「映像の面白さがすごい」ザ・クリエイター 創造者 SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
映像の面白さがすごい
AIという新しいテーマのようだが、今までの名作SFの良いとこを集めてさらに洗練させた作品という印象を受けた。不満がないわけではないけど、こういう作品がもっと増えてほしいので、少しおまけで★5にした。
ふつうのおじさんおばさんの見かけのロボットというのがなんか逆にスタイリッシュ。
アジア(特に日本)のサイバーパンクというのはブレードランナーがすごく意識されてる気がする。
ストーリーはまるっきりターミネーターの「反転」て感じ。
ターミネーターだと、AI側が人間を弾圧してる世界だけど、この作品は人間が善良なAIを弾圧してる。人間がAIの救世主を殺しに行く→逆にAIの救世主を人間が守る→人間の自己犠牲によりAIが助かる、と、ストーリーも完全に反転してる。
アルフィーがはじめにいた場所だとか、空から攻撃する超強力な兵器とかは、AKIRAみたい。
最後、敵の要塞を破壊して帰還するところはスターウォーズか。
ちょっと面白かったのは、サブタイトルとかに出てくる「勘亭流フォント」みたいなの。あれは日本の感性ではダサいと思うのだけど、海外だとクールに見えるんだろうか。
この映画で不満なのは、やっぱりなんかテーマやストーリーが古いような感じがしてしまうところ。そもそも古典的なSFで扱われてきたロボットというテーマは、「奴隷」問題の暗喩だったりするのだけど、この映画でもそのままの位置づけのよう。
自意識があるAIが実際に存在していたとしたらどんな世界になるのか、という部分のリアリティが弱いように思う。世界観が見た目の面白さ重視であまり精緻に考え抜かれているように思えなかった。
でもやっぱり映像の面白さがこの映画は卓越していると思う。冒頭の古いテレビ映像でこの世界の歴史が概観するシーンの面白さはすごい。アジアの伝統的な少数民族やお坊さんのロボットとかも面白いし、ロボットの仏像(神像?)とかも面白い。
アルフィーがこの世界を救うカギになる、と匂わせておいて、結局彼女は「機械をあやつれる」という以上の存在ではなかった、というのがなんか肩すかしっていうか。「人間のように成長する」という設定が活きていない。
あと、マヤがああいう方法で生き返れるなら、同じ方法をとる人間がたくさんいそうなもんだけど…。マヤのケースだけが特殊ということなのか?