キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのレビュー・感想・評価
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是非、映画館でエンドロールの音響を最後まで楽しんで欲しい。
映画館で鑑賞しました。3時間以上の作品なのでトイレが心配でしたが、映画の世界にどっぷりと浸った事で、お尻が痛くなることも尿意をもよおすこともありませんでした。コレは自分の中では驚きでした。スコセッシ監督の作品としては、個人的には、前作のアイリッシュマンが予想よりも芳しくなかったので、観るまでは少し不安もありましたが、ディカプリオやリリーグラッドストーンの迫真の演技により目が離せない3時間20分となりました。もう終わり?ってあっという間に時間が経つ感覚でした。久しぶりに観た傑作に満足して映画館を後にする事が出来ました。ニューヨークニューヨークでのライザミネリとロバートデニーロの演技合戦のようで素晴らしかったです。この映画は史実が基になっているので、観る前にWEBで調べたらストーリーが分かってしまうので、私のように何の情報も入れずに鑑賞した方が興味深いひと時を満喫出来ると思います。もっと沢山言いたいですがこのくらいにしておきます。
がめつい輩
人間の欲の罪深さは消しようがない
仕組まれた政略結婚に動揺しつつも、愛する妻を裏切る凡人を通して描く人間の強欲と少数民族迫害の僅か100年前の黒歴史。このクズ男をディカプリオが主役として演ずるのがミソ。すべては石油に基づく悲劇、石油=金、であり湧き出る金目当てに悪が群がる構図。少数派が金を持てば、多数派が群がりむしり取る、古今東西全く変わることの無い侵略と略奪。この米国の消せない事実がどれ程に米国民が周知しているのか分かりませんが、こうした歴史の恥部を曝け出すことは何よりも肝要で、被虐史観を嫌がっていたら何にも前に進みません。
それにしても、近頃映画が長い!3時間近くなんてザラ、娯楽のマーベルだって風格を醸し出したくやたら長い作品多し。で、本作は3時間26分と類を見ない長尺に、コンパクトな映画3本分ですよ。しかし、何故かそれを感じさせない充実感が全編を覆う快作を、御年80歳の巨匠が成し遂げた。あのAppleが潤沢な資金を惜しむことなく投入し、オクラホマの原野に当時の街並みまでオープンセットで創り上げる贅沢な映像が画面の隅々まで漲る様は壮観。画面はあくまで瑞々しく精緻、丁寧に造り込んだセットも含めなにもかも第一級。$200,000,000すなわち約300億円の製作費は伊達じゃない。
しかし、2人の会話を切り返しで描くことによる緊張感ある演技合戦がみられるものの、バストショットに拘ったのは、Apple+での配信のためかしらんと穿ってしまうのが少々残念。そもそもジェシー・プレモンス(いい役者ですね)扮するFBIの視点で描かれた原作と聞く、それを主演のディカプリオが凡人アーネスト役を所望したとかで、かなり構造が変わってしまうわけで。ディカプリオが捜査官であれば、オセージ郡の悲劇を解き明かしカッコイイ主人公となり、スコセッシとしても彼らしい骨太の作品に仕上がったと容易く想像出来る。ディカプリオとデ・ニーロが火花を散らすのですよ、美しいモーリーを救う役ですよ、メリハリつき観客の感情移入も容易く、希代の名作となり得たのに。敢えて主体性のない凡人を主役にたてるリスクを払しょく出来たかと問えば、かなりハードルは高かったと言わざるを得ないでしょう。善き人として描き込む必要から随分とシーンが積み重なり過ぎたのではないか。
そんな難題を自らに課した主演のディカプリオは、ドラマチックに凡人を巧妙に演じ演技の幅を広げたのは確かでしょう。白眉なのは言うまでもなくモーリー役のリリー・グラッドストーンでしょう、泰然と構えつつも仔細な動揺を表現するなんざあお見事。そしてなによりスコセッシと言えばデ・ニーロ、半世紀近く前からのチームである。そのデ・ニーロの善人を纏った最恐悪人が出色も出色、「ゴッド・ファーザー」そのもので嬉しいやら驚くやら。流石の押し出し、しかも全然構えずサラリと流すさり気なさは百戦錬磨のデ・ニーロの至芸。この三人共オスカーのノミネートはほぼ確実ではないでしょうか。
いよいよの裁判に至り、突然登場のジョン・リスゴーとブレンダン・フレイザーがそれぞれ検察側・弁護側に別れての弁護士として登場の隠し玉。さらにラストには急転直下の朗読ラジオ公開中継に至り、スコセッシご本人まで登場とはサプライズ。一挙にお話が寓話のようにまとめられてしまった。
インディアンの命なんて軽いもの、てなセリフが登場。この多数派のセリフに「二グロ」とさらに下層の黒人を称する蔑称が、確かに発音されているのに字幕では単に「クロ」とだけ表示。リッチなインディアンに使える召使に白人が担っている現実が許せない、多数派の思い上がりが本作の肝。つくづく人間ってのは進歩が完全に止まってますね、戦争したくてしょうがないのですから。ウクライナでもパレスチナでも、ひたすら武器商人達が小躍りして喜んでますから。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 黒い水が白い人間達を黒い心に染めていく。てか、最初から腹黒いかコイツら!
