「(補足入れてます)法律ワードが「ほぼ出ない」のに深い知識を要求してくる…。大阪市枠である点にも注意。」BAD LANDS バッド・ランズ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
(補足入れてます)法律ワードが「ほぼ出ない」のに深い知識を要求してくる…。大阪市枠である点にも注意。
今年334本目(合計984本目/今月(2023年9月度)44本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
まず、この映画の大きな特徴として「大阪市枠である」という点がいえます。普段よく使う駅(大阪メトロ。旧大阪市営地下鉄)から、あまりいかない区の話など、さらにメトロ以外にも一般の私鉄もちらりとでたり、ある程度「地理感」がないと厳しいところです(最初の2分くらいで???な展開になる)。
内容としては多くの方が触れられている「振り込め詐欺」にはじまるクライムサスペンス・泥沼劇のお話。こういった事情もあるので、つかみは非常にわかりやすく、かなり展開としてはわかりやすいのですが、後半おやっと思うような法律ワードを突然言い出すシーンがあったりするなどがやや厳しいかなというところで、実はこの「法律ワード」が出てくることからちゃんとそのあとも見ると「出している割には設定が雑だなぁ」という部分もあったりします。ただ、この点、法律ワードは1回か2回かしかでない(もちろん「法律アクション」はバンバン出る。振り込め詐欺は、刑法上は詐欺、民法上も詐欺・不当利得・不法行為ほか)ものの、その何度か出るのがちょっと辛いかなというところです。
公式サイトにも、「映画で出てくる大阪市のバーチャルツアー」みたいなものもないことは確認しており(20時時点ごろ、スマホにて)、どこまでの大阪市に対する地理感を要求するのかも本当に微妙なところがあります(中には音声だけで出るだけで実際に描写されない駅があったり、逆に超ドマイナーなところを出してきたりが厳しい?)。VODシステムでもよいので、大阪市を扱った映画(最近だと「凪の憂鬱」など)を見ているかどうかでもかなり異なると思います(大阪市在住の方はもちろん、近畿にお住まいの方には不要ですが、東京在住で大阪市にゆかりがないという方だと考える余地はあるかも)。
上記で「法律ワードは1~2回しか出てこないので見やすい」とは書きましたが、この1~2回出てくるところが本当に突如として出てくる割にややマニアックな部分もあり、解説もいれながら採点に入りましょう。
4.7を4.5まで切り下げた形になります。
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(減点0.2/「司法書士のところでお世話になっている」)
いきなり「司法書士」という語が出るのですよね。不動産登記をはじめとした「登記」のスペシャリストです。人生最大の買い物は「マイホーム」だと言われますが、家を購入したとき「この土地、建物の権利は私のものです」ということを「登録」することを「登記」といい、これを仕事にするのが司法書士という方です。
なお、行政書士はこのことを扱えません(司法書士の独占業務)ので注意です(ただ、実際、多くの方が何とか行政書士事務所に、各種法律を熟知してくるわけではないので、いきなり登記の相談をしてくるというのは実際普通にあることであり、その場合「適切な対応先につなぐ限り問題なし」の扱いです)。
※ なので、ちょっと前に「行政書士が、公法(憲法・行政法等の「国と私」のような縦の関係)を規律する分野を多く扱う」と書きましたが、司法書士は逆に、私法(民法や不動産登記法など、「私とあなた」のようなものを規定する)を多く扱う」のです。
※ こうしたことは、実際に開業もすれば聞いてくる方は実際にいますし、実際に司法書士、行政書士ごとにできること、できないことがバラバラなので(ここにさらに社労士や税理士などを入れるともっと複雑になる)、「最低限、他の資格で扱う法律についても知っていないとお話にならない」のが実情ではあります。
(減点0.1/事務所に置かれている各種の法律の書籍が実はいろいろと変)
「六法全書」というものまでおかれていますが、「六法全書」というのは「固有名詞」です。いわゆる「広辞苑」の1.5倍くらいあります(大きさ、重さとも)。
そのため、資格学習者はもちろん開業者でさえも持っていないという方が大半で(そもそも物理的に簡単に持てません)私もいろいろ調べものをしているとき…ここの投稿をするときに条文番号を引っ張ってくるときなど…には「模範六法」という書籍を使っていますが…実際に「固有名詞としての」「六法全書」を使っているのは稀じゃなかろうか(しかもそれが何冊も存在するのも謎。法律は毎年いろいろ変わるので、最新年度以外のものは基本的に捨てます)と思います(ものすごく重いです。合格のみで登録していない私でさえ、この六法全書にせよ六法関係は「ネットで検索できるサービスに入りませんか?」という勧誘メールが来るように、最近は「六法全書」は固有名詞扱いではあるものの「パソコンの中に入っています」(より詳しくいえば、サブスクリプションしています、が正しい)という方も実際多いです(そうしないと物理的に管理しきれません)。
(参考/減点なし/「専門的な」「●●六法」って何?)
特に行政書士は資格の特性上扱う範囲が広く、福祉行政(生活保護取次等)をターゲットにする方もいればいろいろいます。私は大阪市在住で普段から外国人問題に興味関心を寄せていますが、その時の情報収集には「出入国管理実務六法」というものを使います。分野ごと(たとえばこの例や、「福祉六法」「貿易実務六法」など)にあり、必ずしも「6つの法律」が入っているのではなく、「その分野に関係する代表的な法律を6つ程度(5つや7つになることも当然ある収めている専門書」です。
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(コメント返し)
※ ここ、コメントって返せない仕様なんでしょうか??(コメント欄が出てこない)
>権威付けかも?
確かにそういう部分はありますね。「そのうえで」一般のハンディサイズ~中規模サイズの六法を持っている、ということはあると思います。なお、固有名詞としての「六法全書」は、大きさも値段も特殊な書籍であるという事情から、本屋さんによっては立ち読みができないようになっているところもありますので注意が必要です(なので、私も実は実物は「今は」持っていないし、何年か前に大阪市立中央図書館で見たっきり)。
>紙媒体のメリット
確かに規模の小さい改正のときと大きな改正のときがあって、例えば来年(令和6年)だと「女性の再婚禁止期間の規定が消える」等ごくわずかですが、民法大改正の令和2年度はとても書き込める量ではなかったりと、「年によって明確な差が出る」のも特徴です。
ちなみに数年置いておくことは(映画内では10冊くらい描写されている)、古い民法をあえて見たい(当時の解釈ではどうなるか、等)場合等には有効くらい、でしょうか(六法全書はその性質上、図書館では借りられません(図書館内で読むことはできる))。
行政書士の資格持ちレベルでの回答です。
〉「六法全書」を使っているのは稀じゃなかろうか
使いにくいとは思いますが、稀という程でしょうか。権威付けにはなります。
〉(しかもそれが何冊も存在するのも謎。法律は毎年いろいろ変わるので、最新年度以外のものは基本的に捨てます)
確かに、今日ではネットの法令検索システムを利用し改正法令に対応する人が多いと思います。が、大きな改正の前後は紙ベースの六法を備え置いて使うのが便利ですし、そうしている人も少なくないだろうと推測しています。なお、最近は各種法令が頻繁に改正されているのが実際です。ご参考まで。