「異様なビジュアルに奇異的な着想。よくこんなのを作ったもんだの前に…どうかしてるぜ!w」オオカミの家 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
異様なビジュアルに奇異的な着想。よくこんなのを作ったもんだの前に…どうかしてるぜ!w
ミニシアター系で話題となり、「ミッドサマー」の監督、アリ・アスターが絶賛した作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…ストーリーは最後まで観るとあぁなるほどね。となるけど、…あんまりよく分からんと言う感じwだけど、どちらかと言うとこの映像美と言うか、ビジュアルセンスを楽しむ感じの作品かなと。
チリの2人組監督クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャが1970年代にチリに実在したチクアウグスト・ピノチェト軍事政権下のカルト・コミューン「コロニア・ディグニダ」に着想を得て制作したとされるストップモーションアニメで独特な映像センスに何処か奇異に映るビジュアルと雰囲気に加え、カルト・コミューンからの着想を得ているだけに何処かそら恐ろしさを感じる。
ストップモーションアニメとして様々な手法で表現が取り入れられていて、そこに二次元・三次元が組み合わさっていて、クレイアニメもあれば、グラフィティや切り絵、ガラス絵手法と様々な手法での表現演出の要素が取り入れられていて、そこにオドロオドロしい異様なビジュアルで構成されている。
ハマる人はドハマりするだろうけど、観る人を確実に選ぶだろう。
寓話的エピソードにいろんな宗教的エピソードとメッセージ性を漂わせていて、おとぎ話的な感があるけど、まあ、このビジュアルにアカンと拒否する人もいるかと。
何処か可愛らしさも感じながらとリアル感もあるし、ラクガキや本能的直感映像を感じさせるからか、まあ異様ですよねw
特にトイレのシーンと劇中のゴキがリアルでキモい。
生理的に受け付けない人もいるかと。
あと、劇中で「マ~リ~ア~」と響き渡る声が怖いんですよね~。
元となったコロニア・ディグニダは長きに渡って拷問や性的虐待、殺害をもって運営を続けたカルト団体らしく、治外法権と存在し、「国家の中の異国」「法律が及ぶのはコロニアの玄関まで」と様々な曰くがあり、そんなカルト団体から着想を得て、こんな作品を作り上げるとはなかなかなクレイジーっぷりw
アリ・アスターが絶賛と言うのも“ああ、アリ・アスターなら喜びそう♪”と納得w
終始気味の悪い雰囲気が漂い、結末はコミューンでの様々な切り口での結末と教訓が組み込まれていて「普通に生きるのだって、なんらかのコミューンの中」と考えると道徳的とも言える。
まあメッセージ性は後付けにしても、ビジュアルで好き嫌いは分かれるけど、観ないことには始まらない訳で観た上で嫌いと言う判断もある意味正解w
個人的には同時上映された短編作品の「骨」の方が気になる。100年以上前の作品として発見され修復されての上映とは言え、よくこんな作品を作ったもんだと感心。
勿論、それはこのオオカミの家にも言える事ではありますが、“まぁ、よくこんな作品を作り上げたもんだ”と感心しきりw。
興味があれば是非観てみては如何でしょうか。