「歴史に残る傑作」BAD LANDS バッド・ランズ Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史に残る傑作
ラストは安藤サクラが走ってるシーンなんだけど、笑顔で走るよね。観てて泣きそうだった。
なんで泣きそうなのかは分からないの。嬉しいのか悲しいのか。
ラストで余韻を感じる作品って今までフランス映画でしかなかったから、これはスゴイなと思うの。
特殊詐欺の受け子から話が始まるんだよね。「三塁コーチ」とか良く調べてるなあと思うの。取材の深さが違う。
安藤サクラは仕事に失敗しても「受け子にも少し渡したいんです」と生瀬勝久に金をせびって、なんか良い人かも感出してくるんだよね。宇崎竜童たちの面倒もきちんと見るし。
でも、この失敗が響いて、府警にはマークされ、安藤サクラを執拗に追い掛けるいかれた大会社の社長にも見つかってしまう。
それで、山田涼介がやらかしてくよね。どうしようもない奴なんだけど、弟だから安藤サクラはとことん面倒みるの。
弟の面倒みなきゃって賭場にいったのに、宇崎竜童が暴れて帰らざるを得ないっていう展開も自然に流れていい。そこで山田涼介が借金は作るは殺しに失敗するわで散々。この殺しのシーンも良かったね。岡田くん出てきたし。
それで、弟が生瀬勝久を殺しますと。
これが最悪なんだよね。
もうイカレタ大企業の社長から守ってくれる人いなくなるし、府警には追いかけられるし、見るからに危なそうなサリngROCKにもマークされる。絶体絶命なんだよ。
どんな悲惨な末路になるのかと観ていくと、きちんと収束させてくの。
暗証番号のわかりかたもいいし、「スピリタス飲むときは火気厳禁やで」の張り方もうまい。
府警も仕事をして、研修生が活躍して、「上から手を回してるから潰れない」という生瀬勝久の組織を潰してくれるの。これで追手が一つ減るね。研修生の活躍良かったな。オリンピック頑張れ。
山田涼介が借金をキッチリ返して「おかしいな?」とサリngROCKにマークされて、安藤サクラのところに訪ねてきたときは「万策窮した」と思ったけど、「なるほど」で抜けたね。
残ったのはイカレタ社長だけど、これも納得の終わり。ラブホが伏線になってるんだね。
最後の逃げ出すところでは、月曜日の巫女を使って、とにかく話の細かなところがうまい。
さすがは原作・黒川博行だね。
それでラストシーンで心が動くのは、人物描写のうまさやストーリー展開の良さもあるんだけど、どうしようもないやるせなさだね。安藤サクラの幸せを願わずにはいられないけど、そのために払われた犠牲を思うと、そしてそれが避けがたい犠牲だったのではと思うとみたいな感情かなと思いました。