違国日記のレビュー・感想・評価
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原作のセリフやエピソードのチョイス
原作が好きです。映画化となると原作に忠実にとはなかなか難しい事も承知していますが、槙生の大切なセリフがカットされているのが勿体なくて。
「この先、誰があなたに何を言って誰が何を言わなかったか... いつかあなたの灯台になる」の部分と「あなたは15歳の子供はこんな醜悪な場にふさわしくない 少なくとも私はそれを知っている もっと美しいものを受けるに値する」の部分は言わせてくれないと意図が伝わらない。砂漠もそう。
あと、おばあちゃんが朝に遺体の確認させた所を槙生と行かせるとか、事故現場に行くのとか、そうじゃないと思う。
笠町だってもっと槙生の立場や気持ちを尊重する人なのに、日記の事を喋ったり、サイン会でみんなの前でプライベートな誘いをしたり残念!
何よりも槙生が朝に、朝の母である姉の悪い思い出や恨みは話さないという主義を貫くのに、映画では終盤どんどんぶちまけちゃう。凄く残念。
キャストで個人的に槙生のイメージは富永愛さんとかりょうさんだったけど、あの可愛いガッキーが目や表情が槙生で良かった。キャストや絵はきちんとしてて綺麗で良いのに、セリフやエピソードの拾い方だと思う。
朝の歌は子供らしくて可愛かったけど、そこはもっと歌ウマな感じに仕上げて欲しかった。
原作を読んだから伝わる物もあったので、原作未読でももっと伝わるように出来たのでは?とも思う。
2時間にまとめるにしても、削るところと残す所のチョイスが残念な感じがしちゃうのは、私が原作を好きだからだろうか。
おそらく原作はいいのでしょうが…
タイトルなし(ネタバレ)
突然の事故で両親を喪った15歳・高校生の朝(早瀬憩)。
呆然とするしかない彼女だったが、両親は事実婚。
葬儀の精進落としの席で、未成年の朝を誰が引き取るのかがこそこそと話されていた。
そんな中、彼女を引き取ることにしたのは、彼女の母・実里の妹で小説家の槇生(まきお、新垣結衣扮演技)。
実里と槇生とは折り合いが悪かった。
というか、わだかまりは実里が死んだいまでも解けていない。
しかし、槇生は朝に言う、「あなたを愛せるかどうかはわからない。でもわたしは、決してあなたを踏みにじらない」と・・・
といったところからはじまる物語。
異なる価値観・世代の女性ふたりが心打ちとけていく物語・・・を期待するのがスジなのだろうが、映画はそう簡単なホームドラマにならない。
ふたりは簡単に打ち解けない。
とはいえど、憎みあっているわけでもない。
愛せるかどうかわからないが踏みにじらないよう、互いに理解し合おうとする話だ。
人生の先輩の槇生は、いくつかの世間・社会を知っている、経験している。
朝は、まだ家庭と学校のふたつの世間・社会しかしらない。
よって朝にとっては、そのふたつの中の価値観が、社会的価値のすべて。
この設定が興味深い。
中学を卒業した朝は高校へ入学し、別の価値観を有する社会に遭遇する。
そこでは、新たな価値観もあり、それは親友その他を通じて朝にもたらされる。
絶対的な社会的価値の基準だった母。
それを疎ましく、憎みさえしていた槇生。
その根源がどこにあったか、映画は簡潔に描くが、本当のところ、何があったはわからない。
朝の母・実里にも、幼い時分に何かあったのだが、それは描かれない。
そのような、すべてが白日のもとに曝け出されるわけでない状況で、朝と槇生の心理的・精神的な距離感は縮まっていく。
ということで、本作、すばらしくいい映画なのだが、どうもわたしの心の底には何か引っかかるものがある。
終盤、海辺で佇む槇生をみつけた朝は、槇生の後ろ姿に母親を重ねる。
槇生は実里を赦さない理由を決して語らないが、朝が実里について、自分にとって少し嫌だった点を告白する(告白といっても、さらりと)。
朝の言葉に槇生も首肯するのだが・・・
個人的には、槇生と朝が心根のところで接近するこのシーンがもっともいいシーンで観終わって「すごくいいな」と思ったのだけれど、どこかにわだかまりがあった。
それはたぶん、似た者同士、叔母と姪、母と娘、姉と妹・・・
いわゆる血縁だ。
いちばんいいシーンが血縁をバックボーンとしている、その単純さが、わたしの心にわだかまりを作ったのだろう。
