鯨の骨のレビュー・感想・評価
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俳優あの、の、ポテンシャル。
現代人の孤独とテクノロジーとの関係を、こねくり回した設定で描いているようでいて、どこかしら悲壮感が薄く、そこはかとなく可笑しくて、暗い話のはずなのにヌケが良い。そう思っていたら、終盤は本当にコントのようなシーンがあって、ああ、やはり笑っていいんだと安心した。
蠱惑的な謎の少女、という体で登場するあのの演技が驚くほどよい。個性の強い元アイドルを連れてきて、天然を活かして演技をしてもらった、というレベルではまったくない。与えられた台詞にちゃんとニュアンスをのせて、正確に、それでいて慣れたり飽いたりせずに声にすることができる。そんな感じなのは、ミュージシャンであることも関係してるのだろうか。それでいて終盤には、カリスマ性が抜け落ちたような凡人の風情に変わる。
『ドライブ・マイ・カー』の脚本で名を上げた形になっている大江監督だが、独自の個性と方向性を持った監督であり、俳優あののポテンシャルを引き出した点でも大きな功績といっていいんじゃないだろうか。
【”マッチングアプリで出会った女子高生に憑りつかれた”私”。”大都会の夜にアプリに翻弄される人々を、憐れみの視点で描きつつ、”私”が最後、彼女に対し、微笑む表情が印象的な作品。】
ー 昔、ポケモンGoというゲームアプリが流行った事を少し思い出した作品。-
◆感想
・前半は、話が良く分からず・・。
ー 間宮(落合モトキ)は婚約者から、一方的に話を破棄され、マッチングアプリで女子高生、明日香(あの)と出会い、自室に連れて行くが目を離した際に彼女は大量の睡眠剤を飲み、意識を失っている。慌てた間宮は彼女を山中に埋めようとするが、トランクを開けると彼女の遺体がない・・。-
・その後、”穴”と言うワードが語られ、ARアプリ”MIMI"の存在が語られ、間宮が会った明日香はARアプリ”MIMI"の中の存在であったことが分かり、脳内で物語構成が立ち上がって来る。
ー 実際の明日香を名乗っていた女性に間宮が探し出会い、その女性は逃げ出す。-
<今作は、リアルとバーチャルの狭間を描きつつ、アプリに翻弄される愚かしき人々を、憐れみの視点で描いた作品だと、勝手に思った作品である。
ラスト、間宮が初めて笑みを浮かべ、明日香を名乗っていた女性と、最初に明日香と会った喫茶店で”穴を埋めに行かないか?”と言い、その女性が間宮が会った明日香の姿をスマホで見るシーンが印象的な作品である。>
<2023年11月18日 刈谷日劇にて鑑賞>
鯨骨生物群集
あのちゃん観たさのみで鑑賞した感想記(箇条書き)・・・他の方のレビューにも既出あり。
・遺書の「さようなら、冷めない内にどうぞ」→暗喩がちょいエロぃ。
・梱包からの脱出→「引田天功(古っ!)」でも不可能。
・「遺品」のカバンの中にスマフォがない→大いに不自然。
・青いカッパの集団→意味なし。
・衝動的にスマフォを投棄→普通に無謀。
・「明日香」の名のヒント発見(タオルに印刷)→あまりにも安直、唐突かつ無理筋。
・ワキの俳優さんたちが魅力に乏しい。
その他、いろいろありました。
ちなみに2度、観ました。1回目は最前列でスクリーン見上げる形となって首が痛くなり(笑)、ストーリーが十分掴めなかったためです(でなかったら2回目は行きませんでした)。
評価は1.5としましたが、あのちゃんが出てなかったら0(そもそも観に行ってないから)。
総評としては‘浅い、薄い、安い’と酷評させていただきます。
私にとっては、難解、不可解、理解不能(拒否)な映画でした。
大江監督、次作に期待します(と書いておきたい)。
ps.当地での上映期間は、2週間に満ちませんでした(当初からの予定通りだったかは不明)。2度目の観客は私を含め終始2名だけでした。
呉服(くれは)公園
冒頭のエピグラフにて、死んだ鯨の骨が沈む際にまだ養分がある内は微生物等が一緒に沈み、その際に仄かな光を発するそうである しかし養分が亡くなると光を失った生物達も消えていくそうとの事
メタファーを用いて、現在のネット世界のある部分をフォーカスしたオリジナルシナリオであり、時代ならではのヒューマン&メロドラマとのカテゴリだと思うが、それにしてもどっちにも傾倒せず、良く言えばバランス、悪く言えばメッセージ性に乏しい作劇になってしまっていた
全体的にライティングが暗く、又物語上夜のシーンがメインになってしまうのもあって、何かが蠢いているのは分るのだけど、その意味するところや後ろに繋がるような伏線が余り伝わらない映像になってしまっていた
観賞して、ネタバレサイトで初めて真相や内容が分った程なので、折角サスペンス仕立てにストーリーテリングされているのだから丁寧な説明が必要なのではないだろうか・・・と、大きなお世話なのかな?
