劇場公開日 2023年7月28日

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不安は魂を食いつくすのレビュー・感想・評価

全16件を表示

4.5名作過ぎてひっくり返った

2024年6月18日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

萌える

何の気なしに鑑賞して、我が人生のベスト級の映画に出会ってしまいました。「不安は魂を食い尽くす」、名作です。高度に洗練された映画だと思います。明瞭かつ芸術的。人物の仕草を繊細に描き出すアプローチを取りながら、テンポが全く損なわれていない事に驚きました。差別という題材を描く上で必要十分に登場人物の描写が立体的で、かつ必要以上に掘り下げない距離感を保つのも上手い。全てにおいて匙加減が絶妙。例えば冒頭で掃除婦のエミが元ナチ党員である事が提示され、彼女が単純化された悲劇のヒロインでない事を観客に提示する一方で、その背景が罪としてクローズアップされる事はないのです。シンプルな物語だから出来た理想の取捨選択がこの映画にはあります。強いて作品の色を語るならば、客観的でやや乾いた映画だと思います。だからこそ、差別を題材にしながら、半世紀経った今でさえ通用する普遍性を獲得出来たのでしょう。
ラストについては悲劇で終わる事も楽観も許さない、本作の小市民的リアリズムからの帰結だと自分は感じました。その分ちょっと恋愛ものに求められるロマンには欠けたかも知れないですね。

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フレンチクローラー

3.0話がトントンと進んでいく

Mさん
2023年11月11日
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あからさまな差別に驚いたが、日本でも、これからどんどん外国人が入ってきて、人種差別等のことも身に染みてわかるようになるのだろうか。

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M

3.570年代の西ドイツにて

2023年10月14日
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鑑賞方法:映画館

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選、にて劇場で観賞。

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーは監督しつつ、チョイ役で出演してます。

センスいいオープニングから引き込まれて観ました。

人種差別や移民問題を扱ってて、いい題材だと思います。

今の日本にも通じ、考えさせられました。

70年代の西ドイツが舞台で、当時の西ドイツを記録した貴重な映像でもあります。

ビートルワーゲンが止まった雨の街角、街の雑貨屋、当時のアパート、などなど…

その点でも楽しめました。

良かったです。

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RAIN DOG

4.0人種問題と年の差婚

2023年10月13日
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鑑賞方法:映画館

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選から2本目。

う〜〜〜ん、これは傑作‼︎

ドイツ、ミュンヘン。掃除婦として働く初老の未亡人エミは近所の酒場で出会った移民労働者の青年アリと恋に落ち結婚した。

序盤のあり得ない急展開に呆然とした。

移民を差別し、移民と結婚したエミをバッシングするドイツ人たち。ドイツ人に虐げられドイツ人を嫌悪する移民たち。確固として存在する人種問題。

そして、こわれもののようなエミとアリの関係。

60代の歳を取り過ぎているエミと30代で壮健なアリとの行為が想像できなかった。アリは結婚後も必要以上に豊満な肉体をもつ酒場の女と関係を続けた。

残酷なキャスティングだった。
凄いキャスティングだった。
真実の愛だと信じようとしたが確信が持てなかった。打算だったのではないかと最後まで疑った。

恋に猛進する老女エミを演じたブリギッテ・ミラ。
微妙な容姿を含め完璧にハマっていた。
名演だった。てか、ある意味グロテスクな怪演だった。

アリを演じたのはファスビンダーの愛人だったというエル・へディ・ベン・サレム。彼の逞しく美しい肉体、そして酒場の女を演じた後にフレディ・マーキュリーの恋人となるバーバラ・ヴァレンティンの熟れ過ぎてはみ出した肉体が見る目を曇らせた。

エミにとっては手で触れるアリの肉体が真実そのものだったのだろうが。

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エロくそチキン2

3.5こんなラストってあるか?