なんだ、やっぱり血の話だな、と。
価値観のことなるふたりの女性の違う世界の日々をつづった違国日記だったのに、つながっているのはそこなのかぁ、と。
いやまぁ、ほかのひとたちはそんなこと感じないんだろうなぁ、とも思う。
が、感じちゃったんだから仕方がない。
いや、映画、いい映画でしたよ。
原作を特別好きなら別物だと思った方がいい
もしこれが「違国日記」です!と言われれば違うと言いたい。
けれどリスペクトが無いかと言われれば、それもまた違う。
あれだけ繊細な作品を2時間に収める方が無理がある。
朝ちゃんの奔放さが良かった。
でも原作の魅力は奔放に過ごす朝にも受け止めきれずどうしたらいいのかわからないところから、ゆっくりゆっくり自覚していったり、ちょっと遠いところから寄り添ったり、とても映画に落とし込めるものじゃなかった。
だからこれは別物として、空気感や主人公と叔母の関係性と完璧な母親とは違う大人を見て自分なりに前に進もうとする主人公を見る映画かなぁ。
漫画と映画は別モノ
話はいいんだけど…
あまり話題にならなかった感じなので、期待しないで観ました。全体の話はすごい良かった!姪役の子の演技もすばらしく、これから売れる予感もしました。だけどそんなに多様性を入れなきゃだめですかね?あれで少し冷めて-1点。本当にいい話だったので残念でした。
なんかいい
生きづらさとの付き合い方がじんわり
受け入れる
『人が人を受け入れる』なんて言うことは、とてもむずかしいと思う。
身内でさえそれができるかどうかはわからない。
それは常に人は『環境ごと』に『瞬間的』に『多様にわたって』変化してゆくからだと思います。自分自身でそれがわかって行動できるなんていうことは稀でしょう。
繋がり続ける事自体むずかしい。
だから槇生自身、朝を引き取った理由は本人ですらわからないが、その時はそれが最善だと思った。
後から考えても現実の方が早く過ぎすぎて、理解の方が追いつかない。
自分は原稿が書けていないのに、朝は日に日に成長してゆく。
槇生ができたのは、せめて朝に『アドバイス』を送るというのが精一杯。
朝は家族(特に母親)に十分受け入れられて生きてきた。
一方、槇生は家族から否定されて生きてきた(母親からの何の手助けもなく…最後和解)
そんな二人が、
お互いがお互いに気持ちを言葉にして送り合う。
さながらエコーのように。
そして二人は引き合うようにして海岸へとたどり着く。
そこでお互い少し前向きになれた感じ合う、違った向きで。
けれどもそれはそれでいいと、いやそれがいいと思ったのでしょうね。
『失敗したらどうしよう?』
『もう一回やれば良い!』
よいコトバです。
昨年の『生欲』に続いて新垣結衣さん出演作を観ましたが、良い役者さんですね。
ナチュラルな演技が観ていて非常に気持ちがいいです。
また出演作があるでしょうから、今後も観ていきたいです。
早瀬憩ちゃん‼️
原作のセリフをもっと大切にして欲しかったです
そもそもキャスティングが発表された時点でかなり自分の解釈とは違くてがっかりしつつ、自分の中で一番好きな漫画の映画化だったので観に行きました。(それぞれ好きな役者さんだったのですがイメージとあまりに違ったので…)
役者の皆さんの演技は素晴らしく、特に新垣さんは最初絶対違うと思ったのですが、しっかり役作りをされていて槙生ぽくなっていてさすが役者さんだなと思いました。(役作りのために演じる前に漫画を読み込んでいたと番宣でおっしゃっていたので努力の賜物だなと思いました。)
ただ脚本というかセリフ選びにかなりがっかりしました。原作の漫画は言葉の美しさが魅力なのにそれがほとんどカットされて原作の美しさは失われてしまっていました。
タイトルの意味の説明もなく、最初の葬式のシーン、部屋の片付けのシーンの大切なセリフがかなりカットされていて悲しかったです。
何より笠町くんがまるで別人のようになっていたのが悲しかったです。
漫画ではもっと言葉を選んで話していたし、槙生の気持ちを考えて慎重に気長に行動していたはずなのに、最初の登場シーンではいきなり槙生に対する不満を言い出し、サイン会に参加して知り合い感丸出して話しかけ、朝には日記のことを言ってしまい漫画の人物像とはかけ離れていました。
