劇場公開日 2023年9月29日

「生きにくい、を生き抜く」BAD LANDS バッド・ランズ たまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生きにくい、を生き抜く

2023年10月7日
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タイトルを、原田眞人監督の言葉から引用させてもらった。
この映画はまさにこれであろう。

安藤サクラという人はこのクライムサスペンス、フィルムノワールな映画でも、ここまで表現できるのである。
彼女の存在感、演技力、並の女優ではない

黒川博行氏の原作は未読ながら、主人公を男性から女性に変更したのは、成功しているのではないか。

舞台は大阪の深部、新世界であり西成であり…
特殊詐欺集団、半グレ、ヤクザ、投資家でありながら悪、
それらを追う警察、ホームレスの生活などが活写され、
映画の骨格を作る。

安藤サクラの弟役の山田涼介、彼もなかなかに良い。
過去に深い傷を負いながらも、犯罪集団の中でしか生きられない姉想いの弟を、飄々と演じている。
ラストでその想いを遂げるのが、また哀しいのであるが…

曼荼羅演じる宇崎竜童、この人がまたいい。
強烈な印象を刻む。
天童よしみ、面白い。

あえていうならば大阪府警の部長を演じる江口のり子、
もう少し見せ場があれば、というところか。

物語は金と血でいろどられ、主人公の過去の傷にまつわる人物も残酷きわまりないのだが。それでいて作品自体には光すら感じるドライさがあり、優しさがあり。しつこくない。
原田監督初期作、KAMIKAZETAXIに根底では通ずるものがあるか。

月曜日の巫女、これだったのか、と。
颯爽とふきぬけていく一陣の風を感じた。
それでも生きていかなあかんやろ、と。

たま
たまさんのコメント
2023年10月10日

コメントありがとうございます
ラストシーン、さわやかすら感じるものでした。
あぁ〜そうきたか、という。

たま
すみれ7878さんのコメント
2023年10月10日

エリの疾走するラストシーン、気持ちよかったです。

すみれ7878