2023年10月10日
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JYARI

4.0現代日本にも突き付けられた移民に関するお話

2023年8月29日
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鑑賞方法:映画館

1974年に西ドイツで製作された映画でした。Bunkamura渋谷宮下で、ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督の特集をしており、観る機会を得ました。テーマ的には、移民にまつわる差別や労働問題、移民との愛情や結婚、年の差婚など、社会問題から極私的な分野に至るまで多岐に渡っていました。
中々興味深かったのは、半世紀前の西ドイツの映画でありながら、現代日本にも相通じるテーマ性を持っていると感じられたこと。少子化による労働者不足により、ここ10年程度で日本でも移民が飛躍的に増え、それとともに移民労働者に対する差別的待遇を中心に、それなりに報じられてきました。日本にとっては比較的新しい問題ですが、ドイツでは半世紀も前からこうした問題が社会に蔓延していたらしいことが読み取れた訳です。

主人公のエミは、夫に先立たれ、3人の子供もそれぞれ所帯を持って今は一人暮らしをする60代の女性。そんな彼女がひょんなことで知り合ったモロッコ移民のアリと結婚すると、3人の子供はもとより、アパートの隣人、近所の食料品店主、職場の同僚に至るまで、エミを蔑むようになります。ナチスドイツの反省に立って戦後歩み始めたはずのドイツでも、移民に対する強烈な差別意識は社会の至る所に残っていることを平然と告発した本作は、中々度胸があるとしか言えません。

さらに面白いのは、そんなエミが、自分の親も自分もナチス党員だったことを何の屈託もなくアリに告白し、ヒトラーが通ったというレストランに2人連れだって食事しに行くなど、差別で悪名高きナチスやヒトラーに懐かしさすら覚えていたのに、アフリカ出身のアリには深い愛情を感じていたということ。この辺りのアンビバレントな描写が、一層登場人物を立体的に感じさせてくれたように思います。

最終的には、エミを一時遠ざけていた彼女の子供やアパートの隣人、食料品店の店主、職場の同僚などが、それぞれの打算的な理由でエミに妥協的な態度を取ると、逆にアリの精神が崩壊してしまう逆転現象が起きる。この辺りのダイナミズムも本作の最大の魅力だったように思います。表面的な妥協は成立しても、本質的な解決に至ったようには見られないところでエンディングを迎えます。移民が増え続ける現代日本にあっても、我々がどういった態度を取るべきなのかを考えさせてくれる秀作でした。

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鶏

5.0幸福が楽しいとは限らない

2023年8月22日
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映画の始まりから、夢中になって見てしまった。人種
、年齢、性別、社会的地位の差、周囲からの目線には敏感で、人を差別することには鈍感になってしまうこと、人を愛することの幸せと傲慢さ。時代も国も違うのに、なんでこんなに身につまされるのだろう。

いろんなシーンで出てくるテーブルと椅子、そこに座る人々の表情、ワンピース可愛い花柄、ファスビンダー監督の作る世界観はすごい。アキカウリスマキ監督が影響を受けたというのも納得。