冒頭でいきなり結婚式の予約までした婚約者に自身の二股を告げられて意気消沈するところからスタートするのだが、ここで男の気の弱さ、諦めの早さをキャラ付けさせる しかしこれが本編で余り機能していなかったのではと思うのだが その性格が物語を駆動させる意味合いをもたせていないのではと思ったのだ
今作は普通に、後輩からマッチングアプリを紹介されてそこで知り合った女子高校生(に変装している童顔の女)と意気投合だがなんだかよく分らないが、男の部屋に連れ込んだのは良いが、女が自殺してしまうという、摩訶不思議な出来事が拡がる で、女を遺棄しようと山に埋めるため穴を掘って死体を確認すると消えていた しかし、ひょんな事からAR技術を用いたアプリ(自分の好きな場所に動画を埋め込み、他の人がドラクエウォークの要領でその場所を探す様な内容)内で人気のある女性とソックリなことが判明し、その謎を解くという筋書きである
サスペンスフル、又はミステリー要素が挿入され、興味が湧いてくる 女が残したバック中の参考書や、ナイフのタングに彫られたマーク、又は女のファンから聞き込みから謎を突き止めていく件は面白い なのだが、途中の危ないファンからの妨害や、元婚約者の意味ない復縁話、そしてこれが最大の問題だが、ネットでの承認欲求目的、又は金銭目的への移行等の話が機能的に噛み合わないと感じたのである
というのも、ヒロインの女の子は何故このアプリで活動していたのか?の動機付けが語られないと少なくても自分は読解したのである
そのアプリで自分を探して欲しい感じでもない 勝手に男が謎解きをしていて、その亡霊のような女を追いかけているのだから・・・ ヘッドマウントディプレイ、又はスマホ画面上で追いかけているのだろうが、その体にしてしまうと、亡霊感が表現出来ないので、演出でのカットの切替で表現しているのは上手だ
そしてやっと女をみつけるが、正体は塾職員だった女は逃げるが、途中で消える しかしこれはAR演出ではなく、本当に畦に隠れていてすぐに発見されるというオチ そして結局は初めに逢った喫茶店で、自殺しようとしたが車で運ばれている途中で薬が切れて起きてしまい逃げたのだと告白する そして2人で過去に埋めていた動画を削除して廻ろうで、結末なのである
さっぱり分らない 分らないのは自分がついて行けないオヤジだからか、それとも今の若者はスッキリとこのシナリオを肯定するのか?
クエスチョンマークに脳内を侵蝕された後味であった
ラストで男が会計に出る時、穴に埋めたデータを削除するシーンは、実は男の方がDataでどんでん返しがあるのかと予想したが、そのままスンナリ二人で退店 その後も喫茶店内映像持続ながら、エンドロール しかし店外の青カッパは横切るがそれ以外は何も起こらない
やんわりと色々なテーマが散らばってはいるが、機能的にそれが結びついておらず、訴えるメッセージも薄く、これをどうレビューしたらよいか、皆目検討つかない内容であった
明日香の穴に潜る
なんだか隠語みたいな表現でした。
また、一瞬理解できなかった「冷めないうちにどうぞ」は、ユーモアにしてもブラック過ぎる。笑
あらすじを見ても『ミミ』の魅力や実態が分からなかったのですが、観ても分かりません。
元々の使い道の方がまだ納得できる。
穴があるのは外から分かるのに、部屋に入らないと潜れないのは何故?
『ミミ』内の明日香に魅了されるか、ホラー的に苛まれるかと思ってたらそうでもなく。
死体遺棄(未遂)の発覚に怯えてるのか心配してるのかもハッキリしない。
そもそも埋めようとする思考回路が理解できず。
制服姿で「ダメだった?」も、「JKじゃ」なのか「コスプレは」なのか、あのちゃんの見た目だと紛らわしい。
(ある意味ここは騙されたところだが)
『鯨の骨』はむしろ凛の方がイメージに近かった。
明日香や凛のフォロワーも怖いし、元カノも理不尽すぎて主人公がかわいそう。
あのちゃんの演技は上手いとは言えなかったが、周りがそれ以下だったので不問。
毛布で包んだだけならまだしも、テープを巻き付けられた状態からどう逃げ出したのかは闇の中…
骨の髄まで
あのちゃんが出るという情報片手に鑑賞。入場者プレゼントはポストカードでした。
雰囲気映画な感じは否めませんでしたが、あのちゃんがスクリーン映えするという嬉しい情報を知れただけでも良かったなと思いました。
マッチングアプリで出会った子が自殺してしまい、死体を遺棄しようとしたら死体が無くなってて、その子とそっくりな子がアプリの中に出てきて…といったいかにも現代な作風の作品でした。
正直言ってとっ散らかっているので、ミステリーものとして楽しむには無理があるかなと思いました。アプリの特性を特別活かせているわけでもありませんでしたし、間宮がキャラとしてそこまで魅力が無いので、女関係だったり仕事のいざこざだったりのシーンは正直かったるかったです。
新しいコンテンツにすぐ飛び付く現代人を実体化させると青いビニールを羽織ってカリスマに群がりまくるという構図がかなり生々しくて、自分は流行り物に抵抗感を覚える人間なので、こういう人たちを見てるとムズムズしてしまいます。この表現の仕方は巧いなと思いました。
カリスマを崇めすぎると信者になり、やがて暴徒と化してしまうという最悪の結末を映像化したのはちょっとやりすぎな感じがしました。宇野さんがやってるのでよりリアルなんですが、住所特定に殺人未遂、最終的には通り魔と段階すっ飛ばして暴れ回る展開は他の信者の行動含め振り回されまくりました。
この手のSNSを扱う作品では実は現実世界にはいなかった的な寒いノリのパターンが多いんですが、現実世界でしっかり再会できたのは良かったです。大人なあのちゃんがこれまた良くて、逃げるシーンも様になっていましたし、土手にうずくまって隠れてるシーンはそれまでの暗い展開とは一転してコミカルに映っていて良い塩梅になっていました。
特段好きな作品では無いですが、バラエティや歌手としてのあのちゃんとはまた違う一面を楽しむことができました。この勢いで色んな作品で色んな表情が見れたらななんて思ったり。尺が90分だったのもまだ良かったです。たまにこういうテーマで2時間平気でやる人たちがいるので…。
鑑賞日 10/14
鑑賞時間 20:20〜21:55
座席 I-3
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