「原作のセリフをもっと大切にして欲しかったです」違国日記 はむみさんの映画レビュー(感想・評価)
原作のセリフをもっと大切にして欲しかったです
そもそもキャスティングが発表された時点でかなり自分の解釈とは違くてがっかりしつつ、自分の中で一番好きな漫画の映画化だったので観に行きました。(それぞれ好きな役者さんだったのですがイメージとあまりに違ったので…)
役者の皆さんの演技は素晴らしく、特に新垣さんは最初絶対違うと思ったのですが、しっかり役作りをされていて槙生ぽくなっていてさすが役者さんだなと思いました。(役作りのために演じる前に漫画を読み込んでいたと番宣でおっしゃっていたので努力の賜物だなと思いました。)
ただ脚本というかセリフ選びにかなりがっかりしました。原作の漫画は言葉の美しさが魅力なのにそれがほとんどカットされて原作の美しさは失われてしまっていました。
タイトルの意味の説明もなく、最初の葬式のシーン、部屋の片付けのシーンの大切なセリフがかなりカットされていて悲しかったです。
何より笠町くんがまるで別人のようになっていたのが悲しかったです。
漫画ではもっと言葉を選んで話していたし、槙生の気持ちを考えて慎重に気長に行動していたはずなのに、最初の登場シーンではいきなり槙生に対する不満を言い出し、サイン会に参加して知り合い感丸出して話しかけ、朝には日記のことを言ってしまい漫画の人物像とはかけ離れていました。
あと弁護士の塔野さんは完全にキャスティング違うのでは…?染谷さんの無駄遣い感が否めませんでした。
漫画のストーリーを色々に組み込んでいるのはファンとしてはありがたいのですが全体的にほんとに原作を読み込んでいるの?と思ってしまうような部分が多く後半は観ているのが辛かったです。
ラストも原作では朝には母親の嫌いなところは絶対に言っていなかったのに言いまくって終わるし事故現場に行くシーンも必要なのか…?というかもっと原作に寄り添ったラストにできなかったのかと思ってしまいました。
せっかくいい役者さんを集めているのに本当に残念な映画になってしまって勿体無いと思いました。
脚本を書く方にはもっと原作のセリフの意味をよく理解して選んで欲しいです。