あと弁護士の塔野さんは完全にキャスティング違うのでは…?染谷さんの無駄遣い感が否めませんでした。
漫画のストーリーを色々に組み込んでいるのはファンとしてはありがたいのですが全体的にほんとに原作を読み込んでいるの?と思ってしまうような部分が多く後半は観ているのが辛かったです。
ラストも原作では朝には母親の嫌いなところは絶対に言っていなかったのに言いまくって終わるし事故現場に行くシーンも必要なのか…?というかもっと原作に寄り添ったラストにできなかったのかと思ってしまいました。
せっかくいい役者さんを集めているのに本当に残念な映画になってしまって勿体無いと思いました。
脚本を書く方にはもっと原作のセリフの意味をよく理解して選んで欲しいです。
生き方。
だったら槙生と朝だけの関係性を描いてほしかった(原作既読)
原作がとても好きで、ガッキーが槙生ちゃん?と一抹不安を抱えながら見に行きました。
この点で言えば、思いの外悪くないキャスティングだったなと思います。槙生ちゃん含め、朝もダイゴもえみりも。キャスティングは悪くないし、役者さんそれぞれの演技も原作の登場人物と近いものを感じたが、脚本があまりにも……。
原作では最初から最後まで登場人物がそれぞれの立場からきちんと15歳という「柔らかい年頃」の朝を思いやっている。
原作では遺体確認を朝にやらせた母親を槙生は怒ったのに、映画では槙生が朝と一緒に、なんなら朝のほうが近くで遺体確認をしている。その時点で「おや?」となった。
「悲しくなるときがきたらそのとき悲しめばいい」
「あなたは 15歳の子供は こんな醜悪な場にふさわしくない 少なくともわたしはそれを知っている もっと美しいものを受けるに値する」
冒頭、この2つの言葉が重要だと思うのだが映画では見事にカット。他にもこのセリフはいれるのに続きのセリフはカットなの……?なところが多くて不完全燃焼というか、セリフの意図がこれじゃあ伝わらないよね、て感じだった。
ピクルスの下りも、朝が急に妙な絡み方をしてきて「朝ってこんなに面倒だっけ?」となった。15歳らしい絡み方をする子ではあるんだけどね。個人的に違国日記を紙で買おうと決めたのがここで槙生が「現在形」「現在完了進行形」「過去完了形」を説明するところだったので、こんな変なオリジナルいれるならそっちをやってほしかった。(見る前からカットされるだろうとは思ってたけれど)
えみりと槙生の会話についても、原作ではえみりとある程度関係を築いて、えみりがちゃかすために聞いたわけじゃないから槙生は応えたのに、槙生は初対面で自分のことをあそこまで話せる人間ではない。且つ、その話をするなら映画を貸すところまでやって欲しかった。えみりは槙生と話しただけで救われたわけじゃなくて、槙生が貸してくれた映画もセットでようやく救われたのに。
えみりが朝に打ち明けるシーンもなんで体育館?しかも放課後なら部活とかで使われてるのでは?校舎裏とか屋上とかもっと他の場所あるでしょう。
そして、あんなに中途半端に出すくらいなら笠町くんも塔野さんもカットして良かった。特に塔野さんなんてあのシーンバッサリカットしても不都合なかったのでは?というくらい。染谷さんをキャスティングするほどでもないというか……。
個人的に一番嫌だったのは笠町くんのキャラ崩壊。他の登場人物は平気だったのだが、笠町くんは駄目だった。
距離感を間違えて別れて、それでも槙生の人生に関わりたくて槙生にとってちょうどいい距離感を模索して、し続けてる人がサイン会という大勢に見られてる仕事中の槙生にプライベートの誘いは絶対にしない。サイン会にだって行かないだろう。万が一行ったとしても知り合いムーブはしない。
そして誠実に丁寧に朝と接する人(自分の年の半分以下の朝に対してさん付けするくらい)があんな迂闊に日記の話を朝に振らない。
完全に笠町くんの良さは消され、映画の話の転換に都合の良い人としてしか描かれてなくて心底がっかりした。こんな風にしか描けないなら無理やり全部ダイゴに置き換えて笠町くんを出して欲しくなかったくらい。映画の笠町くんとは槙生は別れてから連絡は取らないだろうと思う。
朝の日記についても重要なアイテムなのにかなりおざなりな扱いだった。ましてや砂漠の話が一切出てないのに朝が急に砂漠のあのイラストを描いても原作を知らない人は「なんぞ、これ?」となるのでは?
