劇場公開日 2023年10月20日

「犠牲になったオーセージ族への鎮魂歌」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン bionさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0犠牲になったオーセージ族への鎮魂歌

2023年10月21日
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鑑賞方法:映画館

 果たしてアーネストは、どちらの道に向かうのか?
 事前情報なしで鑑賞した自分にとっては、最後まで何かに祈りたくなる気分だった。

 酷い話だよね。オーセージ族を保留地という名目で強制移住させておいて、石油が採れるとわかると、狡猾で獰猛な白人が、ハイエナのように群がってきてオーセージ族の富を簒奪しようとする。
 驚くのは、オーセージ族が自分の財産を自由に使えないこと。無知で野蛮なインディアンは、白人様が管理してやらないと浪費して破産してしまう。そんな理由で、お金を使うにも財産管理人の白人の許可が必要となっている。

 ロバート・デ・ニーロは、キングと呼ばれるオーセージ族が住む街の白人顔役を演じる。オーセージ族の最大の友人のフリをして、裏では甥っ子2人を使いながら根こそぎ財産を奪う計画を練っている。
 キングことウィリアム・ヘイルは、根っからの極悪人だが、その周辺にも小悪党がたむろしていて、オーセージ族は常に危険にさらされている。当時の白人の感覚では、インディアンには白人の3割くらいの人権で十分。そんな雰囲気を感じる。

 悪名高いフーヴァーに率いられる連邦捜査局が出てきたのには驚いたが、この時代は正義のために力を尽くしていたであろうか。

 実際のアーネストがどういう人物であったかは定かでないが、レオナルド・ディカプリオが演じるアーネストは、善人の心を失っていなかったと信じたい。
 犠牲になったオーセージ族を鎮魂するには、3時間26分の時間が必要だったのだろう。時間は全く気にならなかった。

bion
bionさんのコメント
2024年1月7日

iwaozさんへ
コメントありがとうございます。
アメリカ史の暗部に切り込んで、なおかつ映画としても面白い。
アカデミー賞にふさわしいと思います。

bion
iwaozさんのコメント
2024年1月7日

鎮魂の映画、地獄の黙示録のような映画でしたね〜(T . T)
本当辛いけど最高でした!
これもアカデミー賞あげてほしいですね!賛否両論あるでしょうが
作らなければいけない映画でしたね〜

iwaoz
トミーさんのコメント
2023年10月28日

共感ありがとうございます。
私は、アーネストはそれまでの常識と、家族の間で何が正しいか解らなくなっていたのだと思いました。だから薬の事にあやふやな答えを返してしまったんだと、毒かも?と思いながらも言われるまま注射し続けたんだと。

トミー
ゆきさんのコメント
2023年10月21日

こんばんは。コメントありがとうございます。レオさんの小物感が効いていました。お尻ペンペンは笑ってはいけないを思い出してしまいましたw デ・ニーロ、本気だったと思います。レオさんの痛がり方が本物っぽかったですw
 本作はオーセージ族への鎮魂と贖罪だったと私も思います。

ゆき
ニコさんのコメント
2023年10月21日

コメントありがとうございます。私もこの上映時間は必要な長さだったと思います。ホワイト捜査官登場までの長さでオセージ族の受難とヘイルの秘めた冷酷さを見せられて、私はオセージ族の絶望感(映画で感じ取れるのはほんの少しなのでしょうが)にじかに触れた気がしました。

ニコ
talismanさんのコメント
2023年10月21日

bionさん、ありがとうございます!そうですよね!スコセッシ監督の思いが込められているようで感動しました。

talisman
talismanさんのコメント
2023年10月21日

あと、アーネストは善人の心も持っていたと私も信じたいです。bionさんの仰る通り、この映画は鎮魂と祈りと贖罪、そのために必要な時間でした。

talisman
talismanさんのコメント
2023年10月21日

bionさん、コメントありがとうございます。最後のラジオ収録場面でモーリーのその後を語ったのは監督ですよね?

talisman