ザ・クリエイター 創造者 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
新潟県小出町
日本語や中国語、東南アジアの言語、そこに英語が支配者のように存在する。特にニューアジアの『ブレードランナー』ぽい夜の街にも数々の日本語表記が多くて笑ってしまいそうになったけど、渡辺謙演ずるハルンが双眼鏡を覗いたときにターゲットの「ノマド」という文字が映し出される直前に「小出町新潟県」という文字が出てきてビックリ!渡辺謙が新潟県出身なのは知ってたけど、ここまでギャグをかますか(笑)。尚、小出町は合併により魚沼市となっています。
音楽は壮大なオーケストラ曲がよく似合うハンス・ジマーだけど、それよりもディープパープルの曲(チャイルド・イン・タイム、他)が流れてきたのには驚きだった。その他にもアジアのロックバンド曲もあったり、全般には60~80年代の曲が多い。軍事基地ではAIを使ってないことを強調するためか、冒頭からアナログ感覚を植え付けてくれたのだ。尚、ボカロ曲や新しい学校のリーダーズ(英語表記はAtarashii Gakko!)はご愛嬌か。
大まかなストーリーは、アメリカ軍の潜入捜査員ジョシュアがニューアジアの現地でマヤという女性と恋仲になり、出産間近という中で軍が急襲してくるという序盤から、死んだと思ってたマヤが生きていることを知り、AI少女アルフィーの力を借りて命令を無視して探す旅に出るというもの。ロサンゼルスで100万人の犠牲者を出したのはAIの核攻撃によるものだという人類対AIという戦争をおっぱじめたという近未来の設定だ。
しかし、描かれる映像としてはベトナム戦争を想起させるものであり、「AIは捨てた」と主張するアメリカ側の論理があるにもかかわらず、実際には西側諸国に対抗する新興国ニューアジアがAI開発を止めないという理由で工場を破壊しまくり、人間をも殺しまくり・・・“グラウンドゼロ”というネーミングから考えても9.11の報復戦争の描写としか言いようがない。
また、ニール・ブロムカンプ監督の『第9地区』『エリジウム』『チャッピー』をも思い出してしまう映像オンパレード。格差社会や貧富の差までは描かれてないけど、むしろ戦争の風刺が強く感じられた。相手はロボットだからと、現地の人間をも殺していく冷酷さにはゾッとさせられた。
ただ、AIとロボットの違いが理解しにくいのが残念なところだったか。ロボットは奴隷として作られ、人間の命令に忠実ということなら、憎々しい女性大佐の部下である下の兵士たちもロボットみたいなものだと強調してくれたら尚可。ロボット三原則なんて通り越しちゃってるところが新しいかも。今年初の映画鑑賞(アマプラだけど)でしたが、映画脳がちょいとオンになったかも。去年はオフしっぱなし・・・いやスタンバイだったかな?
共感を有り難うございます。
おっしゃる「ゾッと」の感覚がずっと消えなかったですね。人に近く作られたロボやAIが、さほどの紆余曲折もなく(と思えます)人と命のやり取りする不気味さ。
そしてもう一つ。おっしゃる一つの言語が他の言語の支配者のように存在する街中光景こそ、ディストピア世界の表象の一つだなと、改めて思いました。