「抑制的な演技や陰影を活かした撮影が、ホラーという枠を超えた印象を残す一作」ブギーマン yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
抑制的な演技や陰影を活かした撮影が、ホラーという枠を超えた印象を残す一作
序盤の助走なしのいきなり恐怖描写に、えっ、この作品はこんなにハイテンポなの?と驚いたものの、それ以降はむしろ抑制的な演出、映像が印象的で、闇に潜む恐怖を体感させてくれる作品です。
主人公の家族はほぼ全編にわたっていろいろと怖い目に遭っているのに、それでも一人で部屋に止まったり、怪しい一角にずんずん足を踏み入れるなど、どんだけ剛の者なんだ、と思わずにはいられない肝の太さ。
彼女たちに襲いかかる「異形のもの」は、なかなか正体をあらわさないため、実は全て彼女たちの妄想でした、と、いう流れにもなりそうな物語です。こうした心理的な恐怖描写に重きを置いた演出自体はそれほど真新しいものではないんだけど、陰影を活かした映像は、類型的なホラー作品を超えた何かが本作にはあるのでは、と予感させ、それが終盤になっても衰えない鑑賞の推進力になっています。つまりスラッシャー映画やスプラッター映画のような過激で派手な見せ場よりも、日常を何かが侵食していく恐怖をじわじわ描く作品が好きな人向けの作品といえます。
キングの短編小説が原作、というよりも本作の原案となっているんですが、キング原作の映画化作品は、最後にオチを見せすぎて失速しがちなのが一種のお約束。本作も同じパターンを踏襲してるかどうか、ぜひとも直接確認してもらいたいところ。
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