「鰹節を削れば性格や性癖までわかるかも。春画入門にもよろし。」春画先生 momoさんの映画レビュー(感想・評価)
鰹節を削れば性格や性癖までわかるかも。春画入門にもよろし。
浮世絵は観ても、春画を真剣に観たことが無かった。
テレビではそのまま放送しないだろうこういう映画こそ映画館で見るべきだと思い観に行った。
春画は口元にハンカチを当てて鑑賞することや、春画から読み解ける人物の気持ちや、女体の白い肌は色彩されていない紙そのままであること、喜多川歌麿と葛飾北斎の女体と創作の違いなど興味深く、春画とワインの夕べのイベントにも参加したくなってしまった。
春画は回転寿しのようなレーンで回覧されるし、回転ベッドでぐるぐる回りながら愛する人のため、身体を投げ出す無理難題を投げかけられるヒロイン弓子。
観ているうちに頭の中もぐるぐる回り何が正しいのかわからなくなる。
オープニングからして地震で揺れていた。
観てる方も観終わる頃にはグラグラと固定観念が地震のように揺れて崩れていくような気持ちになった。
性についてクリスチャンでもないのに、知らぬ間に西洋の固定観念に支配されて来たことに気がつく。
柄本佑の青Tバックと強烈なキャラクターがインパクト大。
安達祐実は子供の時に「同情するなら金をくれ!」って凄んでいたけど、大人になって凄み技はグレードアップ!今回の双子の姉のドS役は素晴らしかった。
北佳那は怒った顔がいい。前半から鰹節の削り方、削られた鰹節のかたまりの鋭角な形に勝気な性格が出ている。そこからの先生のお取扱方法に開眼するまで。弓子の全ての行為は愛あればそこ!
なるほどな。春画先生は素質を見抜いていたわけか。
インテリな先生の顔から盗み聞きやドMな性癖を露わにする所まで。内野聖陽だからドン引きせず嫌味なく観れた気がする。
自分のことをを豚と言わされながら、流れる曲はフォーレのレクイエム。ピタリと合っていた。
ホタルになって現れる忘れられない妻への鎮魂歌なんだなあ。
さり気に、先輩家政婦として日活ロマンポルノの白川和子が出ている所もいいキャスティングな気がした。
洋館の双子のメイドが思わせぶり。嶽本野ばらの小説を読んでるような気持ちに。なかなかお耽美な世界観でございました。