劇場公開日 2023年10月13日

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「ラスト30分で春画先生と弓子が逆転する面白さ!」春画先生 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラスト30分で春画先生と弓子が逆転する面白さ!

2024年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

こんな変態恋愛系の純愛が有っても良いじゃないかしら?!
ラストの意外な展開に、呆気に取られつつも、痛快だった。

ラストで北香那の実力を知らされた。
内野聖陽とガップリ四つに組んで力負けしなかった。
身体は小さいが声がデカい。
見くびっていたが、なんとなんと実力も根性もある。
声(台詞の声音)が素晴らしい。
特に素晴らしいのは、
“あえぎ声“
オーディションでこの声でキャスティングを勝ち取ったのでは?
というほどの“艶やか、大胆、色っぽくて劣情を煽る“
春画先生が“あのこのエクスタシーの声を聞きたい“
その願いに見事に答えています。
男性って自分が愛する女性に“性の喜び“を与えているのか?
けっこう気になるんじゃないでしょうか?
逆に女性はそこまで自分を解放することが“可能“でしょうか?
疑問に思うところですが、
そこに【笑い絵】つまり【春画】あり。
蛸に犯されたり、
身体が“赤い大きな魚“に変身して、
男に抱かれたり、
春画は、「性の解放」に大きな役割、
諧謔を与えてるのではないかな?分からんけど!!

この映画、原作・脚本・監督を塩田明彦が勤めている。
この監督は《何色!!》と言えない過去の作品リスト。
系統がバラバラ。
ロマンポルノから「黄泉がえり」「どろろ」
合唱部の男の子同士のLOVEを描いた「月光の囁き」まで
実に幅広い。個人的には「さよならくちびる」の脚本が好きだなぁ。
この映画は「春画先生」
色っぽくて、ちょっと気弱で、変態な、春画に取り憑かれた男・
芳賀一郎(はが・いちろー)
内野聖陽の新境地。
内野さんだから品よく、嫌味なく、愛せる可愛らしい春画先生。
ナイスキャスティングでした。
浮世離れした春画先生に対して、浮世の汚れや世渡り上手な
編集者役の柄本佑が器用にこなして笑いを誘う。
ブルーのTバックには、ニンマリ。
春画先生の意外な性癖、
マゾ・・・だったんですねー。
オネエのケンジから今度はマゾな春画研究者。
鞭打たれるシーンのビビリ感が、後退りするへっぴり腰が最高。
でもなんとも愛すべき可愛らしさ。
安達祐実も久々に水を得た魚・・・こちらも新境地を開いた。

昼は和服に白い割烹着で、かつお節をすりすり、お出汁をとり、
夜は変身して鞭を振るって、快感を与える【サドの女王様!!】
男性の願望が込められてますね。

内野聖陽さんは対談で、R15に収まって
本当に安心したと仰ってました。

琥珀糖
sow_miyaさんのコメント
2024年5月13日

ご無沙汰してます。琥珀糖さんのレビュー、全て共感です!
弓子の声、ヤバかったですね。でも、全体を通して、決して下品ではないのです。そこがすごい。いい映画を観ました。

sow_miya
きりんさんのコメント
2024年4月16日

判りにくかったのですが、後半の安達祐実によるSM行為は、「西洋化推進で《笑い絵》が影を潜めて、代わりに《責め絵》が台頭していったのだと緊縛図を前に解説をした芳賀の
あれは“伏線回収"だったのだと思いました。あそこで「責め絵」が一瞬でもスクリーンに映ればそのメタファーが観客に、よりはっきりと伝わったと思うのですがね。
あそこは監督と編集の失敗かと。

それにしても、いつもの端正な語調から逸脱ハズれた琥珀糖さんのレビューが、きょうはとっても楽しいです。
あはは😆

きりん