「SF大作の現状と今後の傾向」ザ・クリエイター 創造者 ヒックス伍長さんの映画レビュー(感想・評価)
SF大作の現状と今後の傾向
モンスターズ/地球外生命体、GODZILLA ゴジラ、ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリーでお馴染み、ギャレス・エドワーズの最新作。
原案、製作、監督、脚本と、四役に関わるという気合いが作品にも表れていると思う。
1982年のリドリー・スコット監督作、伝説的SF大作「ブレードランナー」、その奇跡的続編、2017年のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作「ブレードランナー2049」。
そして、2009年のニール・プロムカンプ監督のカルト的作品群、「第9地区」、「エリジウム」、「チャッピー」など、本作はこれらのSF作品に比較的近い作風であると思う。
ジャンル的括りで言えば、ジェームズ・キャメロン、ジョン・カーペンター、アルフォンソ・キュアロンや、もちろん「AKIRA」の大友克洋、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の押井守、ゲーム界では「メタルギアシリーズ」の小島秀夫なども、SF作品を語るうえでは欠かすことの出来ない代表的なクリエイター達である。
また、近年ではマーベル作品に置いて大ヒットを連発したルッソ兄弟やジェームズ・ガンなどもやたらクオリティの高い作品を生み出す監督として信頼度も厚い。
さて、本作はギャレス・エドワーズ原案のオリジナルSF作品なのだが、この手の作品はめっきり少なくなった。
これは、言わずもがなと言うべきかも知れないが、携帯電話はスマートフォンと呼ばれ、あらゆる事にデジタル対応が出来て、自動車はハイブリッドを通り越して電気化され、自動運転も当たり前となり、しかしながら国家や民族間の争いはいっこうに無くならず戦争そのものもドローンなどによってハイテク化され、そしてコロナウィルスに代表される感染症によるパンデミックによって社会的大混乱に陥るなど、現実世界はすでにアイザック・アシモフ、アーサー・C・クラーク、フィリップ・K・ディック、星新一、小松左京の世界観により近いものになってきていると思わざるを得ない。
HIPHOPやK-POPなどが音楽の一般的な風潮となって久しいが、個人的にはHR/HM世代であり、今だに70s、80s、90sの楽曲をよく聴いている。
考えてみればサイバーパンク系映画とHR/HMは相性が良いと思う。たいがいのメタルバンドは少なくとも一回は必ず楽曲にコンセプトとして、それを取り入れているはずだからである。
(個人的な影響だが、アイアン・メイデンのアルバム、サムホエア・イン・タイムのジャケやフィア・ファクトリーのほぼ全作品などは顕著に表れている)
そう言う意味で、本作のようなド直球のSF作品は今後益々減っていくのではないかと考えられる。
強いて言うなら、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー及びエンドゲームなどの記憶も新しいマーベル作品等のようなトレンドセッター的立ち位置に置けるSF作品によってのみ、その作風は継承されて行くのではないだろうか。
なんか寂しい気もするが、現に作品が減少傾向にあるのは事実である。
まあ、SF作品は金も掛かるし、当たり外れも大きいし、そもそもクリストファー・ノーランみたいな偏屈な監督が多いのも事実だし(笑)
むしろ「流行り廃りなど関係ない」と言う気概で細々と続いてもらえれば、1ファンとしては幸いである。
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