劇場公開日 2023年10月20日

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「長尺を感じない見応えのある作品」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5長尺を感じない見応えのある作品

2023年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

スコセッシの新作やっと観れました。
尺が長いせいか、タイミング合わせるのが本当難しかったです。
花殺し月の殺人と、FBIの誕生をベースにした社会派サスペンス。
スコセッシ監督の元、デニーロとディカプリオの共演という何とも贅沢な時間でした。

作品は米の悲しい史実を元にした、インディアン連続殺人事件を描いています。
その石油を巡る利権争いは、正しくマフィアのそれ。
デニーロの立ち位置もあり、結構序盤から「グッドフェローズ」を感じました。これがまた嬉しいんですよ。
キャストも今や立派な芝居を見せるディカプリオをはじめ、皆円熟した役者ばかり。
そしてやっぱりデニーロです。ジェントルな姿から溢れ出ている、禍々しい野望がすごいです。表情や囁きや指先まで完璧な悪人。
それと証言を決意したアーネストがヘイルへ訣別をぶつける場面は、ゆっくりだがその芝居にすごい緊張感がありました。
あと殺害シーンも正にスコセッシと行った感じで、その容赦が無いです。
銃殺を隠蔽するために医師が現場で(親族や野次馬のいる中)開頭、銃弾を抜き取る描写もすごかったですね。
何より一番怖いのが、米の底に澱み無くならない差別意識でしょう。
財を奪うためだけの結婚に連続の殺害、政府が敷いた後継人制度に、そもそもの「西部開拓」というインディアン強制移住。
その根深い差別はほぼ無意識的にあり、それは心から妻を愛するアーネストにすら見られました。
ふと薬に疑念を抱いたカットと、それでも打ち続ける薬。
最後の妻モリーの問いかけで、自分の心を知ってしまったのでしょう。

ラストはその顛末が朗読劇で語られ、その最後には突然スコセッシがアップで現れてびっくりでした。
この突如現実に戻されたようなこの演出、時々スコセッシやりますよね。
悲しく思いデーマに重厚な芝居、長尺を感じない見応えのある作品でした。

白波
トミーさんのコメント
2023年10月29日

現在も何も解決していない!と自嘲して、吐き捨てられているようでした。

トミー