「本人登場せずとも本人は存在する」クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
本人登場せずとも本人は存在する
映画界の寵児となったクエンティン・タランティーノ(以下タラ)に迫るドキュメンタリーだが、本人へのインタビューはなし(アーカイブ映像のみ)。その代わりと言ってはなんだが、彼の作品に関わったキャストやスタッフがタラのエピソードを語る。
お喋りすぎるほどお喋りなタラが撮影時にクルーに禁止している事や、脚本執筆の際は必ずペンを使用する理由、リテイクを撮る際に声掛けするワードなど、どれもこれも“らしさ”爆発。本人が姿を現さずとも、本人は存在している。
存在といえば、タラとは切っても切れないハーヴェイ・ワインスタインの存在にも触れる。強い女性の作品を撮ってきたタラをバックアップしてきた人物が、裏で女性を力で掌握してきた事実。それを見て見ぬふりをしていたタラは最終監督作として女性映画批評家を題材にすると云われている。これが彼の贖罪となるのか否か?いろんな意味で期待。
気になったのは、タラ作品に出演した事でキャリア低迷を脱したジョン・トラヴォルタやパム・グリアらのインタビューがなかった点。ロバート・フォスターのタラへの謝意が沁みるだけに、最初からオファーしなかったのかオファーしても断られたのかは不明だが、彼らの話も聞きたかったところ。
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