「アバター以来のSFオリジナル大作」ザ・クリエイター 創造者 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
アバター以来のSFオリジナル大作
AIといえば目下、話題はシンギュラリティだが、
感じる脅威はといえば、
きっと姿カタチがないプログラム上においてなのだろうな、
と本作を見て振り返った。
AIとはいえ姿カタチあるロボットとして存在する今回、
そうしたAIのAIらしさをおそれる話というよりも、
異なる者らとどう共生してゆくか、
人種や性別、差別や偏見、ダイバーシティについてのメタファーだったように感じている。
そうした意味でAIはごく普通の知性であったし、
だからして本作はゴリゴリのヒューマンドラマであり、
壮大なアクションと見逃せないヴィジュアルが目白押しの、
「アバター」以来のオリジナルSF超大作だった。
なかでもぱっくり割れることなく、AIと人間の設定や立場が交錯し混沌としている脚本が繊細。どちらにも染まり切れず互いを思う登場人物らに「もののけ姫」のサンとアシタカの複雑な思いもまた連想している。
アジアが舞台の中心として出てくるが、そこも含めて細かい部分にシロマサの攻殻や、大友のアキラが好きなんだろうなという感じがあって面白い。もちろん元祖、ブレードランナー感も健在だが、いずれも本作にうまくアレンジされていて画面の統一感、オリジナリティあふれる仕上がりはとても満足できた。
しかし昨今、リアルと広範囲にいくさづいているだけに、見ていて複雑な気分になるほど大規模にあっけなく破壊されてゆくシーンが多数出てくる。
撮影中に世界のケンワタナベも戸惑ったそうだが、ラストシーンが果たしてあれで良かったのか。心から歓喜することができなかった自分自身が残念である。
冒頭の導入部分の編集の無駄のなさは、久しぶりに完璧だと思ったぞ!
我らがハンスジマー師匠、またいい音作ったなっ!
以外も、いい意味で定番をハズした音楽、音響、が作品を印象的に仕上げていると思う。