「鑑賞動機ディカプリオ5割、予告3割、リリー・グラッドストーン1割」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン なおさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞動機ディカプリオ5割、予告3割、リリー・グラッドストーン1割
スコセッシやデ・ニーロは途中でトイレに行きたくならないのだろうか。かなりハードル高い上映時間だったけど、それでも長さを感じさせないでくれたので良かった。集中すれば尿意も消滅するのだろうか。
前後して『ギルバート・グレイプ』を観たので、ディカプリオの円熟ぶりに、年月の重みを感じる。ホワイトではなくアーネストを中心に据えるという変更も、観終わってみれば当然のことのように思える。絶対にアーネストの方が演じるの難しいもの。
ディカプリオの表情をかなりの長回しでとっているところを、顔芸と一言で言うのは簡単である。でも、じっくりと時間をとってシーンとして提示してあることで、ただ流されていくダメ人間とはいえ、内なる葛藤や逡巡や自己欺瞞、妻への愛情と叔父への恐怖など色々なものがぐちゃぐちゃに混ざり合ってカオスとなっている心境を、セリフで説明せずに垣間見せてくれたわけだし、それらを観客が自分で考え想像することができる余白を作っているのだと思った。なんかようやくスコセッシの凄さを実感できた気がする。
リリー・グラッドストーンも良かった。最初のお嬢様然とした余裕を滲ませる場面、値踏みしつつそして打算ありありとわかりつつ受け入れていく様、家族を殺された際の慟哭、アーネストを信じていいのか揺れながら憔悴していく様など、様々な表情や立ち振る舞いで、ディカプリオに引けを取らない演技だったように思う。
そして、この重苦しく恐ろしい話もいよいよ決着が…というところで、あの演出ですよ。一気に現実に引き戻される。スコセッシは出てきたのはわかったけど。いやあ、なんなんでしょう、なんかこういいように弄ばれた感が残ってしょうがない。