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Sakiko

4.0幸せすぎて不安なの

2023年8月20日
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悲しい

幸せ

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ミカ

5.0軽やかなファスビンダー作品

2023年8月19日
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鑑賞方法:映画館

外国人労働者。移民、差別、偏見、思いテーマを、暗いファスビンダー監督が喜怒哀楽軽やかに描く。

冒頭のアラブ歌謡にグッときて、移民労働者が集まるバーに一度入ってみたかったエミが雨やどりを口実に立ち寄るところから、あれよあれよという間もなく周りの偏見に後押しされ結婚してしまう。
モロッコの表現だそうだが、不安は魂を食い尽くすのだそうで、だから不安にならないほうがよいと、人としてのエミの心の温かさ豊かさに、信頼と愛を感じるアリと、初婚の夫も戦前出稼ぎに来たポーランド人で偏見から自由で本質的な正しさや人間らしさに価値を見出すエミ。
社会、家族、移民仲間からの双方の偏見、意地悪、そこから、クスクスに釣られて浮気をしてしまうアリ、ドイツでの暮らし郷に従えと自国に住んでる強みが元々しっかりもののエミゆえ悪意に涙しながらも無意識にでてしまう、そんなすれ違いが、ほんとに、魂ではなく、アリの胃潰瘍を食い尽くしあながあいてじまうのだ。
元々多様性と寛容と個人の自由の尊重が身についているエミだから、アリにあなたは自由互いに自由でも二人一緒にいたら強くなれる、と、道に迷ったアリを勇気づけ愛と力を取り戻すのだ。
それにしても。同じアパートの女たちが、アリの友達が来て音楽や騒いでうるさいと警察に通報したとき警官は、特に問題ないと形式的な注意をしてたちさり、結婚の書類もすぐに受理されるし、アリはモロッコの人アラブの人は人ではないと、ドイツに出稼ぎにきた辛さを訴えていたが日本にくらべたらまともだったんじやない?ておもったり。
気になったのはポーランドからの出稼ぎであったが戦争中はナチスの党員になりなんとか上手くやって来れた、とエミが知り合ったばかりのアリにいうシーン、ヒトラー知ってる?と聞いて、あの時はみんな党員だった、と、その後婚姻届を出し結婚した日、一度行ってみたかっだという高級レストランに二人でいくのだが、またしてもエミが、ヒトラーが通っていたレストランよ、一度いっでみたかったのよ、のしれっと言うのだ。レストランのシーンは飾らず素直なエミの対応がとても良くて心地よいシーンなのだがこのあたり、アパートや職場の女が、エミを慎みがないと言ったり、エミの子どもたちがモロッコ人の夫を激昂するところ、最後ででくるユーゴからの出稼ぎを悪意もないが仲間に入れないシーンなどと重ねて、、、悪意がないことが正しさを意味しないことに思いが飛ぶ。

不安は魂を食い尽くすことストレスやイライラは胃を食い尽くすことを肝に銘じてこれから強く生きていこう。

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redir

4.0移民を受け入れない限りこの映画の意義は残り続ける

2023年8月14日
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笑える

悲しい

楽しい

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iwamoog

4.570年代前半、西ドイツの都会ある雨の夜。 初老の掃除婦エミ(ブリギ...

2023年8月10日
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りゃんひさ

4.0不安は

2023年8月9日
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鑑賞方法:映画館

魂を食いつくす
人間は他人を食いつくす

ファシズム的熱狂というのは、トップから急に降りてくるのではなく、庶民的で素朴な感覚(不安)から草の根的に発生するというのがよく分かるな。
一人ひとりはただ孤独で不安な人間で、寝付けて根付けるねぐらがほしいだけ。

あと、稲妻に撃ち抜かれるような非日常のインパクトと、毎日そんなことやってらんねーっていう日常とのコントラストもあんだよね。人生って無理ゲーすぎるわー。

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ouosou

4.0流れ的に理解できないところも少なくなかったけど すごく引き込まれた

2023年8月5日
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流れ的に理解できないところも少なくなかったけど

すごく引き込まれた

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jung

3.5年の差婚と人種差別

2023年8月2日
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悲しい

楽しい

萌える

ファスビンダーの作品は知的で陰鬱なイメージが少々、ようは小難しい感覚で身構えながら観た結果は何だか拍子抜けしてしまうほどに和やかな気持ちにさせられる意外性にビックリ仰天!?

特に終盤での病院の場面、まるで昭和の日本にあったようなTVドラマやアニメみたいな感動する場面にこれみよがしで流れる古臭い音楽がホンワカした気分に、微妙に笑わせられてしまう。

微動だにしない登場人物を長回し、しつこい程のロングショット、アキ・カウリスマキの映画を思い出してしまう映像のLookや話運び、ちょっと違うが『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』も何となく、耐えられないほどのストレスが好物のクスクスを作ってあげてさえいれば、そんな問題ではないのか!?

