「深海魚」怪物の木こり ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
深海魚
三池監督が手がけるサイコパスもの、冷酷な弁護士vs殺人鬼、おっとこりゃ〜面白いだろうとセンサーがビンビンに働いて、公開を楽しみにしていました。映画の日のスタートは今作はじまりでした。特典はポスターが貰えました。
原作は未読だったので、予告やあらすじでなんとなくの物語を辿っていきましたが、まさかの展開に心躍りましたし、サスペンス要素も物語にしっかりと活きていたので2時間止まる事なく楽しめました。
目的のためなら手段を選ばない敏腕弁護士が仮面を被った殺人鬼に襲われ、それをきっかけに脳に異変が起きるものの、なんとかして殺人鬼をとっちめようみたいな感じのあらすじです。
今作の1番の特徴で、しっかりと驚かされたのが脳内チップが壊れる事によって、サイコパスとしての感情が薄れていき、今までやってきた悪行の数々を後悔してしまうという、脱サイコパスの物語になっていくのが面白いなと思いました。
サイコパスの子供を持っているから、それを治すのではなく、周りの子供をサイコパスにしてやろうという、えげつない作戦を思いついた夫婦の動きとかをもっと観たかったなぁと思いました。
なんやかんや、純粋に人間とか動物とかを実験の類にしか思っていない杉谷がヤバイやつだなと思いました。既に何人もの人間を手にかけてる事をサラッと話しましたし、実験台として飽きていたはずの猫を持ち帰ってまでいじりたいなどなど、表情や仕草の変化が少ないからこその純朴なサイコパスがそこにいました。1番救いようがないですし、本人もこれでいいと思ってそうなので、彼が出てくるたびウキウキして観ていました。
「スマホって本当に体に悪いんだね!」(物理)は悪趣味極めててキラーフレーズでした。
若干残念だったのは、三池監督の悪趣味さやエグさが抑えめだったかな〜というところです。全体的に出血量はしっかり出ていますし、染谷くんの静かなサイコパスな感じは中々良いんですが、「初恋」で観たクレイジーさがどうにも忘れられず、それを超えるものを期待してしまった自分がいたので、予想通りで止まってしまったなぁという印象です。アクションもちょいちょいはありますが、そこまで多くないですし、既視感のあるものだったので、意外性は無かったかなと思います。
血しぶきブシャーは出すぎだろ笑と思いましたが、そこはなんだかコメディ色の三池監督がひょこっと顔を出したなと思いました。
オチもまぁ想定内な感じなので、やっぱ殺されちゃうよなと腑に落ちてしまいました。
役者陣の演技、それぞれの味が出ていたのは良かったと思うんですが、主戦場がシネコンからミニシアター系、舞台と幅広いのもあってバラバラになっていたかなと思いました。様々な役者を揃えて、一同を介して演技するというものの難しさを今作で改めて感じさせられました。
中村獅童さんはマジで最高でした。サイコと常識人の切り替えの緩急の付け方が絶妙でした。
原作はまた違うラストみたいなので、映画から原作に入る形で読んでみようかなと思います。映画の日、1本目は幸先の良いスタートを切れました。
鑑賞日 12/1
鑑賞時間 9:10〜11:20
座席 H-12