※2023.10.24. 【ユナイテッド・シネマ橿原】2回目の鑑賞:The second time is even better . 久々と言ってもよいくらい“映画らしい映画”なので、どうしてももう一度観たくなり再鑑賞。1回目よりこの映画の良さと巧みさとがよく分かったように思う。“映画らしい映画”ということでは、やはり今年のベストテンに入るべき映画であろう。
①かなりの長尺だが最後まで飽かせないのはさすがマーティン・スコセッシ。だが、少し往年の重厚さは薄れているようで、期待にくらべ感銘度はやや薄い。
しかし、ブロックバスターばかりの昨今のアメリカ映画でこれこそ映画という作品を取り続けるスコセッシはアメリカ映画最後の良心になるのか、そうは思いたくないけれど。
②金の為なら何でもするのが人間だが、相手が自分より劣っている、同じ土台に立っていないと思うと更に残酷になるというおぞましさ。
③ロバート・デ・ニーロ演じるヘイルが、自分は何も悪いことはしていないと心底信じているのが何よりも恐ろしい。
④レオナルド・ディカプリオ、悪魔の中に放り込まれた天使の役か、と思いきや、コイツも悪魔の手先じゃん、という役柄。
妻に内緒で妻の家族を手にかけていくのに良心は傷まなかったのか、もとから心はなかったか。。
伯父が怖かったのか、金が欲しかったのか、自分でもよく分からなかったのか、あまり頭の良くなさそうな男を如何にもそれらしく演じてさすがだが、これが人間かもしれないと思えても割りきれなさが残る。
最後正義の側についても妻を殺すことに加担したことを言えなかった哀れさ、その時のディカプリオの表情。
⑤最初から全てを見通していたようなモリーの視線、表情。喜怒哀楽を過剰に表さないその表情(遠い祖先が日本人と同じだからか)がこの悲劇をわすれてはならない、と私達に語っているような気がする。
⑥惜しむらくはヘイルの悪行に焦点を絞ったせいか、恐らくもっと広範囲で起こっていた筈のオーセージ族に対する犯罪行為の全体像が浮かび上がってこないうらみが残る。
犯罪者にも愛する人はいるし、人を愛するはできる
スコセッシ映画では昔から当たり前にもなっている3時間超えの本作。友人と息を呑んでレイトショーを観に行ったがそこはやはりスコセッシ!1秒も睡魔に襲われることなく鑑賞!
殺人事件モノ?と予告等からは予測できない展開と語るところの多い映画だった故に、月並みな感想だが「とりあえず観ろ!」としか言えない。
時代感もあり眠たくなりそうなものだが巨悪と共にするディカプリオの右往左往には笑いつつ、最後までテンポも良く。妻役のリリー・ブラッドストーンの登場から光る全てを見通した様な凛とした眼差しが、色々ありつつ最後にまた戻りディカプリオに向けられた瞬間は苦しくも痛快で、"1人の物語の終わり"を感じた。
ラスト、エピローグの演出についても「またスコセッシやってんなあ!」とニヤけてしまう。
とはいえやはり長い映画だが、観終わった後の満足感も持続する良い映画だった。
デニーロとレオ様、見たい気持ちが長い映画というハードルに勝って鑑賞...
レオ様かっこわるー
206分
公開されたら絶対観に行く!監督の一人マーティン・スコセッシの新作ですよー❗
前作「アイリッシュマン」はNetflix配信だったので(一部映画館でも公開)待望の劇場版ですよ
ディカプリオとデニーロ、新旧スコセッシ映画の看板二人の共演です❗
時間も三時間オーバー!と、高齢者の下半身事情も何のその、御年80のスコセッシ御大にはいつまでもパワフルな映画を作り続けてほしいものです
ジョン・リスゴーやブレンダン・フレイザーも出演していましたが、中盤以降出てきたジェシー・プレモンス(はい、よくマット・デイモンに似てると言われる人)がピリッと映画を締めていましたね(もうキルスティン・ダンストの旦那の人ねとはイワセナイゼ~)
「ギャング・OF・ニューヨーク」「ウルフ・OF・ウォールストリート」に続くスコセッシ監督の「OF映画」に外れなしと言うことで…(キングOFコメディモネ~)
アメリカの暗部を描く衝撃作でした。
あまりの情けなさにビックリ
ディカプリオの演技力でクズ男オブザイヤー決定
長い。
話の中に大きな山場や盛り上がりも感じられずの約3時間半。
けれど退屈かと言うとそうでもなく、登場人物たちがこの後どういう行動に出るのか、どういう選択をするのかと目を離せなかった。
なにしろロバートデニーロとリリーグラッドストーンを除くほとんどの人物が、びっくりするほど頭が悪い且つ、性格が悪い。ロバートデニーロも頭は良さげに振る舞うけど、性格が悪い。
ディカプリオに至っては、頭が悪くて考えなし、後先考えず他人に操られ行動して嘘をつき、挙句、自分はバカじゃないと思っている救いようのない人物。ついでに三下にはイキり散らかす超超超小物。
欲に忠実とか貪欲とか聞くと、己の信念を持ち、手段を選ばず欲しいものを手に入れる悪党を思い浮かべるが、このキャラクターは本当に小物。信念も無ければ計略を巡らせる頭脳もなく、他人に言われるまま流されて悪事を働く。