閉鎖的な時代背景か、それともそんな御国柄、70年代に描かれた物語は2020年代の今も変わらない、差別があるか無いか、人間ってそれだけの生き物かも。。。

家を出たまま、職場に押し掛ける、最初は同僚たちと嘲笑う、でも表情は曇り始め、心がキリキリしてしまう場面でもあり、二人には応援の眼差ししかない。

......アキ・カウリスマキにとって自分の映像スタイルは本作から多大な影響を受けていた、ファスビンダー監督作の中で最も重要な作品であると、物凄く納得できてしまうカウリスマキの言葉に気持ちがスッキリとさせられた。

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万年 東一

4.5ファスビンダーは「あやつり糸の世界」でもそうだったが相当なテクニシ...

2023年8月1日
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ファスビンダーは「あやつり糸の世界」でもそうだったが相当なテクニシャンだと思う。途中の「そうはならんやろ」連発を技術でかわしつつ、いつの間にか2人に移入するように仕向けている(に違いない)。最近のバービーの件から察するに、世界的に(日本も)60年以上変わっとらんということか。差別に対するものと同等に現実に対しても持たれているファスビンダーの冷たい眼は現代でも全く通用するということ。

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kazuyuki

4.5誰が結婚を発明したのだろう?

2023年7月29日
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笑える

悲しい

難しい

とても面白くて笑えて可愛らしくて。そして結婚の嫌らしさをすごく感じた。

結婚は唐突に起こった。アリはモロッコからの外国人労働者、若くてハンサムでスタイルよくて優しい。ドイツ語は完璧でなくても十分に話せる。付き合いがあるのは同郷の仲間と行きつけのバーのみ。一方、ポーランド人の夫を亡くした未亡人エミには成人した子どもが3人いて、掃除婦として働き自分の住まいに一人暮らしで社交的で料理上手で経済的にも生活面でも自立している。孫もいる。ずんぐりむっくりでおばちゃん顔。アリの祖母といわれてもおかしくない年齢差である。

結婚は大家への言い訳から始まったが同意のもと役所に行って二人は本当に結婚した。幸せでかわいらしいカップルだ。生活しているドイツ社会において権力(見えないガラスの下駄を生まれつき履いている側)はドイツ人である妻のエミにある。ただ当初は、肌の色が異なる外国人労働者と結婚した為にアパートの住人からも行きつけの商店主からも同僚の女性からも自分の子ども達からも疎んじられ皆離れていく。それでもエミとアリは強く結びついていた。

それが、二人で過ごした気晴らし休暇から戻ったら状況がおかしく(普通に?)なってくる。住人も商店主も同僚も子ども達も手のひら返しの優しさでエミとの関係を戻す。そしてエミも変わる。顎でアリを使うかのように隣人の荷物移動手伝いをアリに指示する。女達がアリの若くてスベスベした筋肉質の身体を触りまくって褒め称える。それをエミはニコニコと笑って眺めている。クスクスを作ってというアリに、「クスクスなんて私は本当は嫌い。あなたもドイツに慣れなくては」と言い放つ。二人だけが幸せなら良かったはずだったのに。みんなの意地悪は嫉妬からだとエミは言っていたのに。でもエミはアリとの結婚で失った知人、友人、家族関係を恋しがってもいたのだ。

最後にエミはアリに言う。あなたが誰と寝ようが関係ない。二人で幸せに暮らしたい。残りの人生を一緒に過ごせればそれでいいと。「オレはお前より先に死ぬ、お前はオレの面倒を最後まで見るのだー」と昭和の夫のようだ。一方で、アリは当時の医者によると外国人労働者に多い胃潰瘍を煩っていて原因はストレス。どっちが先に死ぬのかもう誰もわからない。

結婚における権力構造を明らかにするためには男女関係をここまでひっくり返す必要があるのか・・・と絶句した。

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talisman