「大阪西成のコッテリ感に安定の安藤サクラ無双とラストシーンが心に染み入る♪」BAD LANDS バッド・ランズ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
大阪西成のコッテリ感に安定の安藤サクラ無双とラストシーンが心に染み入る♪
以前から気になっていた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…面白い。
大阪の西成と言う、ある意味、日本一のディープゾーンw そんなややこしい場所を舞台にして、オレオレ詐欺や生活保護不正など現代の闇ビジネスを描いているけど、結構しっくりとくるんですよね。
歌舞伎町なんかを舞台にした中国人やブラジル人の所謂外国人マフィアの仕業となると漫画や小説なんかのノンフィクションで多分に描かれていて何処か現実的ではない感じがしなくもないけど、西成と言う関西人なら誰もが知っている土地柄なら“あぁ、西成ならありそうありそう”となってしまうお馴染み感満載。
でも、劇中では大阪の西成が舞台でも、ロケ地としては西成以外に滋賀県の彦根や大津で撮影されているとのこと。彦根は最近過疎化が進んでいて、シャッター商店街も多数なので、ロケ地としてなかなかナイスなチョイス。西成はなかなかややこしい土地柄なので中には許可の取れない、撮してはいけない所も多数なのでこういった似ている所での撮影は致し方無しと言うか、よく探してきたと感心。
3年前に公開された、大阪の飛田新地を舞台にした「悲しき天使」と言う作品も舞台を飛田新地を匂わせているが実際には飛田新地での撮影許可は得られなかったので特定する単語は劇中でも出てこなかった。
そう思うと今から5年前に放送されたマツコ・デラックスさんと友近さんが日本の風俗を紐解く特別番組「かたせ梨乃が進駐軍の前で踊り狂った時代…マツコ」は物凄い番組だったなぁ~。あの飛田新地から撮影許可が降りて、飛田新地を検証する番組なんて思っても出来るもんじゃないのに、歴史的見解や硬軟織り交ぜての見事なエンタメ番組に昇華していた。
そんかややこしい土地を舞台にしてちゃんと撮影許可を得ていると思うけど、よく取れたもんだとこちらも感心。劇中でも安藤サクラさん演じるネリが興味本位に三角公園(らしき)を無断撮影している観光客に「お前ら、誰に許可をもろて撮影してんねや~!」と怒鳴っているシーンがあるけど、実際に安藤サクラさん自身が撮影中に地元の人から「お前ら、撮影許可もろてんのか~」と凄まれたそうですw
キャスティングも見事で安藤サクラさんの安定感と言うか、存在感が抜群。この人が出演しているなら安心と思わせる存在感は個人的には役所広司さんと安藤サクラさんが筆頭かと。
それぐらい安藤サクラ無双っぷりが発揮されていますがクールかつ淡々と仕事をこなしながらも何処か人情味溢れるネリに共感出来るんですよね。
山田涼介さん演じる腹違いの弟のジョーや生瀬勝久さんもいい感じ。
ジョーの軽薄さの裏側にある姉弟の絆やネリへの想いが後半になる程、確りと伝わってくる。
個人的にはサリngROCKさん演じる林田も良い感じだけど、宇崎竜童さん演じる曼荼羅が渋い!
筋と義理に生きる元ヤクザが格好いいんですよね。
あのクライマックスからラストにかけての散り方がハードボイルド感を醸し出しているんですよね~。
あと、岡田准一さんの使い方が贅沢で“えっ?本当に岡田准一??”と一瞬分からなかったw
天童よしみさん演じる新井ママの“舐めたらあかん”のセリフはあの曲調に変換されますねw
序盤からサクサクとテンポ良く進むんですが、中盤のジョーが出てきた辺りからちょっと中弛みがしないでもなく、少し力業で押してきたかな?と言うのは否めなくない。
特にネリと胡屋との関係性の描写や説明が薄い。何故ネリが東京に行き、胡屋の所に働くようになったかがちょっと説明不足かな。
なので、胡屋が巨大な権力を持ち、徐々にネリを追い詰めていくのは良いが、胡屋が殺されるまでが何処かあっさり感があるんですよね。
もっと胡屋が裏で暗躍していて、全ての元凶の影に胡屋ありと言う感じに振り切っても良かったかな?と。
あと、大阪府警でネリたちを追い詰める佐竹や日野が絡むようで絡まずでなんかスカされる感が結構おマヌケな感じでルパンと銭形警部の関係っぽく感じますw
ラストに至るまでが少し綺麗にまとめ過ぎている感はありますが、個人的にはこれぐらいでも良いかと。
互いを信用はしないが、利害が一致して、相手の力量を認めたら、ビジネスとしての協力はする。無闇に敵を作らず、それぞれのスタンスでこの世界を渡り歩くルールを持っているのが悪党としてのプライドが垣間見得る。
また、ラストのネリの疾走は良いラストシーン。
ちゃんと伏線の回収もされていて、西成での朝焼けは自身のこれからを暗示するかのような解き放たれた自由を表している。
役所広司さんの「すばらしき世界」のラスト手前を思い出しましたが、悪党と言えど、アンハッピーはちょっと苦手。天罰が下るに相応しい悪党ならまだしもネリにはつかの間でも良いので自由を手にして欲しいと思うからこその良いシーン。
文句無しのキャスティングで設定も野次馬根性擽る妙。昨今の闇ビジネス系では屈指の作品かと。
安定感があるのでハズレ無しかと思いますが、とりあえず関西人なら、観てても安心する気がしますw
トミーさん
コメント有難うございます。
山田涼介さん演じるジョーは後から愛着と愛嬌が尻上がりに沸いてくるキャラですよね。
ロボコップって、また古いけど分かりますw
そうなるとジョーがロボ半グレで復活ですねww
また、お時間があられましたら、覗きに来てくださいね♪
共感ありがとうございます。
面白く出来てましたよね。弟くんは早く死んでくれ!位思ってましたが、最後の行為にちょっと見直し。最期銃弾を浴びるシーン「ロボコップ」に似てません?
humさん
コメント有難うございます。
お褒め頂きまして嬉しく思います。
安藤サクラさんは最近の活躍も含めて、素晴らしい演技で目が離せない女優さんですね。眼力がある方なのでこういった毒のある役の方が似合うかと思います。
また、お時間があられましたら、覗きに来てくださいね♪
大吉さん
コメント有難うございます。
ジョーと曼荼羅の落とし前は良いですね。それぞれの美学が写り出されていてフィルムノワール感が良いんですよね。
ネリの纏った物を脱ぎ捨てての朝焼けの疾走は素敵すぎて、ラストとしては最高のビジュアルじゃあないでしょうか。
また、お暇があられましたら覗きに来てくださいね♪