春画先生のレビュー・感想・評価
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無や削ぎ落とした事でその美しさをを引き立てる魅せ方
無や削ぎ落とした事でその美しさをを引き立てる魅せ方、構成、結構好きな部類。
変態さん向けですね。
柄本(辻本役)さんは本当にこういうクセのあるキャラがハマりますね、今回もいい意味で気持ちの悪い素敵な演技でした。
唯一の動機
なかなか凄い
普遍的な部分とこじつけが入り混じる。
確かに、弓子の最後の言葉「感性を磨き、思い込みから解放されよ。精神と肉体を解き放て。幸福とはその先にあるもの」は普遍的だ。
弓子が月謝の代わりにお手伝いさんとして働きだしたころに、先生の書いたメモを見てそれが頭にこびりついていた。
これこそがこの作品を通して監督が言いたかった言葉だろう。
性とは人間の三大欲求にもかかわらず、古来から「教育」されてきた歴史がある。
物語にもあったが、日本では特にキリスト教文化の影響から春画なるものが厳しく抑圧された。
旧約聖書にもその在り方を厳しく説いている。
アダムとイブと知恵の実
「恥ずかしさを知った」ことは、後付けの嘘だということがわかっている。
成人となる儀式で、あのマサイ族はライオン狩りに出掛ける。
見事ライオンの首を持ってきた物だけが成人とみなされる。
彼らはモテる。
モテる彼らは夜這いにやってくる小学生低学年くらいの年齢の女の子と交わる。
しかし生理が来ると、結婚するまで性行為はしない。
これが彼らの在り方だ。
人間社会だけが、この性に対し厳しい倫理上の決まりを押し付けている。
ここにこの作品は切り込んだのだろう。
それはいい。
ただ、
男女の在り方はそれぞれだが、基本的な「もの」がなければすぐい価値観の違いという問題が生じる。
ここをこの作品は壊してみたかったのだろう。
それもわかる。
わかるが、どうしても納得できないことでもあったりする。
この作品の提案する世界観が正しいとは受け取れないのだ。
それを見込んでコメディタッチにしている点は素晴らしいと思う。
所詮、受け入れられないというのが大半だろう。
特に欧米人は「浮気」に関しては絶望的なほどの関係になる。
それだけキリスト教による性教育がしみこんでいるのだろう。
さて、
物語の内容はよく理解できたし、弓子の言葉は正しいと思う。
彼女がカフェでウエイトレスをしていた時に起きた地震が、人生の岐路だったという設定もコメディ故に面白かった。
弓子は自分の人生を変えたいと思っていた。
同時にこんなつまらない人生を歩くしかないとも感じていた。
弓子がそうなった理由が離婚だった。
それは彼女にとって、男という一括りにしたものとは幸せにはなれないと思っていたからだろう。
春画に見た男女の思考とその先に感じていたであろう物語が見えた時、弓子は興奮した。
いくつもの男女の絡み合いは相手のみならず、見えない背景、見えている背景の先までも映し出している文学的作品だということを知る。
その肌感は、紙の白だった。
こんな春画の奥深さと愛好家たちの存在
性への開放
なかなか面白いが、実際「その先」へなど進めるだろうか?
