「バランスが…」BAD LANDS バッド・ランズ キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
バランスが…
いつも通り日曜朝イチの上映回。
「安藤サクラ主演で」
「クズがいっぱい出てくる」
「クライムサスペンス」
もう私の大好きな部類の作品確定と信じて映画館へ。
この時間帯の客層は中高年以上が多く、単独で鑑賞される方が占める印象だったが、今回は若い女性の二人連れが複数見受けられ、作品ジャンルを考えると多少の違和感があった。
なるほど。
山田涼介目当てか。
事前情報をほとんど得ずに行ったので知らなかったが、途中から登場するイケメンの姿を見て納得する。
彼のヌードシーンで小さな歓声を上げておられた。
もちろん、それはそれで素晴らしい。
好きなシーンで楽しまれよ。
で、中身。
最近何本か観て、この監督作の「あるある」だと感じるのだが、説明セリフが多いのに、それが聞き取れないシーンが本当に多いこと。
それも、初めて登場する固有名詞が(今回は)大阪弁で、雑音の中で応酬される。
もしかすると、あえて観客に聞き耳を立てさせて物語に引き込むための演出なのかもしれないし、もちろん結果的には正確に聞き取れなくても大丈夫なものがほとんどなんだけど、何かが起きる度に「聞き取れていないから(自分が展開を)把握できていないのでは…」というモヤモヤと並走することになる。
カメラのカットがすごく多いのも分かりにくくさせている感じ。
安藤サクラはやはり今回も抜群にカッコいい一方で、周りのキャスト、中でも敵対するキャラクター、そのボス格が様々なフェーズで複数登場するんだけど、どれも総じてただのサイコパスかただの詐欺師で、キャラクターとして掘り下げもなく、特に魅力的に感じないっていうのは、結果として映画の面白さを半減させている気がする。
やはりヴィランは主人公を食うくらい好きにさせてくれないと。
鉄火場の元締めなんて、もう少し楽しめそうだったのに、結局前述の「ん?今、何て言った?」が邪魔をすることになってる。
加えて、彼らを追跡する警察のメンバー。本来もう少し物語のエッセンスになったはずなのに、特に後半は変なコメディ要素が多く、全体の流れがぶつ切りになっている印象があったのは残念。
観客の想定をひっくり返すほどの展開もないし、アクションというアクションもない。
繰り返される「コーヒーくるくる」もなぁ。
気付けば嫌なことばかり並べてしまったけど、上映時間の長さの割には額面よりむしろ短く感じるくらいのテンポの良さと主人公たちの魅力があって、多分本来はもっともっと面白くなるはずなのに…と思わせるくらい、個人的には「惜しい」「もったいない」と感じる作品でした。
【追伸】
あらためて「ヘルドッグス」に書いた自分のレビューを読んだら、上記とほぼ同じこと書いてた(笑)