エピソードのかいつまみ方が微妙で全体的に薄味。結局何を意図した映画なのかも分からない。これならいっそ槙生と朝以外の色んなエピソードを思い切ってバッサリなくして、二人の関係性と朝の成長を重点的に描いたほうがよかったのでは。
同盟
「ゆっくりいこうや」
朝に投げかけたマキオの宣言が心地いい。
新垣さんの好演が光る。
内向的だが芯のブレない主人公がハマってた。ぶつ切りになる語尾もよくて…あんな美しいタイプに出会った事はないけれど、ああいう人いるなぁと思う。
早瀬さんも素敵だった。あの人懐っこい笑顔は天性のものだろうか。初々しかった。
さて、本作だけれども…
色々と深読みすると味わい深い題材に思う。
冒頭にマキオは言う。
「私とあなたは別人だから、理解なんてできない」
その通りだと思う。
が、両親を亡くした直後の15才には辛辣だ。
これ以降思うのは、大人が子供に及ぼす影響がこんなにも容易に浸透していくものなのかって事だった。
朝は母親とは別の価値観を育んでいく。語られるエピソードはその条約に則ったもののようにも見える。
小説家を生業とするマキオは、慎重に言葉を選んで話してるようにも思う。彼女が考える最大限の敬意を払ってるようも見える。
対等な同盟を締結しようとしている。
…過干渉をしないと言うか、独立国として認識してるようでもあった。
何かで読んだのだけど、人に腹が立つ原因の8割は「自分の言う通りにしない」からなのだそうな。相手に原因を押し付けたりするが、掘り下げていくとその思考に辿り着くのだとか。
つまりは自己肯定感を否定される事に起因するとか。
どこかで自分に幻想を抱いていて…親だから、上司だから、先輩だから、コイツより俺の方か優れてるから、そう言う優越感を相手に認めてもらえないから怒るのだそうな。
同時に相手にも期待するわけだ。変えてくれるだろう、やってくれるだろう、分かってくれるだろう、その期待感が裏切られるって感情もあるかもしれない。
その勝率の基準は常に「自分」だから諍いが起こる。
でも判断するのは「相手」なのだ。
別人が自分の基準を100%理解して判断する事はない。少なくともマキオはソレを踏まえて朝に向き合おうとしているように思う。
マキオの荒れ放題の国土は朝によって改善されていく。賢い子だなとおもう。人に得手不得手があるのを心得てるし合理的な思考だなと思う。
朝には朝で未知との遭遇だ。大人なのに大人ではない人がいる。元彼は言う「大人になっても大人がわからない」とかなんとか。激しく同意だw
ソファーに座る2shotで、マキオと朝がほぼほぼ同じようなリアクションをする。
もの凄く微笑ましい。
マキオは朝を受け入れているのだし、朝はマキオを慕っているのだろうなと感じられる素敵なカットだった。
体育館で同性と付き合ってると告白されたシーンでは、本心を指摘されたりする。人の価値観ってなぁ言葉尻に出るんだなぁとも思うけど、相手にソレを気づかせるのは傲慢にも思える。
海辺では「高代美里」について2人が語り合う。
朝は「朝のお母さん」としてマキオは「マキオの姉」として。
面白いなぁーと思う。
2人が語る人物像が全く重なってこない。
立場と関係性によってこんなにも違うのか、と。この会話自体が人の持つ多面性の証明でもあると思う。
だからこそ他人を理解する事など出来ないって結論にも至る。
じゃあ、人が分かり合える事はないのかって言うとそうではない。その答えを作品を通して朝とマキオが実践してくれているのだから。
属国にするのではなく同盟を結べばいい。
とても味わい深い一作だった。
3人で「夢の中へ」を歌う後ろ姿が可愛らしかったなぁ。
ナチュラル〜
みんな普通にこうやって、どこか近くの街で生活してそう!
スルゥ~と心に入ってきたよ。
特に、新垣さんは、なんだろう良い意味で芸能人のオーラが完全に消えていて、
素じゃないの?!って思えるほど自然。
でも、とてもステキでした。
朝も醍醐もえみりちゃんも、周りの人物も、みんな良かった!
ただ、笠町くんは槙生ちゃんと並ぶと、ちょと美男美女感が際立っちゃて、
男前かよ〜ってツッコんでました 笑
ちょっと、女の子でワチャワチャやってるときのナユラル感は薄まっちゃう感じがしましたね。
原作は未読なのですが、そちらも男前なのかな?
とにかく、登場人物、みんなどこかに共感できたし嫌じゃない。
しいていうなら、わたしも槙生ちゃんだったら、
槙生ちゃんの思い出の中のお姉さんは、好きじゃないな。
みんな、いろんな考えの人がいて、適度な距離感で関係を築いてるのに共感。
そして、血が繋がっていようがいまいが、関係性は当事者同士の問題なのかなーって思う。
ただ、朝ちゃんは、思春期真っ只中、大人の階段登る〜の途中なので、
大人が目を掛けてあげなきゃいけない部分、
また、目を掛けて欲しいんだよね?って、甘えたい、頼りたい気持ちのところも
上手に表現されているなーって思いました。
最後のボーカルも、槙生ちゃんの気持ちで笑顔になっちゃいました。
観終わったあとは、とても、ほっこり優しい気持ちにで、夜ごはんに餃子を食べました!
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