その先にはきっと一夫多妻制や一婦多夫性のようなことを想像してしまう。
物語にはLGBTや3Pまで登場した。
やはりそこにはソドムとゴモラのような文明の破壊を感じてしまう。
人には理解できないことや受け入れられないことがある。
性というものに対する倫理感は、時代や文明の要のようにも思う。
この作品が提案するように、確かにそれは普遍的な真理かもしれないが、性だけをクローズアップすることはできないのではないかと考えてしまう。
仮にこの作品のような世界が始まる場合、そこにはもっと美しい人間性であふれた世界になっている必要があるように思う。
マサイ族の文化は彼らの数百年の文化だが、彼らの自然との関わりと生き方だ。
そこにいわゆる犯罪はない。
全員が調和を求め、実際調和がある。
しかし現代社会は国から国際的標準を求める。
実際には多様でありながら、同じルールを求める。
この中で良いとか悪いとかが勝手に線引きされる。
この世界の中でこの物語のようなことを求めるのはやはり難しいだろう。
セキレイのつがいの話
イザナギとイザナミ
すべてが調和していたとき、性に対する開放もありになるのだろう。
江戸時代にはそんな考え方もあったようだ。
春画は、時代劇で見る「現代社会の常識」的側面から描いたものではない真実が隠されていた。
この点を突いたのは良かった。
不可能なことを提案するのもよかった。
そしてそれをコメディのような感じで表現したのもよかった。
特にあの鰹節 男根の象徴 コメディ
そして、現実の難しさを考えさせられた。
なかなかの作品だった。
北香那さんが実質的には主演
愛と性(癖)の物語
今の生活に満足していないとき熱中できるものを求めたり、劇的な変化をもたらせてくれる何かを待ち望むことがある。
多くの人はそれなりに若い時すでに熱中できるものを見つけるものだ。いわゆる趣味である。もしくは恋人などだ。
北香耶演じる主人公弓子は、ただ待っていた。自分を変えてくれるかもしれない何かを。
そして出会った。春画である。
春画の向こうには内野聖陽演じる芳賀先生がいる。もしかしたら最初から春画の虜となっている芳賀に惹かれたのかもしれない。
春画に夢中な芳賀を自分の虜にしたかったのかもしれない。
それは弓子自身も分かってはいない。物語が始まった時点では。
春画から振り向かせ、死別した妻からも振り向かせ、行き着いた先でやっと気付く。弓子の本当の望みを。
それは弓子の望みなのか、芳賀の望みなのか、はたまた互いに噛み合った望みなのか、作中の描写だけでは判断出来ないが、少なくとも最初に弓子が求めていた「変化」は2度の大地の揺れによりもたらされた。
観る前はユルい感じのロマンスコメディだと思っていた。雰囲気がそんな感じであったから。
しかし蓋を開けてみると、中々激しい愛と性(癖)の物語でびっくりした。
期待したものとは全然違ったけれど面白く観ることはできた。途中から春画がほとんど関係なくなっていくのは少々残念であるが。
近年ワースト。
つまんない
クソみたいな映画。
観て損した。
時間と内野聖陽の無駄遣い。内野さんなんでこんなものに出たの?なんかガッカリだよ。
北香那はただひたすらにうざいだけ。もっと売れたくて仕方がないんだろうなって感じの芝居。犬みたいにキャンキャン喚いてるだけで、演技に全くペーソスや奥行きがない。そんなんで立派にやり切った私ドヤ!感出してんじゃねえよ。
どうせなら是枝裕和監督の「空気人形」みたいな、思い切り中二病なファンタジー系に振りっ切っちゃった方がよかったんじゃなかろうか。そっちのがよっぽど切なそうだし泣けた気がする。
もしくは柄本佑と北香那の配役を逆にするくらいの気概が欲しかった。
こんなんただの監督の願望&性癖発表やん。
塩田明彦センスなさすぎ。
真剣で純粋な変態の物語
内野聖陽はなんでもできる
よく作り込まれた映画
そっと秘めた部分を覗き込むような、奥行きある画面づくりが美しかった。
すべてを見せずに、あえて隠すことで、そこに表現された豊かさに気づかせる。そんな春画の鑑賞の仕方に通じる演出だろう。
よく作り込まれた映画だった。
咄嗟に和装をするのも、本枯節をあれだけきれいに削るのも実は難しいと思うのだが、弓子はそれを難なくこなせるということを、先生は最初から見抜いていたということか。
春画のことは正直詳しくなかったので、映画がとてもよいガイドになってくれた。しかも、全体を通して、きちんと春画愛が感じられるつくりがされており、猥褻さと風雅さの対比というのが、所々のエピソードでも描かれていることに好感を持った。
ラストにかけての展開は、賛否があるかもしれないが、自分は賛。
すべてをひっくるめて、おおらかな人間肯定の映画だと思う。
キャストも、適材適所で素晴らしかった。
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