ペルリンプスと秘密の森のレビュー・感想・評価
全12件を表示
美しい色たちに囲まれる至福
アレ・アブレウ監督の作品でまず惹かれるのは、その色彩感覚。前作の『父を探して』でも発揮されていたその完成は、本作でさらに力強く発揮されている。この世界はまず、美しい色に囲まれている。その美しさの中でキャラクターたちはちっぽけな存在として、放り出されて、大冒険の旅に出る。
分断された世界に生まれた2匹のキャラクターたちが、イメージの世界ではつながり、仲間となれる希望、そして想像の世界の美。対して現実の理不尽さが重くのしかかり、対比的に描かれる。想像の世界を構築するのは現実逃避ではない、過酷な現実を生き抜くために必要なことだと本作を観ると思う。
テクノロジーと自然との関わりに翻弄されるキャラクターたちという物語設定は、スタジオジブリ的な主題だが、まちがいなく今日性の高いもの、今公開される意義の非常に高い作品と言える。
難しいテーマを扱っているようで、それは実は大変にシンプルなことで、シンプルに色彩の美しさに浸れる作品だ。この映像の美しさは世界の美しさを参考に作られているのだと素直に思える作品で、その感動が人に大切なことを気づかせてくれるはずだ。
戦争するな、ってこと?
戦争、紛争地域に思いを馳せる
時代にピタリとハマる良作でした。
様々な戦争、紛争地域に思いを馳せる内容で、対立する国の男2人の間にゆっくり築かれていく友情の物語。
派手で独特な色遣いで、少し目が痛くなったりしました。
何度も起きる些細な喧嘩・いざこざがしつこく感じたりもしましたが、2人の正体を知った後はなるほどとも思いました。
あと、音楽が素晴らしい。
身体をゆすって踊りたい衝動に駆られました。
Healing
異国の地のアニメーションってだけで劇場に観に行っちゃう人間なんですが、今作も例に漏れず。
好みの問題だなと思うところが多々あって、アニメのタッチもそこまで好きではありませんでしたし、ストーリーも序盤から何の話?と理解するのに時間がかかりました。
オチはなるほどなた思ったんですが、それでも直接的すぎる描写にはそこまでハマれず。
今作の困ったところは、音楽が良すぎるところです。とても聴き心地が良いですし、エンドロールでも盛り上げてくれます。
ただ劇中の音楽が優しすぎて眠りの世界に誘われます。ギリギリの状態で鑑賞しましたが、字幕のスピードがなかなか早かったのも難ありだなと思いました。こういう作品こそ吹替が作られて欲しかったです。
もう一回観ておきたいとは思いつつも、なんかまたウトウトしそうだなと思って観れない次第です。
鑑賞日 12/6
鑑賞時間 9:50〜11:15
座席 G-6
テクノロジーとの正しい付き合い方
異国のアニメ
悪くはないんだけど、さ。
分からず屋な者への子供達の反抗
敵対する国同士のエージェントが、巨人によって脅かされる魔法の森で出会い、森を守るとされる「ペルリンプス」を見つけるべく協力するが…という、ストーリーこそアドベンチャー要素が高いが、その裏には我々の現実世界で起こる緊張と摩擦、対立といったメタファーを見る事ができる。ネタバレになるような事は書かないが、あえて1つ言えば、「分からず屋な者達」への子供の反抗だ。
とにかく色彩表現が鮮やかでキレイな上に、終盤のスローモーションを使った演出に息を呑んだ。イキイキとしたキャラクターの動きも楽しいし、ラストに登場するあるキャラが可愛いこと可愛いこと。劇伴もどれも耳馴染みが良くて素晴らしく、サントラが欲しいぐらい。
ペルリンプスの正体が何かは観て確かめてほしい…と言いたいとこだが、観る人によっていかにようにも解釈ができよう。一応劇伴で暗示はされているが、あくまでもそれは暗示に過ぎず。でもそれもまた正解なのだ。
記者会見で監督が「友情」というフレーズをしきりに連呼していたのが印象的だった。
今年観た映画の中でもベスト級の1本。
全12件を表示