「三匹目の子豚」オオカミの家 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
三匹目の子豚
とあるコロニーの宣伝映像、という体の作品。
罰を受けた理由やその罰が大したことなくてマリアを応援できないのは、それ故の偏向改変か。
主人公マリアが逃げ込んだ家は、はじめは何もない廃屋だったのに、次々と家具や内装が現れてくる。
ストップモーションアニメという手法が、これをそのまま受け取るべきかを迷わせる。
要するに、現実か妄想かの境界が曖昧なのです。
更に、絵画も含めた様々な造形で描かれ常に変容する人物や家そのものが、幻想的なイメージを増長する。
アナとペドロと名付けた豚が、徐々に人間の形を取り、疑似家族を形成していきます。
支配を嫌ったマリアがいつしか“家”の支配者になっていた、というのは皮肉。
逃げ出したとはいえ、コロニーしか知らなかったマリアの常識はコロニーのそれに侵食されていたのでしょう。
反逆されたマリアは、恐れていた“オオカミ”(コロニーの長)に助けを求め、コロニーに戻ってしまう。
洗脳からの逃れがたさを描いているようにも感じます。
コロニア・ディグニダに着想を得た、ということだが、『骨』に比べて前提知識なくても大筋は理解出来る。
しかしその捉えどころの無さは、常に変容し続ける本作の映像とも重なる。
2匹の豚一つ取っても、本当に豚だったのか、何かのメタファーなのか、いくらでも解釈出来てしまう。
前衛的な芸術性にばかり目を奪われそうになるが、意外と深い作品かも。
おそれ多いコメントありがとうございます……。
クレイ・アニメは大好きなので! たぶん子供の頃、深夜にTVをつけたらやってたMTVで流れてたピーター・ガブリエルのスレッジハンマーのせいかとw そういや自分の感想に誤植を数カ所見つけたけど、一覧のトップに跳ね上がって来るのが嫌で直せません(笑)。