こんなにも無能で嫌な奴と3時間半を共にしたストレスがすごい。エンドロールが始まったら叫び出しそうだった…が、スコセッシから“静かに黙って最後まで動かず観てろ”というメッセージを受け取り、心の嵐が過ぎるのを待った。
この映画の素晴らしいところは、とにかくディカプリオの演技力が高いというのが知れるということ。
演技力が高すぎてクズ男すぎて、映画が終わる頃には嫌いになっていた。
早く次の出演作が観たい。
至福の映画体験
サイコパスすぎる
スコセッシの映画
お話に山もなければ谷もない・・・
監督、マーティン・スコセッシ、出演レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロで、アメリカの実話を描いた作品とくれば面白いはずと思い見に行ったのですが・・・・
正直、日本人には少々民族的な部分で分かり難いかな・・・また、お話に山も無ければ谷もなく、淡々とお話が進み200分もある映画なので、ちょっとがっかり・・・・
お話に山もないし谷ももないので、演技派であるレオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロを起用しても、「はい、演技しています」的にしか見えないので、さすが、レオナルド・ディカプリオ、さすが、ロバート・デ・ニーロとも言えない・・・
どんなにいい俳優さん使ってもお話が淡々としては、やはりどうにもならない見本みたいな内容だったかな・・・
かえって脇のインデアンの系の俳優さんの方がいい感じな演技だったかな・・・・
実話なんだろうけど、もう少し脚色しても良かったかな・・・・
結局、無駄なシーンをもっと無くして、ぎゅと話を作った方が分かりやすかったかな・・・・
日本も、昔は、こうだったんだろうな・・・・あまりにも簡単に欲の為に人を殺しちゃうんだから・・・・
しかし、ちょっと期待し過ぎました・・・・・
★5つはないかな
命の軽重を問う
際に起きた事件の映画化も
最近ありがちなその旨の提示はなし。
底本もあるようで
『デヴィッド・グラン』によるノンフィクションのタイトルの邦訳は
〔花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生〕。
随分とヒドイと思いつつ、ある意味
本作の内容を端的に現わしているかも。
物語りの舞台は1920年代のオクラホマ州オーセージ。
主人公が第一次世界大戦帰りであることや、
スペイン風邪に罹患しなかったことなども歴史的背景として語られ。
押し込められた居留地で、たまさか石油が噴き出したことから
突然裕福になった「オセージ族」。
その資産を悪辣な手段で奪おうとする白人たち。
更にはそのことに起因する殺人事件を捜査するFBI。
FBI自体は1908年の創設も、
事件当時の捜査局長は敏腕で鳴らした『ジョン・エドガー・フーヴァー』。
原作のタイトルとは異なるも、
この時期に一気に名を馳せるようになったのは間違いのないところ。
戦場帰りの『アーネスト(レオナルド・ディカプリオ)』は
土地の権力者の叔父『ウィリアム(ロバート・デ・ニーロ)』を頼りその地に赴く。
最初は使い走りのようなことをしていたのだが
次第に裏の仕事にも手を染めるように。
一方で(叔父の唆しもあり)「オセージ族」の娘『モーリー(リリー・グラッドストーン)』と結婚、
莫大な資産の相続者となる権利も得る。
しかし町では「オセージ族」が謎の死をとげたり、殺害される不可思議な事件が頻発。
本編でも最初の方は、誰が犯人かは判然とせず。
しかし薄皮を剥くように、善人の面の皮がめくれて行き、
ついには真実が白日の下に曝され。
莫大な金の為には、人間はここまで非情になれるのかとの切ない思い。
或いは先住民の命はそこまで軽んじられるのかとの戦慄にも似た感情。
そうしたものがないまぜになり背筋が寒くなる。
更には、自身の親族さえ犠牲にできる非道さの源泉は
どこから来るのだろうか、と。
『アーネスト』の本質は気のいい男。
そこがつけ入るスキがありまくりで
良いように利用された結果の不幸とも言えるのだが。
三時間を超える長尺も冗長なシーンは皆無。
繰り返される平穏な日時が、次第に異質なものへと変化し、
気付いた時には恐ろしいことになっている経緯の描写が秀逸。
また、善意の隣人の本質が次第に明らかになる過程を描くには
これだけの尺はどうしても必要に思える。
僅か百年前の出来事も、
最後に語られる関係者のその後については驚きを隠せない。
これだけの犯罪に課せられる量刑が軽く感じられ、
また恩赦まで施されるのは何故なのだろう。
命が(それも先住民の)が軽んじられた時代のせいか、
それとも彼の地ならではの考え方なのだろうか。
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